甲府が勝ってしまった以上、この試合の結果では全然ダメだったと言わざるを得ない現状が悲しい。田坂さんが短期的な目安として置いた「残り10試合で15位と勝ち点6差」という目標。今節が終わって15位甲府との勝ち点差が11になったので、残された道は名古屋戦、清水戦の連勝(かつ甲府が連敗、さらに湘南が勝ち点を最低1つ以上落とすこと)という途方もない条件を突き付けられたことになる。今シーズン勝率が4.5%のチームが残り2試合を勝率100%でいくことがどれほど難易度が高いかは小学生でも分かる。諦めはしないけど、残留という目標は今節の結果を持って、大きく遠のいたと言わざるを得ない。
現実から目を逸らして、「いい試合だった」ってオレだって言いたい。
多分前半3分頃のプレーだったと思うけど、いきなり押し込まれた後、自陣左サイド奥で奪取したボールを蹴り出さずに土岐田と木村が丁寧に我慢強くボールを繋いで、攻撃に転じたシーンがあった。推測に過ぎないけど、あそこをポイントとして広島がうちのことをある意味で認めてくれたような気がした。「あ、こいつらやれるようになってんな」みたいな感じで。その結果、試合は「間合い地獄」の様相を呈してくる。前半は大分の試合としては本当に異質な内容だったと思う。お互いに攻めた後のリスク管理を重視するあまりに手が出せない。極真のフランシスコ・フィリォが初めてK1に参戦した時の試合をふと思い出した。あそこでしっかりと繋げてなければ、広島はイケイケ状態で突っ込んできたでしょう。ホームとはいえ、王者広島とがっぷりに組み合えたことこそ成長だと思う。素晴らしい前半だった。後半はある意味で予想通りで、グロッキー寸前だった王者を仕留めきれなかったことが悔やまれる。
悔やまれる結果になった要因の一つに選手起用がある。前日から2列目のスタメンが西から丸谷に変わるという予想がされてた。スカパーもエルゴラも同じだったので、間違いないんだろうとは思ってたけど、同時に「何でまた」という思いもあった。3-5-2でやってる時も、3-4-3でやってる時も、今シーズンは西を起用してうまくいかなくて丸谷に変わるということが何度もあった。それも一度や二度じゃないんだから、もうさすがにいい加減にしてよとハッキリと思った。広島は丸谷の古巣だからという配慮もあったかもしれない。でもそんな温情でスタメンで起用出来る状態のチームじゃないことは明白。残念ながらその丸谷は(個人的には予想通り)全くいいところがなく交代された。広島から明確にボール奪取のポイントとして狙われて、ロストを繰り返した。昌也の出色のパフォーマンスは予想を完全に超えてた。でもそれを差し引いても、田坂さんの起用ミスがこの試合の結果に影響したことは間違いない。
繰り返すけど、「いい試合だった」って言いたい。でもそれが言えたのは中断明けの4試合までぐらいのことで、この段階で「いい試合だった」って言うのは実質残留に対して白旗をあげているのと同じことだ。
周作がスタジアムを周回した時のスタジアムの雰囲気の良さは言葉では表せないものがあったね。周作にとって大分が、大分にとって周作が、特別な存在であることをあらためて感じた瞬間だった。
広島側の粋な幕。
キックオフ前の所作も変わらず。
でも本当に当たり前のことだけど、どれだけ周作の名前を呼ぼうが、周作は紫のかたまりに向かって走っていくし、昌也の渾身のシュートも無慈悲に弾き出すんだ。ノスタルジックな気持ちになるのは試合後の一瞬だけで十分。
合同新聞サンクスデーの不敗神話は継続。この状況でも継続出来た運の強さはなかなかのもの。それにしてもこの副社長の独特の語り口とこの眼差し。普通じゃない感じするよね。
花火はホームゴール裏からは見えず。この写真もビジョンに映し出されたのを写した。ホーム側が見えなくてもお客さまであるアウェイ側に見せてあげる。さすがは「おもてなCity・おおいた」。でも浦和のしょぼい花火に比べたらずっと立派だった。
トップチームの試合前にはユースの試合を観た。個人的にはユースの試合を観るのは好きなんだけど、トップチームみたいに関東方面までの遠征もそんなにないから観る機会もあんまりないんだよね。出来れば最低年イチは観たいもんです。この日はプリンスリーグの神村学園戦。神村学園はここまで9戦8勝でリーグ首位。試合前は実力差があるのかなと思ってたんだけど、ところがどっこい。トリニータはSBがガンガン上がるスタイルでどんどんゴールに迫る。結局試合は1-0でトリニータが勝ったんだけど、4-0くらいが妥当な内容。神村のGKがスーパーセーブ連発で1点止まりだったけど、90分を通して、トリニータが圧倒。正直神村は主力が来てないんじゃないかなと思うくらいにトリニータは強かった。そして何よりサッカーが面白い。この試合を観て、ユースっ子たちから勇気をもらって大銀ドームへと向かったのでしたが・・。
この試合でオレの視線をクギ付けにしたのが、ボランチの岩武くん。特筆すべきはその落ち着き。寄せられても一切慌てず、ボールをさばく姿はまるで「ユースの梶山」。もちろんまだ相手に対して脅威になるような武器は見せられてはいないものの、もう一皮むければ面白い選手になりそう。何よりもその風貌からは想像出来ないけど、まだ2年生。
ちなみにボランチの相棒の姫野くんもなかなか面白い。身長は低くて同じく2年生なんだけど、ハンタータイプの狙ったボールを奪いにいく姿勢がいい。
この日のようなサッカーが出来れば、プリンスリーグの順位もどんどん上がっていくだろうし、Jユースカップも決勝トーナメントまで行けるとは思うけど、そううまくいかないのが育成年代の難しいところなんだよね。
強化部のお二人もフル観戦。具体的に見ておきたい選手がいたのかな。あと後藤くんも来てたね。
ということでこの日はトリニータに関する試合を2試合続けて観た。躍動するユースチームと苦悩するトップチーム。フットボールクラブにとって一番大事なことって何だろうなんてことを考えた。ここまで勝てないなら昇格なんてしなきゃ良かったなんてことは絶対に思わないけど、本当に昇格するタイミングだったのだろうかということはよく考える。09年を教訓にするのなら、残留or降格が決まる前に目指すべき方向性を打ち出すことも重要なんじゃないだろうかとも思う。降格しても理想のサッカーを追求することはシーズン中は夢中になれるからいい。でも祭りが終わった後の虚しさが尋常じゃないこともよく分かってるし、何よりも継続性がなければ、こだわり続けてきたことが何の意味も持たなくなってしまうことも経験で知っている。ただそういうことを冷静に判断出来る、もしくはすべき人が大分トリニータや大分フットボールクラブにはいないのかなと思う。残留が最優先であることは揺らがない。その上でいま大きな岐路に立たされてると感じる。全てはここからの2戦次第。将来なんて言うと大袈裟だから、大分の中期的な未来を賭けた2戦ってことにしておく。2連勝することは奇跡に等しいけど、もう奇跡を起こすしかないんだから。
(ま、その奇跡を起こすことがそもそもスタートラインで、そこからが本当の勝負なんだけどね。)