生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

がん患者としての心境(その6)

2010-05-07 13:38:15 | 乳癌
「友人ががんになったんだけど、何て言葉をかけたらいいかわからなくて…」という相談を受けたことがあります。今日は、がん患者として言われたい言葉、傷ついた言葉について書きます。


「太ったね」「やせたね」と言われると不安になります。健康な時なら「やせたね」と言われたら嬉しいのですが、がんになってからは、やせるということは再発か転移しているのでは?と思ってしまうのです。
逆に「太ったね」と言われると、薬の副作用だと思います。副作用でこれからどんどん体重が増えていったらどうしよう・・・と不安になります。


『大丈夫』というのは、わたしの好きな言葉です。でも、何の根拠もなしに大丈夫と言われると、簡単に言わないでほしいと思ってしまいます。
「知り合いに乳がんの人が何人もいるけれど、みんな再発もせず元気よ。だからあなたも大丈夫」と言われると複雑な気持ちになります。
その人たちはどういう種類の乳がんで、ステージはいくつで、リンパ転移はあったの?と尋ねると、知らないと答えます。

乳がんといっても色々な種類があり、進行状態も違います。そのことを知らずに安易に大丈夫と言われても納得できないのです。
また、腫れものにさわるように接し、がんのことや死という言葉を避ける人もいますが、わたしはふつうにがんや死という言葉を使ってくれた方がいいです。
(自分ががんであることを受け入れられない人の場合は異なると思います)

がんは確かに死亡率の高い病気かもしれませんが、特別な病気ではないと考えています。当然、告知は当たり前と思っています。もし、がんということを隠して治療が始まったら、納得がいかないでしょう。がんだからこそ、しっかり治療を受けなくてはと思うのです。


三浦綾子さんの言葉を紹介します。


がんだと言われたときはほんとうにショックで泣いた人も、みんながんの現実に慣れてゆきます。落ち着いてゆきます。がんの告知のショックでどうにもならなくて、自殺したという人をわたしは知りません。「永遠のことば」三浦綾子(主婦の友社)より


わたしは、母を土浦の老人ホームに入ってもらいたいと考えていました。でも、わたしのがんが再発して母より早く死んでしまったら、母に寂しい想いをさせてしまう・・・と思ってためらっていました。

そのことを牧師先生に話すと、「もし早く死んだとしても、お母さんは教会の交わりの中で守られるから大丈夫」と答えて下さいました。

母より先に死んでしまう不安を否定せず、そういう可能性があっても大丈夫と言ってくださったので、心から安心しました。

                  つづく

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