Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

伊佐と知念(26節横浜FC戦)

2020-11-03 23:48:42 | マッチレポート20'






今日の試合についてはこの2人を軸にして書きたいと試合前から思っていた。ただ本当は伊佐がメインになると思っていたんですよ。それこそ2ゴールくらい決める大活躍で。とりあえず前節の知念コメントと片野坂さんコメントを読んでほしい。片野坂さんコメントは有料なので、トリテンの会員登録がまだの方は今すぐ大分トリニータ公式ホームページへレッツゴー。

【知念コメント】
「正直、僕自身もそこらへんは迷いながらやっているところもある。いまはチームのやり方にしたがって、ある程度我慢しつつ模索しながらやっている。この時期にそんなことを言ってても遅いだろうと言われるかもしれないが、探り探りやっている感じなので、残り9試合で答えを見つけていきたい。」

【片野坂さんコメント】
「ガンバ戦のフィードバックで守備と攻撃の狙いの部分を、浦和戦と今後のゲームに向けていろいろ話をした。こちらが言う戦術に対する知念の理解と、ガンバ戦の伊佐のプレー映像を照らし合わせて見たことで、こういうことかと腑に落ちた部分があったのではないかと。」

特に片野坂さんのコメントはもっと長く、知念が変わり始めていることに対しての示唆にあふれているので是非全文読んでほしい。知念のコメントは本当にその通りだと思う。多分知念は我々が思うよりもずっと頑固なんだろうね。頑固さだけでなくもちろんストライカーとしてここまでやってきた矜持を捨てられないということも含めて。ただねこのコメント読む前から浦和戦での知念には間違いなく変化を感じていたし、それで片野坂さんのコメント読んだら「そういうことか!」と思わず膝を打ったわけですよ。そして何よりも片野坂さんが1トップの仕事の説明として伊佐のプレー映像を使って説明したという部分に涙がちょちょ切れるくらいに嬉しかった。ルーキーイヤーは自らを「犬」と呼び、前線から相手ボールを追い回すことしか出来ないFWだった。それが今や難解な戦術で試合を組み立てていく指揮官が、戦術理解が足りていないと感じる選手に対して説明する映像に伊佐の映像を使うんだってよ。選手が成長していく過程をずっと側で見続けることこそサポーターを長くやっていることの醍醐味だと思うし、何か自分のことじゃないのに誇らしさすら芽生えてくるから不思議だ。だからこそ今日は浦和戦を回避して満を持して先発した伊佐が大活躍するんだという文脈で書いていく想定をしていたんだよ。もちろん伊佐は活躍したけども、知念がそれを上回る存在感を見せつけ、そして貴重な貴重な同点ゴールをもぎ取って劇的な試合展開を呼び込んでくれた。だから今日はこの2人を軸にした文脈にしたくなった。不器用ながらもずっと右肩上がりに成長を続け、on the pitchでもoff the pitchでもチームにはなくてはならない存在にまでなった伊佐。誰もが認めるポテンシャルを持ちながら自らのスタイルに固執し過ぎてしまうが故に期待に応え切れなかった知念がその殻を破ろうとしている。この2連戦はそんな2人の進む矢印が絶妙に交差したように感じた。残り8試合、2人がどんな活躍を見せてくれるか楽しみで仕方ない。


お互いが相手のポゼッションに食い付かなかったため、試合の温度は極めて低いまま進んでいった。そんな温まりきらないうちにあれよあれよと2失点。FKからの失点はその前にも同じようにキックフェイントでラインが乱れてシュートを撃たれていたので、ちょっとお粗末。2失点目もこれぞ「ボールウォッチャーの教科書」とも言うべき棒立ちぶりでお粗末。どっちも智輝。要反省。そんなズルズルと進んでしまいそうだった試合を形に出来たのは、前半のうちに1つ返せたことに尽きる。こう考えると何の脈絡もないところから試合の流れを変えられるセットプレーってやっぱり偉大だよなと思う。それにしてもこのCKは美しかった。野村のプレースキックはボールにスピードがあるので、何か起こるんじゃないかという期待感と相手は守りにくいだろうなという嫌らしさがある。来季はもっとたくさんセットプレーの練習しよう。



そして後半に大きな転機が訪れる。我々同様に低い位置から繋ぎたい横浜FCに対して伊佐を急先鋒に前線からプレッシャーをかける形に変更。特にボールを繋ぐことに若干の自信のなさを垣間見せるストロングヘッダー六反に対して伊佐は容赦なかった。本当に噛み付かんばかりの視線でプレッシャーをかけていた。プレッシングに行くチーム共通のスイッチは「GKにボールが戻ってきたタイミング」だったと思われる。声援なし試合の最大のメリットとしてベンチの指示が全て聞こえることがあって、まさにボランチから六反にボールが戻されたタイミングで大分ベンチから「伊佐、GOGOGOGO!!!!!」と怒濤のかけ声がかかり、そしてそれに呼応して猛然とプレッシャーをかける伊佐。アレは六反はたまらなかったと思うよ。そこから遅延行為のイエローに繋がり、それをきっかけに横浜FCは低い位置からの繋ぎを放棄することとなった。低い位置からの繋ぎを放棄すること、それはつまりこれ以上の追加点を放棄することと同義で残りの30分は我々に主導権が委ねられたということ。ここは本当に大きなポイントだったと思う。この時の伊佐の様子は本当に「獰猛」そのもの。まさにこれこそが片野坂さんが評価する「チームのための仕事」なんだろうなと思う。





古巣戦となった野村。1アシストでも十分な働きだったけど、少し気合いが空回り気味だったかな。





横浜FCの両SB、袴田裕太郎と瀬古樹はどちらも明治大卒。


そしてその2人がまだ2年生と1年生でメンバー入りすら出来なかった頃にバリバリのレギュラーCBだったのが小出悠太。どっちが意識したのか、もしくはどっちも意識したのか対面となった袴田とはバッチバチだった。高木駿も含めてこの試合では明治大卒が4人も先発。



そしてそして本当に何なんでしょうこの決めっぷりは。ああいう形なら別に達也じゃなくても全然よさそうなもんだけど、でもあそこにいるのは達也。そして決める。まだ今季は残り8試合を残しているわけだけど、Player of the Seasonはもう満場一致で達也で決まりでしょう。本当にすごい。後半の仕掛けまくりも目の前で堪能させてもらったけど、対面の瀬古はCKに逃げるので精一杯。結局決勝ゴールはその繰り返されたCKの流れの中から決まったわけで、そこまでの達也の貢献が光るわけだ。ただもうこの試合で個人的には結論が出たんだけど、達也は左WBの選手だということ。片野坂さんが何を言おうとシャドーでの起用は反対。それはもう星のイサスタでの言葉に凝縮されている。それにシャドーでの立ち回りにおいて達也より優れている選手は今の大分には何人もいる。いじり過ぎずにシンプルに行こう。サイドでの達也は脅威、これはもう紛れもなくシンプル。



コロナ以降では初めて大分のユニフォームを着てアウェイスタジアムに行ったわけだけど、制限があることはもちろん仕方ないんだけど、いきなりこんな極上の逆転劇見せてもらったのに、選手に労いの言葉をかけてあげられないわ、使者も歌えないわで何かむしろフラストレーションが溜まってしまったような気すらしたよ。最初はもうちょっと刺激の少ない試合でも良かったかな、なんて贅沢も言ってみたりしてね。でもやっぱりスタジアムはいい。サッカーはスタジアムで観るもの。分かってはいるつもりだったけど、スタジアムに行ってみて改めて気付かされたような気が今日はした。何の制限もなくスタジアムで観戦出来るのがいつになるかは分からないけど、それまでは叫びたい衝動を歯を食いしばって耐え、飛び跳ねて喜びたい気持ちを軽くケツを浮かすくらいで留めておいて、新たな楽しみ方も覚えていきたいなと思う。スタジアムでは叫べなかった分ここで発散しておきます。

やったぜぇぇぇぇぇぇ!!!!!
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