総額 35兆余円規模の 2021=令和 3年度補正予算案が、衆院を通過した。参院での審議を経て、年内にも成立の方向。方法を巡って二転三転した 18歳未満向けの一人当たり 10万円給付も予算の裏付けがされるという事だろう。全額現金によるか、一部クーポンによるかは各自治体の判断に任されるが、多くは前者の様だし 又国民多数もそうすべきとのお考えだろう。当地の河村名古屋市長は、半額クーポン支給の方向らしいが。
本題です。次年度予算案や 昨今表に出た国土交通省の建設工事受注動態統計書き換え問題への対応など、来年初からの通常国会も問題は山積という所だろうが、我国の安保やエネルギー調達にも関わる「自由で開かれたインド太平洋問題」への健全な関与も大きな課題だろう。その事につき、先日の日本経済新聞社説でこの問題が取り上げられたので、引用して みて参りたい。
「G7と ASEANの絆を深めよ」
主要 7カ国 G7が 初めて東南アジア諸国連合 ASEANを交えた拡大外相会合を開いた。双方の討議内容をまとめた議長声明で、覇権主義的な動きが目立つ 中国(大陸) を強くけん制した意味は大きい。
声明では 日米が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」の維持を確認したうえで、南シナ海の埋め立てなどに懸念を示し、航行や上空飛行の促進を掲げた。人工島を造成し、軍事拠点化を進める中国を念頭に置いたものだ。
会合には 韓国やオーストラリア、インドも招いた。日米欧がインド太平洋の戦略性を共有し、中国と対峙する意図が鮮明である。
中国は 南シナ海でけでなく、インド洋のスリランカやパキスタンでも港湾建設を進める。広大な海域で 中国が実効支配を進め、域内の安全を脅かすのは許されない。
このため米国は 南シナ海に自国艦船を派遣する「航行の自由」作戦に加え、日豪印との「Quad(クァッド)」、英豪との「AUKUS(オーカス)」といった多国間の協力枠組みを通し、中国に対抗する姿勢を強めてきた。
以前は対中融和が目立った欧州も、中国の新型コロナ・ウィルスへの対応や香港への規制強化で、不信と警戒を強めた。英や独、仏はそれぞれ独自のインド太平洋構想を策定し、この地域に相次いで艦艇を派遣している。
軽罪・軍事両面の安全保障や、民主主義の価値観を巡る 中国との競争を考えたとき、インド太平洋の真ん中に位置し「緩衝地帯」ともいえる ASEANの重要性は増している。G7を加えた 重層的な関係強化は歓迎すべきことだ。
ASEANは 国軍が市民を武力弾圧するミャンマー、中国への基地提供疑惑がくすぶるカンボジアなど 問題の多い加盟国を抱える。日本は主に投資や開発援助などを通じて この地域で緊密な関係を築いてきた。米欧との橋渡し役を担いつつ、競合も想定される、競合も想定される経済面では 先行する強みを生かしたい。(引用ここまで)
「自由で開かれたインド太平洋」の構想実現は、我国の石油エネルギー供給の為の船舶輸送にもモロに関わってくる。もし仮に この海域で紛争が起こり易いとなれば、我国の石油エネルギー供給は安定を欠き、これまでの中国大陸他由来の新型コロナ・ウィルス感染症禍で消耗した国民生活や国家経済の再建をも大きく阻害しかねない。
日経新聞社説の主張通り、欧米メインの G7と東南アジアのASEAN。双方の諸国の意思疎通と問題の共有について、我国が進んで架け橋としての機能を担うべきは当然だし、岸田現政権も そうした事への真摯な向き合いが不可欠だろう。
そうした使命に応える為にも 中東から我国までの石油エネルギー輸送を守る「シーレーン防衛」に自衛隊が関与するのは当然の事だし、又 G7、ASEANの両諸国防衛組織と自衛隊の交流、それに外交機密を護る為の スパイ防止法の制定にも力を尽くすべきと愚考する者だ。それらを誠実に、着実に実行してこそ、我国の前述諸国からの信頼も増す事が叶うのではないだろうか。今回画像は今日午後、当地名古屋市東方・大曽根付近の JR中央線沿いに見られる 寒椿(かんつばき)と燃料列車の顔合わせを。やや見頃を過ぎたのが惜しまれる所ですが。追伸として 河村名古屋市長も分割ながら、冒頭の給付を全額現金とする模様。