Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

9位でフィニッシュ(34節C大阪戦)

2019-12-08 12:19:56 | マッチレポート19'
またもやロティーナからゴール奪えず。残り3試合で勝ち点を落とし続け最終的にはガンバ、神戸にも抜かれ9位でフィニッシュ。前節、今節と悪くはないもののパッとしないところを見ると、やはりモチベーションの低下は否定出来ないかな。しかし最もモチベーションが下がっていたのは自分。最後まで迷ったものの結局ライブでは日産スタジアムの優勝決定戦を選んでしまった。横浜は優勝おめでとう。本当に強かった。


ということでディレイ観戦。前半の阿道の決定機が決まっていれば違った展開になったかもしれないけど、後半はセレッソに余裕で受け切られてしまった印象。しかし結果には繋がっていないもののここ3試合くらいの小塚のマジカルタッチはさらにグレードアップしている印象。来季もいてほしいのはもちろんだけど、さてどうなるかな。


ソウザの直接FKは仕方ないとして、この日の試合もポゼッション率高め、シュート数少ない、失点少ないという今季を象徴するような試合だったと思う。片野坂サッカーも4年が経過して選手の戦術理解も進みベースの部分は確立されつつある。今季序盤は自陣で食い付かせて一気に裏返すような展開が注目を浴びたものの、結局ほとんどのチームが撤退戦術を選択してくるようになって効果的な攻撃を繰り出すことが難しくなってきている。ただそんな中でも大負けしないのはやはりポゼッション率が高いことにあると思っていて、今の大分の場合は「ゴールをするためのポゼッション」ではなく「失点しないためのポゼッション」の色が濃くなってきていると感じる。だからこそポゼッション率の高さやパス本数の多さとシュート数がリンクしていないんだと思う。今季は残留を絶対目標とする中でシーズン中にそういう微修正があったとしてもそれはやむを得ないと思うし、結果的には成功だったと言っていいと思う。ただ開幕からやることがバレてる来季はそうはいかない。今季のラスト5試合で唯一勝てたガンバ戦のゴールは2つともセットプレーから。清水戦のようにパーフェクトに崩してゴールを決めることが出来るのは理想だけど、もっとより踏み込んでもっと具体的にどうやってゴールを決めにいくのかの部分が来季の課題になるかな。そういう意味では前節の仙台の戦い方は良い悪いの観点ではなく参考になる。


結局のところ何が言いたいのかというとこの試合からゴールが決まりそうな気配が全くしなかったということだ。Jリーグ史上2番目に失点の少ないチームが相手だったということが一番影響してることは間違いないけど、ゴールを決める部分に関しては来季のバージョンアップに期待したい。


12勝11分11敗35得点35失点で9位。もう何度も言ってきてるけど、本当に素晴らしい成績。シーズン総括はアウォーズとお別れ記事で。

大分トリニータに関わる全ての皆さま、1年間お疲れさまでした。また来季も素晴らしい時間が過ごせるように頑張りましょう。
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色々と考えさせられた試合(33節仙台戦)

2019-12-01 21:44:09 | マッチレポート19'



先ほど仙台から帰宅。帰りにJヴィレッジでユースOBの鷺原くんの応援をしてから今季最後の遠征を締めくくりました。今季は6勝7分5敗(カップ戦含む)という現地成績。本当に素晴らしいシーズンを過ごさせてもらいました。


試合自体は微妙なところが全て相手に好転して結果として負けてしまったわけだけど、大分が現在置かれている状況や33節という時期を考えると大きな問題を感じるものではなかったと思う。

この試合を語るうえで仙台・渡邉監督の試合後コメントは避けては通れない。完全に引き切った上でセットプレーかカウンターで点が取れれば儲けもの(それで全て取られてしまってるのはうちとしては反省材料だけど)のサッカーに徹して死に物狂いで残留を勝ち取りにきた。J2から2位で勝ち上がってきたクラブ相手に自ら積み上げてきたものの全てを捨てて試合に臨むということの意味を包み隠さず語っている。そしてそれは仙台の目指すべき中長期的な未来についても語っているように聞こえる。ぶっちゃけ仙台の未来なんてどうでもいい。ただ我々が初めてJ1から降格した年に入れ替わりでJ1に昇格した仙台がそれから10年間もJ1の座を死守していて、震災のあった2011年こそ鮮烈な印象を残したけどそれ以外は正直パッとしない成績に終始しながらも生き残り続けていることに我々が参考にすべき部分が多々あると感じている。何が何でもJ1残留が目標だった今季はそれで良かった。ただ真ん中より上の順位で今季を終えた場合、来季以降は自然と目標は上を向くはずだ。そこで大事になってくるのはクラブが今度どこを目指しているのかということだ。予算だけで判断するのなら大分トリニータはJ2にいることが妥当なクラブだ。今は監督や選手の巡り合わせがガッチリと噛み合い抜群の費用対効果を生み出しているけど、これがいつまでも続かないなんてことは分かっている。それじゃ、この規模のままこの体制が続くところまで続けていくのか、このチャンスを逃さずクラブの規模を大きくしていくのか。どちらの道を選択しても簡単じゃない未来が待っていることは簡単に想像出来る。仙台が10年かけてある程度の成功を収めながらも未だに悩む「このままでいいのか」問題。果たして我々のクラブはどういうヴィジョンを描くのだろうか。

そういえば2016年に天皇杯で甲府を訪れた時に、有名なほうとう屋さんの店内に「J1 4年目!」と書かれた甲府のポスターが貼ってあったことを思い出した。甲府が1年1年を生き残るために必死でやっていることが、何のひねりもないコピーだからこそ逆に強く訴えかけてきた。J1に生き残ることは簡単じゃない。


試合については相馬監督の町田をさらに消極的にしたような相手と試合をしている印象だった。まさかあそこまで消極的だとは片野坂さんも想定していなかったのか、後半になってからやっと仙台対策をしてきたなと感じた。仙台は縦横ともにコンパクトに布陣を保ち中をガッチリと締める。そしてその重心は町田よりも遥かに後ろに重い。後半になってからそのコンパクトな布陣をバラけさせるためにサイドチェンジのパスを多用していたけど、もっと押し込んだ状態から逆サイドに振らなければコンパクトな布陣は乱れないだろうし、あれだけすき間なく構えている中にアーリークロスを入れ続けてもシュートに持ち込めるわけはないことに早めに気付いてほしかったけど、試合中に修正出来るほどの対応力は今の大分にはまだないと感じた。夏以降完全にレギュラーに定着していた小林裕と三竿が同時に不在だったことも少なからず影響はあったと思う。焦れずに我慢していれば負けることはなかった試合だと思うけど、あれだけミスをすればそりゃ見逃してくれない。目の前の選手にパスぶつけ過ぎだよ。





日本平で三竿が4枚目のイエローをもらってからこの日の左CBに誰が入るのかは色々な意見があった。しかし結果は羽田健人という誰もが予想しなかったであろう万馬券が答えだった。「ぶっつけ」という片野坂さんのコメントから来季を見据えた起用であることは明白で、庄司と岡野のレンタルバックはこれでかなり可能性が高まったと見るのが自然でしょう。これがJ1リーグの本番であることを考えれば羽田は十分過ぎるほどよくやったし、来季の戦力として期待してよさそうだ。ぎこちないながらも前線に顔を出そうという意図も見えたし、逆足ながらも丁寧にパスを付けつつ時折縦への狙いも見せていた。



仙台はやはり永戸勝也が印象に残った。特に前半は目の前でうちのストロングである右サイドにどん詰まりを発生させていて「さすが」の一言。仙台には申し訳ないけど、この選手をもうキープしておくのは難しいんじゃないかな。左SBという日本サッカー界が抱える慢性的な人材不足のポジションであることを考えるとそろそろ日本代表からお声がかかってもおかしくないと思ってる。



今季中の復帰は難しいかなと思っていた成豪が復帰即出場となったのは良かったんだけど、試合後サポーターへの挨拶をせずに足を引きずりながらドレッシングルームにそのまま下がっていったのがとても心配。ちょっとケガが多すぎるね。













さあいよいよラスト1戦。勝って有終の美を!
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もう一つ上に行くために(32節清水戦)

2019-11-25 00:16:33 | マッチレポート19'
筆が進まぬ。チームが平穏だったり、個人的に忙しかったりで筆が進まぬ。


ざっくり言うとアウェイ名古屋戦をそのまま見せられたような試合だったという印象。先制点はシーズンベスト級の素晴らしい崩しからの田中達也移籍後初ゴール。前3枚と両翼全員が絡んだ文句の付けようのない連携。昨シーズン本当によく決まった逆サイドが仕留める形。J1に上がってきてからなかなか出せてなかっただけにようやくJ1でもこのレベルまで引き上げられるようになってきたとみていいのかな。ただ一方で対戦相手の清水は残留争いをしてるチームらしく、ドウグラスはすごいけど、逆に言うとドウグラスしかすごくないしこの順位にいるのが納得な試合だったからあまり目線を上げすぎるのも良くないかなとは思う。

すごくいい形で、かついい時間帯(ハラヒロミではない)に先制点が決められたから後半の試合の進め方はいい試金石になるなと思いながら観てたんだけど、最後に同点ゴールを決められてしまったことよりも後半を主導権を持ってコントロール出来なかったことの方がより残念だったかな。残留争いに向けて何としてでも同点以上にしなければならない相手の心理状態を把握して、しっかりといなしながらカウンターの脅威をチラつかせておく。しっかりと走らせて弱らせた上でゲームをクロージングする。この試合や名古屋戦で出来なかったそんな試合運びが出来るようになるともう一つチームとしてのステージが上がるかもしれないなと感じた。





日本平は相変わらず素晴らしいスタジアム。清水エスパルスというクラブに特段の思い入れはないんだけど、ヤマハと日本平が同時にJ1から落ちてしまうのは寂しいので何とか残留頑張ってください。



あ、テセキムチ美味しかった。



西澤健太選手。




筑波大卒のルーキー。ここまで21試合に出場して7ゴールとクラブ内の日本人選手トップスコアラー。大学時代何度も見た選手だけど、正直にいきなりここまでの数字が残せる選手とは見ていなかった。関東大学リーグを見ていると清水アカデミー出身の選手たちの質の高さは目を見張るものがある。いい選手だなと思ってプログラムでプロフィールを確認すると清水ユース出身だったってことは1度や2度じゃない。中でもいま一番面白いのは立正大の平松昇(3年)。来年鮭るかな?





ハンドでノーゴール判定となったシーンはセンターサークル付近まで下がっていったドウグラスに中途半端にノリさんが食い付いていった結果潰せずやられてしまった。まあたまにはそんなこともある。2節、3節で続けてカードをもらってしまった時はノリさんでも頻繁にカードもらっちゃうくらいにJ1は厳しいリーグなんだなと思ったし、20節の川崎戦でリーチがかかった時はいよいよ連続出場記録もここまでかと覚悟したもんだったけど、あれから4ヶ月ハードなマークや相手FWとのやりあいはそのままにいよいよラスト1試合までこぎ着けた。次節仙台戦でカードをもらわなければ34試合スタメンフル出場が可能になる。是非達成してほしいとは思うけど、そこは気負わずノリさんらしく。もう十分すぎるくらいにあなたの実力は分かってるから。


次節も楽しみなユアスタ。楽しみはもう少しバラしてほしいわ。来季は頼むよ、日程くん。
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今季一番楽しいゲームだった(31節ガンバ戦)

2019-11-11 01:04:13 | マッチレポート19'

行ってきましたよ年イチホーム参戦。そしてまたしても勝ちましたよ。これで足掛け4年間ホームで全勝。



今季初なので「昭和電工ドーム大分」の名称になってからももちろん初。



トリスポ飲んだのも初。青が出てきた。



街はまだわずかにラグビーW杯の余韻を残しつつももうすっかり日常でしたね。



試合の方は今日のポイントは何と言っても「田中達也」。大分ごときに主力を引っこ抜かれてしまったガンバ側は必要以上にピリピリムード。ガンバサポーターが飛ばす執拗なブーイングにこんなことは初体験の大分側のスタンドも困惑気味。ただこの状況が事前に予想出来た大分ゴール裏もド真ん中に「田中達也」の幕を持ってきて迎撃。



サポーターの行動についてはある程度予想がついたものの、予想外だったのは宮本監督までそのムーブメントに乗っかってきたこと。プレーヤーとして警戒したのか、やられたくない一心だったのか、これまた必要以上に達也を警戒してきた。この写真のように達也が最前線まで張ってもそこまで小野瀬にマークにいかせ自由を与えなかった。確かに小野瀬のマークも厳しかったため今日の達也はサッパリだった。後半途中でベンチが高山を準備した時に今日の出来なら交代も納得だなと思うくらいにいいところはまるでなかった。しかしガンバ側の読み違えは今の大分にとって達也は唯一無二のストロングポイントではないということが分かっていなかったこと。特に後半の右サイドのやりたい放題ぶりに宮本監督は心の中では頭を抱えていたことでしょう。



ブーイングを飛ばしたいガンバサポーターの気持ちも分からんでもないけど、自分の意思で大分への移籍を決断した田中達也は移籍直後の川崎戦から今日までの12試合全てでスタメンフル出場。それもあなたたちが今季一度も勝てずかつ順位も上のクラブでだからね。もう今日でたくさん発散しただろうからこれからは彼の決断を認めなさいよ。それでまた来年札束でぶん殴りに来ればいいじゃない。それでこそJ1だよ。







試合中は本当にこの人はNEXT LEVELに突入してしまったんじゃないかと思うほどの躍動ぶりだったわけだけど、上記のとおり個人的にはガンバのやり方に問題があったと思うからそこは少し割り引いて見ないといけないかなと思ってる。しかし普段は固く閉じられてることが多い怜さんと智輝の前が今日はモーゼの十戒のごとく開けてるもんだから後半は本当に楽しかった。青いユニフォーム姿の生の智輝を久しぶりに見たからかもしれないけど、線もかなり太くなった印象だしアデミウソンあたりとのデュエルでも全く見劣りしていなかった。もうあと恐いのはケガだけ。五輪絶対にいけるよ。



宇佐美さん。先制点のニアぶち抜きの強烈なシュートはお見事。



ヤットさん。最終盤にゴール前に放り込みたかったところでホームランをぶちかました時はもうそろそろなのかもなと思った。ヤットさんはずっと大好きなプレーヤーだったから大分でこうやって見ることが出来たのは嬉しかった。



井手口さん。今日は全く恐さがなかった。ハリル政権時の最後の頃はガンバどころか代表すらも井手口の時代が来ようとしていたくらいだから今日の大人しいプレーぶりには少し寂しさを感じた。宇佐美も井手口もシーズン最初から調整出来る来季こそはガンバにとって勝負のシーズンが来るんだろうね。ただガンバらしいスペクタクルなチーム作りをするのなら宮本監督じゃないような気はするけどね、外野の意見だけど。





同点シーン直後の抗議シーン。スペクタクルなサッカーも伝統だけど、「抗議」もガンバの伝統。そしてこういうシーンに必ず「一丁噛み」してくる東口。後半のCK取られたところで思いっきりボール蹴っ飛ばしてたのアレはダメだからね。





ハーフタイム明けに入念にやり取りをしていたさんぺーと長谷川。ボランチとしてやらなければいけないことに足りない部分がまだまだあるとは思うけど、やっぱり長谷川のパスセンスは魅力。特に今日も二度ほどあったポジトラの局面で奪ったボールをワンタッチで前に出すパスは一気に局面をひっくり返せるので期待感が大きい。



フォームはカッコいいけど、これはミスキック。










ガンバに逆転勝ちという結果だけでも十分に素晴らしいんだけど、もっと楽勝だったんじゃないかという感想はどうしても残る。小塚、1本は決めよう。小塚がシュートあまりうまくないなというのは実は開幕戦の試合前から薄々気付いていた。ピッチ内アップではやはり新加入の選手を中心に見ていたわけだけど、一番目を引いたのは涼太郎。とにかくシュートがうまいという印象。一方で小塚は枠を捉えないことも多く、ぶっっちゃけて言うと「シュートはあんまりうまくないな」という感想で、その印象はその後も変わることはなかったから今日の決定機逸もまあ受け入れられないものではなかったよね。シュート練習しよう。のびしろだ!


本当に楽しかったホームゲーム。残り試合もいよいよ3試合となってしまったわけだけど、来季に向けて全てが大事な実戦の場。1勝1敗1分で勝ち点50。結果にも内容にもこだわってこの素晴らしいシーズンを締めくくろう。
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前半5分で決した試合(30節FC東京戦)

2019-11-03 00:12:05 | マッチレポート19'
前半の猛烈な勢いと低調に見えた後半を比較して解説の早野さんは今日のFC東京を「二面性」と評価したが自分は違う印象を持った。わずか7分で2点を取ってしまえば、残りの長い時間を考えても重心を少し後ろにズラし、自陣に相手を引き込んだ上で受け止めきれるとという考え方になった方が自然だと思う。ここまで30試合やって1試合1失点以下のチームならそのやり方に自信もあっただろうし、決してアウェイチームの「二面性」が表れた試合ではなかったと思う。だから大分が後半は攻勢に出られたという評価をしてはいけないと思うし、いかに序盤の軽い失点がこの試合にダメージを与えたのかにもっとフォーカスしなければいけないと思う。


長谷川監督は試合前からこの試合の戦術として「私の性格上、どうするかは分かると思いますが」と前から積極的に守備に行くことを包み隠さず公言していた。そのことは大分陣営も確認していたはずだし、選手たちにも共有されていたはず。大分相手にはしっかりと引いて我々の攻めてをなくさせてから試合運びのうまさで対抗してくるチームが多い中でFC東京のように極端にやってくるのは珍しく、ましてやそれが試合前から分かっていたわけで試合の入りには十分に注意しなければならなかったはずだ。にも関わらずなぜあんなにも軽卒にかつ無謀にGKが飛び出しゴールマウスをガラ空きにしてしまうのか全く理解が出来ない。繰り返すけど1試合1失点しないチームに対し試合開始5分で失点してしまうことの重要性を本当に分かっていたのだろうか。


大分のGKには普通のGKには求められないタスクが課されていて非常に難しい役回りだというのは十分に理解している。だからこそ片野坂サッカーがまだヨチヨチ歩きで聞くに堪えない野次が多かった頃はチャレンジングな繋ぎには積極的に拍手して支えてきた。相手をはがすために出来る限り引きつけてパスを出す等のリスクをある程度まで取らなければいけないことも十分に理解している。だから前半30分にも自陣ゴール前で危ないミスがあったけど、その類いのミスはスタイルを追求する上で包含されているリスクとして許容している。しかし高木がここ数ヶ月で繰り返しているミスはその類いとは違う一般的なGKにも求められている判断を誤ったことによる失点、そして勝ち点ロストだ。

・(鳥栖戦)リードしている後半ATというリスクを取る必要のない時間帯に無理に繋いでゴールマウスがガラ空き
・(湘南戦)単純なボールファンブル
・(磐田戦)相手のクロスに対して飛び出すもボールに触れず力なく放たれたヘディングシュートはガラ空きのゴールマウスに決まる
・(東京戦)DFが2枚もいるにも関わらずなぜか飛び出してきて軽くかわされガラ空きのゴールマウスにシュートを決められる

大分はボールの保持率が高い割にシュート数が少ない。これは無闇にシュートを撃ってカウンターを食らわないリスクヘッジ策がスタッツに表れている一面もあり、DF陣の裏の広大なスペースをアスリート能力の高いGKに埋めてもらおうという戦術を大分が採用していないことは誰の目にも分かる。高木が高い位置取りをするのはあくまでも攻撃時のことであって守備時の話ではない。だから今日のミスが単純なチョンボであることは否定のしようがない。


鳥栖戦が21節なのでわずか10試合の間にこれだけの決定的なミスを繰り返せば序列が変わるだけの十分な理由になるはずだ。総合的に判断して現在のGK陣営の中で高木のレベルが最も高いんだろうということに異論はない。実際に浦和戦も高木のセーブがなければごっちゃんのゴールもなかっただろうと思うし。ただこれだけの試合の趨勢を決定付けるミスを繰り返しながらリーグ戦はおろか天皇杯のスタメンすらも変わらないのであれば高木に慢心が生まれてもおかしくないし、チョンボが繰り返される理由と捉えられてもおかしくないはずだ。


まずは1回やってみよう。ぶっちゃけ今季の我々には目標はなくなった。サッカー専門紙の優勝&ACL争いにエントリーもされなければ、10チームもエントリーされている残留争いにもエントリーされない我々に今季の目標はもうない。つまりはどこのチームよりも早く来季に向けての準備が出来るというアドバンテージを得たわけだ。いろいろやってみよう。背番号1に危機感を持たせるだけでもいろいろやってみる価値はあるはずだ。ま、どうせ変わんねーだろうなと期待はしてないけど。


今日の試合は前半5分のプレーで全てが決まってしまったと思っているのでそれ以降を語る意味をあまり感じない。なのでワンテーマで終わり。この点に関しては色々と意見を読んでみたい。特にここまで徹底してスルーを決め込んでる番記者さん。
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原点回帰(29節浦和戦)

2019-10-19 00:42:20 | マッチレポート19'
タイトルの原点回帰はチームのことではなく自分自身の気持ちの話。正直に言って夏頃に残留が現実的なものとなって以降、トリニータに向き合う熱量が足りないなと感じていた。ATに勝ち点を失うゴールを決められても「ま、仕方ないか」くらいで軽く片付けられていたし、奥歯が砕けんばかりに力んで試合に接していたかつての熱さがこみ上げてこないことに自分自身少しの物足りなさを感じていた。かと言ってこんなんだったら残留争いしていた方が良かったんじゃないかとまでは思わないし、本当に素晴らしいシーズンを送らせてもらっていることに対しては心の底から感謝している。でも今日の劇的ゴールでそんなモヤモヤの全てがぶっ飛んだ。これだよ、これ!自分が20年近くもこのチームを追いかけてきたのはこういう瞬間があるからだろって気持ちを思い出させてくれるゴールだった。本当に幸せな瞬間だった。


結果は置いておいたとしても今日はいいゲームが出来ていたと思う。島川に代わって長谷川、そして2列目に小塚が入ることでビルドアップの質が上がっていたように思う。パスルートのヴァリエーションも豊富でよくボールを動かせていた。相変わらずシュートの数は少ないものの前半は主に主導権を握れた。ベンチに好調のさんぺー、帰ってきた伊佐が控えていることで後半に試合を決めにいける材料があっただけに後半浦和に巻き返されたのはちょっと意外だった。危ないシーン自体は終盤の2発を除けばほとんどなかったので、もう少し押し返してほしかったけどなかなかうまくいかなかった。ごっちゃんの1トップがしっくりこないというのはこの試合に限ったことではないんだけど、押し込まれた理由はもっと別の部分にありそうな気がしている。





最後のシーンは三竿が本当によく走った。走力の部分ではどうしても右サイドに注目が集まりがちだけど、左サイドも忘れんなと言わんばかりの後半ATの爆走からのパーフェクトなクロスだった。



ごっちゃん、おめでとう!決勝ゴールが決まった瞬間、伊佐、さんぺー、ごっちゃん、怜さん、智輝、ノリさんとJ3時代を知る選手が6人もピッチに立っており、その数は遂に過半数に達した。そのチームがこれぞJ1とも言える埼スタで、いわゆるビッグクラブの浦和とのゲームで劇的な決勝ゴールを決めて涙なしで語れようか。あまりJ3時代の話をするのはいま在籍して戦ってくれている選手たちに失礼になると思うので、今日までにしたいと思うけど、今日のゴールを見てあの時代をこの選手たちと乗り越えられて本当に良かったと改めて思い直した。





89分の2つのビッグセーブがこの勝利を呼び込んだのは間違いない。後半に自陣ペナルティエリア左側で深くまで食い付かせてからロブ気味に20〜30m先の(多分)ボランチに付けたパスに拍手を送れるスタンドでありたいと思う。これは強く思う。



87分に浦和陣内やや左側でロングボールを収めた後に右の怜さんへ長いパスを送った。パスは狙いよりも少し前に流れてしまい通らなかったわけだけど、あのパスを選択出来るようになったことだけで成長だと思う。収めて振り向いた後に冷静に遠くが見られるようになっているのが成長だ。チャレンジングなプレーであれば例えミスでも拍手を送れるスタンドでありたいと思う。これは強く思う。



やっぱり長谷川いいな。両足を遜色なく使えるという優位性がビルドアップの局面で際立つ。今日は長谷川の魅力の一つでもあるサイドチェンジの長めのパスは控えていた(意識的かも)みたいだけど、小林とのコンビネーションもよくスムーズにチームを前進させてた。前も書いたけど、長谷川は試合で使って育てたい。







さんぺーってホントすごい。適当にシャッター切ってもいい顔ばっか。


これで札幌を抜き7位に浮上。10月も半分を過ぎて7位に浮上。本当に素晴らしいシーズンとしか言いようがない。こんなに気持ちが高揚して最高の気分なのに、明日は朝から人間ドックのため酒どころか飯も食えず、まだしばらく祝勝会はお預けです。
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来季を見据えて(28節名古屋戦)

2019-10-06 00:34:56 | マッチレポート19'
悔やむとすればユニに着替えて指示出しまで終えて準備が完了していたマルちゃんを引っ込めてしまって、その直後に失点してしまったことくらいかな。もうごっちゃんはかなり前から限界来てたし、時間帯を考えたら時間稼ぎの意味合いからもあそこは決断するべきだった。J3時代からよく言ってきてるけど、片野坂さんは選手交代準備中に失点することがすごく多い。つまり決断がワンテンポ遅い。ただ今日のその場面もあくまでもタラレバの世界で、決して悪い試合ではなかった。


風間さんからフィッカデンティに監督が交代して2試合目の名古屋。初戦となった広島戦を観ていて今日の前半の展開は簡単に予想が出来た。前線から取りに行かない、クリスマスツリー型で後ろに重たくどっしりと構えてまずは失点しないといういかにもイタリア人指揮官というやり方。ついでに季節外れの暑さもあって大分側もアグレッシブさを出さないようにしていた感もあって、前半は比喩表現ではなく朝が早かったこともあり、2度ほどウトウトしかけたくらいに眠たい試合だった。後半になって大分がボランチのところで1つ遠いところを見るようになり出して試合は動き出した。うまく先制出来て、名古屋が慌てて前がかりになり始めた時にあちこちにスペースが出来て追加点は時間の問題だったと思うんだけど、そこで決め切れなかったのが今のチーム状態なのかなとも感じた。最後の失点はまあやむを得ない。そこまで後ろはよく耐えてたと思うよ。


ここからは完全に妄想を含めた個人的な見解です。今日の試合はこんなことを考えながら観ていたっていう話。



第26節湘南戦  伊佐・阿道・さんぺー
第27節磐田戦  阿道・達也・成豪
第28節名古屋戦 ごっちゃん・さんぺー・小塚

ここ3節の前3枚のスタメン。今日はついでにスタートから両WBの位置を入れ替えてもいた。前節までは片野坂さんも最適解を探すのに相当頭を悩ませてるなと思ってたけど、今日のいじり方を見て「あ、これもう来季見据えてるな」と思った。7月出場なし、8月1試合出場、9月出場なしで今日は久しぶりの先発となったごっちゃん。裏への飛び出しの鋭さに欠け、こぼれ球への反応速度もワンテンポ遅かった。お世辞にもトップパフォーマンスとは言えないことが明らかだったごっちゃんが普通に使えたはずの阿道を外してまで先発となったのは来季を見据えてるとしか思えないんだよね。阿道の来季の去就について不透明感が増してきていると考えておくことが大事だというのは今年の夏に学んだ。そう考えるともうめちゃくちゃと言えるくらいにいじってる前3枚の組合せも来季を見据えてなんじゃないかと思うし、左右の入れ替えも目の前の試合を見ているとは思えなくなってくるんだよね。


さらにこれは穿った見方すぎるかもしれないし、彼の努力を否定するようなことを言うつもりもないんだけど、今日の小島のベンチ入りも来季を見据えてるんじゃないかと思っていた。長く年代別代表のトップランナーだった小島もプロ入り後に壁にぶつかって今季の出場機会は限られている。本番の東京五輪まで1年を切って来季もこの状況が続くようであれば最終選考から落ちることも十分に考えられる。そんな小島が出場機会を優先して来季はJ2のクラブとかに移籍しようと考えることは極めて自然だと思うんだよね。チームとしてはやっと手に入れた大学No.1GK。川崎からのレンタル移籍であるポープよりも優先しようという考え方がこの時期にあったとしてもおかしくはないと思うんだよね。


この時期に来季を見据えられることは決して悪いことではないと思うし、確実にシーズンの終わりが近付いてきてるなと感じさせられて何となくしんみりとしながら試合を観ていた。


ということで本題の試合からかなり逸れたので話を戻します。




岡野が3試合連続のスタメン。そしてリーグ戦で先発する姿を今日初めて見た。1度危ないミスはあったものの、十分によくやれていたと思う。ちなみに今日の名古屋はバイタルエリア辺りから先には深追いするなと厳しく指示されていたと思うんだけど、岡野が引っかけられそうになった直後にイケイケになりかけて前がかりになったのを見て、さじ加減は難しいもののうちとしてはこういうエサの撒き方もアリだなとは思った。だから高木や、フク、ノリさんがかつてそうであったように岡野もアレくらいのミスだったら堂々としていればいい。演技でいいから鈍感力マル出しでいけばいい。その裏にチャンスはやってくる。1試合に1〜2本センスを感じるパス出しが必ずあるし、ディフェンス面でもよく頑張ってると思うけど、智輝が戻ってきた時にあっさりとポジションを明け渡してほしくないくらいの活躍を期待しているので、もっともっとやってほしい。





絶好調おじさんは3試合連続ゴール。入り込み方もスラしも完璧でさんぺーらしいゴールだった。ただここ2試合さんぺーをヒーローにさせない何か邪悪な力が働いてるような展開なので、そんなのもぶっ飛ばすくらいに1試合2ゴールとかハットとかやってくれちゃってもいいんだよ。








名古屋は監督交代後何とか勝ち点を拾ってはいるものの爆発的に勝ち点を奪えるような勢いは感じなかったし、鳥栖、松本から第2エンジンを点火させたような印象を受けるだけに残り6試合はしびれるものになりそうだね。J1に残留することがいかに難しいことかということを余所様の動向から改めて感じさせられる。
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充実の選手層(27節磐田戦)

2019-09-28 22:10:37 | マッチレポート19'
負ける試合じゃなかったと思うからモヤモヤ感は残るけど、その点はまた後で。


今日は記念すべき市陸開催の2戦目だったので早々に飛行機もホテルも確保して行く気マンマンだったんだけど、主に仕事を理由に2日前に自主的にキャンセル。行けなくはなかったんだけど、まあもう若くないんで無理はしない方がいいと思うようになってきたここ数年。今後市陸開催があるかどうか分からないだけに行きたかったし、確実にノスタルジックな気分になれたと思うから本当に残念だったけど、まあやむなし。


前節MOM級の活躍だった伊佐が不在、ずっとレギュラーとして出場し続けてきた小塚が遂にメンバー外、前節からだけど智輝も不在と普通に考えれば不安になる要素はたくさんあったと思うんだけど、今はスタメンが前節からガラっと変わってもそんな気持ちになることはまずない。成豪の初スタメンにワクワクしたし、奇策と思われた田中達也の2列目起用も右サイドの縦のユニットが機能して面白かった。さらには星と達也のシャドーとワイドの入替なんていうチャレンジまで試せたし、智輝に代わって2戦目のスタメンとなった岡野も意外性のあるドリブルから実質アシストとメンバーが変わることの不安感は皆無に等しく、むしろ楽しみしかないと言っても過言ではない。


こんな状況になるなんてシーズン前は予想も出来なかった。特に2列目の充実ぶりは目を見張るものがあり、もはやこの中から最適解を導き出すのは片野坂さんでも無理なのではと思うくらいのレベルだ。小塚が固定されていたこともあり、これまではどちらかと言うと戦術遂行のために賢い選手が優先的に起用されていた印象だけど、残りのシーズンはもう失うものもなくなったし、成豪や涼太郎、今日初披露となった達也と単独で仕掛けられる選手たちの起用が見たいなと個人的には思っている。やはり前を向ける選手の期待感はサッカーで最もエキサイティングな部分と言ってもいいと思う。


片野坂さんの言う「攻め急いだ」感は確かにあった。正直に言って勝てる相手だったし、自分も同点以降は磐田ゴールをこじ開けることにしかフォーカスしていなかった。ただその状況は置いておいたとしても最後の高木の飛び出しは「チョンボ」だ。ゴールライン上で守っていれば何の問題もなくセーブ出来るヘディングシュートだったわけで飛び出して触れずガラ空きのゴールに決められたのは高木の「チョンボ」だ。充実しているがゆえに毎節のようにスタメンが変わる前線と比してGKは高木で固定されている。GKとはそういうポジションだと思うしそこに異論はないけど、鳥栖戦、湘南戦、そして今日と決定的なミスが止まらない高木はもうベンチに下げるべきだ。逆に言えば、ここまで安定しないプレーぶりで序列が変わらないのであればサブのGKは何を目標に頑張ればいいのか分からなくなってしまうのではないか。ビルドアップでの貢献度が評価されているのかもしれないけど、それを差し引いてももうダメだよ。酷すぎる。この一言に尽きる。
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残業代は勝利給!(天皇杯R16広島戦)

2019-09-18 23:06:41 | マッチレポート19'
うちもそうですが最近水曜日を早帰りデーにしているところが多いですね。そのおかげで今日もキックオフから観られたわけだけど、その早帰りの水曜日に選手たちはまさかのフル残業。サービス残業にならずに勝利給という名の残業代が出て良かったね!


やっと広島からゴールを決められた。前半は両チーム合わせても唯一涼太郎だけが前を向いて仕掛けるという姿勢を持っていたように見える。開幕戦のカシマスタジアムで初めて大分の伊藤涼太郎を見た時の一番の感想は「シュートがうまい」ということだった。フェイントで荒木をすべらしてニアに突き刺した一連の流れには本当にセンスを感じるし、リーグ戦に絡んでいくんだという貪欲なアピールの姿勢には好感しかない。勝ち抜けのご褒美として磐田戦は涼太郎をベンチ入りさせてほしい。


同点にされたゴールはハイネルをほめるしかないようなシュートだったけど、それ以降は広島もパッタリと足が止まり決定機はどちらかと言えば大分の方が作れていた。ただ誤算だったのは途中投入で誰よりも元気に動き回ってほしいはずのごっちゃんと成豪に全くキレがなかったこと。確かに数ヶ月試合から離れていたから試合勘みたいなものが合わないのは仕方がないかなとは思うんだけど、2人とも揃って体が仕上がっていない。まるでキックオフからピッチに立っていたかのように周りと同じように足が止まっていた。2人には期待していたのでちょっとガッカリしたけど、前向きに捉えればここでそれが分かって良かったと言える。リーグ戦までにはしっかりと仕上げてきてほしい。伊佐耕平といういいお手本もいるし。


コヅに元気がないのも気になった。良い悪いの問題ではなく元気がなさそうに見えた。あまりにもあっさりとボールをロストするし、たまにアップで表情を映されても覇気がないように見えた。ここ数試合スタメンから外れているのがこの元気のなさと関係があるのだとするとちょっと嫌だなとも思うし、もしシーズンを通してずっと稼働してきた疲労が溜まってきているのだとすれば、2列目の人材豊富な今こそ休むべきだと思うけどな。あまりの元気のなさにちょっと気になった。


リーグ戦ではまずここまでの消耗戦にはならないだろうと思うし、そんな試合をやったおかげで意外な一面も見えてきたように思う。さすがにあまり責める気にはならないけど、けっこう早々に阿道のガソリンが切れたことには驚いた。4日前もフル出場しているわけでそこは割り引いて見てあげなきゃいけないけど、PK戦突入直前の最後の最後にこれ以上ないチャンスが回ってきたにも関わらず、これ以上ないくらいのショボいシュートをかます姿を見て「あ、阿道も本当にしんどいんだな」ということを実感した。一方でタフネスぶりを見せてくれたのは三竿だ。連続フル出場となったわけだけど、延長戦でもオーバーラップする気力を残していたし、最後のしんどい局面でもキックの精度は保たれていたし、意外と言っちゃあ失礼かもしれないけど、「タフネス三竿」の本領を垣間見たような気がした。


天皇杯のPK戦と言えば直近では2016年シーズンの甲府戦。アウェイだけどPK戦の陣地は自分たちが取り、そしてファーストキッカーにごっちゃんが出てきたところまでは本当にデジャヴのようだった。しかしJ3だった3年前と違うのは成長したごっちゃんはちゃんと決めたということ。そしてまさかまさかのフィールドプレーヤー全員が成功するという究極の我慢比べ。こういう展開になると外したら即負けのシチュエーションがずっとついてくる後攻が圧倒的に不利だと思ってたけど、見事に全員成功した。大分の選手も広島の選手も長いPK戦の間笑っているシーンが多かったし、そんなところを見るとやはりPK戦は運の要素が強いなという思いを新たにした。


今まで冗談のように新国立に行きたいから天皇杯は絶対に勝ち抜こうと言い続けてきたけど、それだけじゃなくて個人的にはカップ戦を勝ち抜いていくことは実戦の場を増やすことに繋がるわけでチームマネジメントにおいてめちゃくちゃ重要だとずっと思ってるんだよね。運の要素は強かったかもしれないけど、120分まではリーグ戦で我々よりも上位につける広島相手にがっぷり四つのサッカーが出来たことは評価していいと思うし、このしびれる試合をまだ続けていけることは幸せなことだと思う。そこで改めてトーナメント表を見てみると、我々側の山で残っているのが神戸、鳥栖、清水。何と全てリーグ戦で我々より順位が下のクラブのみ。「寝言は寝て言え」と言われることを覚悟で言っちゃうけど、2020年の元旦に新国立のピッチに立つのそんなに夢でもなくなってきたぞ、おい!ってことだよ。


あ、ヤバい。自分で書いて自分でドキドキしてきた。ベスト8は神戸か大分だろうから現地には行けないけど、また水曜日だからリアルタイム放送には間に合いそう。今度は残業なしで、定時で上がろうぜ!
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トンネル抜ける(26節湘南戦)

2019-09-14 22:52:09 | マッチレポート19'
J1残留おめでとうございます!もうかなり前から大丈夫だとは思ってたけど、下3つが全コケという今節の結果を持って残留はほぼ確定した。残り8試合で入替戦圏内と勝ち点差12、さらにその間に7つもチームがいるわけでこれがひっくり返るとことはまずないでしょう。シーズンが終わったらまたちゃんと書こうと思うけど、本当にこのチームは偉大なことを成し遂げたと思うよ。昇格初年度の残留が本当に難しい環境の中で本当によくやったと思う。


全くやれていなかったわけではないから2ヶ月も勝利なしだったという実感はなかったけど、監督や選手たちはその間は難しい時間だっただろうね。ただ勝つには勝ったけど、試合運びがあまりにも拙いこと、パッションを感じない湘南はただのJ2クラブであることを考えるとまだ安心は出来ないかなというのが正直な感想。


松本を完全に押し込みながら1つもゴールを奪えなかったことでこの2週間はゴールを決めることにフォーカスしているという情報がたくさん聞こえてきた。宮崎産業経営大とのトレーニングマッチでは13ゴールを決め感覚を思い出させ、そしてスタメンに伊佐とさんぺーという昨シーズンJ2で猛威を振るった前線のメンバーを復帰させる等片野坂さんは万全の準備をしてきた印象だ。そしてそれは前半2ゴールという願ってもない展開へと繋がった。ただ少し冷静に評価しないといけないなと思うのはどちらも相手のとんでもないミスから生まれているので、その点は割り引いて見る必要があると思う。サッカーはそういう競技であるという側面はもちろんよく分かっているつもりだけど、それならば後半に田中達也が1対1を決め切って湘南の息を止めるか、高木のミスがなくクリーンシートで終えていれば評価に値したと思うけど、最後のドタバタを見るとまだ苦労しながら進んでいくんだろうなと思ってる。特に高木は月1ペースで決定的(というか全て失点直結、勝ち点ロスト直結もあり)なミスをやらかしているのでそろそろ危機感を感じてほしい。さすがにやらかしすぎ。


アルウィンでいきなり見せた躍動感はこのチームの救世主になり得るものだという予感はあったけど、早々に次の試合で結果を出すところが伊佐耕平の千両役者たるところだ。2014シーズンのキャンプイン直前に入団が決まり、ルーキーイヤーは自らを「犬」と呼び前線から一生懸命追うことくらいしかアピールするところがなく、さらに90分走り切るだけのスタミナも備わっていなかった。入団2年目にはヘディングでプロ初ゴールを決め存在感も増し始めていたけど一方でチームはJ3降格。そこからのピッチ内外での成長曲線は皆が知るところだけど、そんな伊佐耕平が大分でJ1初ゴールを決める日が来るなんてね。もう嬉しいなんて陳腐な表現だけでは表せないものがあるよね。伊佐、おめでとう!でもまだここからだよな。もっとバンバンゴールを決めてくれ!


そしてさんぺーもおめでとう。伊佐の成長物語も大分サポーターにとって涙なしでは語れないものだけど、さんぺーと大分のロングロングラブストーリーもまた素晴らしい出会いあり、悲劇的な別れあり、運命の再会あり、そして2人の仲を引き裂かんばかりの降格という大きな障害ありと本当に本当に色々とあったから大河ドラマに取り上げてもらいたいくらいだよね。キーパーの逆をつくテクニカルなシュートはさんぺーらしかった。嶋田の加入、ごっちゃんと成豪の復帰と2列目は史上空前の大競争時代に突入して大変だろうけど、さんぺーにはさんぺーにしか出来ないことがあると思ってるからどんどん引っ張っていってほしい。


いま大分トリニータで戦ってくれている選手たちを全力で応援するという大前提に変わりはないんだけど、やっぱりJ3時代にこのクラブを捨てずに一緒に戦ってくれた選手たちに特別な思いがあるのは正直な気持ちで隠すつもりはない。だからチームが勝っただけでなく、その選手たちが活躍してくれたらより一層嬉しい。話は逸れるけど、だからこそ再来週磐田にきっちりと引導を渡してこのオフのトップターゲットは昌也にしてほしい。


17年ぶりとなった市陸開催。オフィシャルのツイートにもあったけど、最後の開催は02シーズンの横浜FC戦だったんだね。その試合は観に行った鮮明な記憶が残ってて、メインスタンドのけっこう良い席に座ってたんだけど、何となく振り返ったら3列くらい後ろにその日はメンバー外だった松橋章太がつまらなそうな顔で試合を観てたんだよね。市陸については再来週の磐田戦は行く予定にしていて、懐かしさを肌で感じてから文章にしようと思うので、今日は割愛。


さあ、次は新国立目指して天皇杯がんばろう!!
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いまは耐える時、決して悪くない(25節松本戦)

2019-09-01 02:51:01 | マッチレポート19'




今日の試合は伊佐耕平の待望の復帰に尽きるわけだけど、単なる人気者の復帰というだけでない大きな意味があると改めて感じた試合だったのでその点は後ほど。伊佐、長かったね。これから暴れてやろう。


試合は予想以上にボールを握ることに。保持率は下手すりゃ8割超えたかもね。高木のボール保持には一切興味を示さない、阿道の動き出しに飯田がついてこれないので簡単に深さが取れてしまう、ゴリゴリのドン引きのためセカンドボールの回収はほぼほぼ大分、この辺りの要素が絡み合っていわゆる「無限攻撃」状態に。ただこの一方的な試合展開に持ち込めた一番大きなポイントは昨日の記事にも書いたけど「球際」だったと思う。第2節の対戦でこの部分で終始劣勢を強いられついには全ての勝ち点を持っていかれた。あの試合の反省が十分に活かされていたと思う。コンタクトに対してほとんど笛を吹かない大坪主審の基準ともうまくマッチして、「球際」で勝ち続けた。前節の広島戦もこの部分がとても良く、これをベースに出来れば他の部分がうまく回らなくても試合の形は作ることが出来ると思うから、多分ここ数試合は片野坂さんから十分に言われて出来ていることだと推測するけど、これを標準にしたい。


確かにこれだけ保持出来ていてゴールなしは物足りない部分もあるけど、さすがにあれだけ勝つ気がなくてスペースを埋めることに終始し続けた相手にはこれくらいが限界じゃないかなと思うよ。十分に工夫しながらやれることはやったんじゃないかな。嶋田慎太郎と小林裕紀は今日初めて生で見たけど、どちらも特徴がしっかりとしていて戦力となり得るなと感じた。ここ最近物足りなさが先行していた島川もティティパンも今日は効きまくっていた。2人とも即時奪還の局面で存在感を発揮していて目立たないながらも今日の攻勢を支えていたと思う。







そして伊佐耕平の復帰。伊佐投入と同時に阿道がシャドーに下がった。伊佐の仕上がりがどれほどかは今日の10分ちょっとでは判断しにくいけど、阿道をシャドーに下げられるというだけでも伊佐の復帰は大きい。1トップで入るとターゲット役としてどうしても我慢を強いられる時間帯も長くなるだけに阿道にはもう少し自由のあるシャドーで暴れさせたい。そしてやはり裏抜けの感覚においては伊佐の方がいいだろうし、早くフル出場出来るところまでコンディションを上げてきてほしい。しかしこうなってくるとシャドーのポジション争いがとんでもなくし烈になってくるな。今日スタメンの2人以外にもさんぺーも調子上げてる、成豪も復帰してくるだろうし、天皇杯でアピールしている涼太郎、言わずもがなの阿道、このポジションで一番出場時間の長いコヅ。これは悩ましい。


ということでパッと見は消化不良気味かもしれないけど、この試合は決して悪く捉える必要はないと思う。これだけボール握ればそれだけでリスクはヘッジされてるから。確かに3試合ゴールはないけど、逆の視点から見れば3試合で1失点しかしていない。9月はリーグ戦が2試合しかないから変にネガティブな方向に振る必要なんてなし。結果という点においては今は我慢の時。でも全然悪くない。



湘南。


千葉。


明治大学。


専修大学。


宮阪と永井。みんなもうすぐ忘れちゃうんだから。宮「阪」だよ。
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いいゲームだった(24節広島戦)

2019-08-31 02:12:20 | マッチレポート19'
今年の夏休みは1週間ヨーロッパに行っており水曜日の夜に帰国したばかり。時差ぼけでそのまま一睡もしないで出社。2日経った今も何だか常に眠い感じ。しかし順番が変わってしまうことだけは避けたかったので眠い目をこすりつつ(実際に前半は何度かウトウトした)先ほど広島戦を観た。


好調の広島を相手に球際の攻防激しい好ゲームだったと言っていいんじゃないだろうか。結果として2試合連続のゴールレスとなってしまったけども説得力のあるチャンスもたくさん作れていた。特にワンタッチのフィーリングが良く狭い局面をうまくすり抜けられていた。勝ち切れてはいないけど、決してチームの調子が下降気味だとは思わない。


智輝の好調さが光る。いや、もしかするともうこれが水準で好調なんてものじゃないかもしれないけど、対面した同い年の森島司とのマッチアップの際にはより一層力が入ってる感があった。開幕戦でがっつりやりあった安部裕葵がスペインへ移籍していったように「オレも」の気持ちは必ずあるはず。そして今日コパアメリカに続く代表招集が発表となった。コパ以降も好調さを継続していることから当然の選出と思っているけど、代表行ってさらにレベルアップしてきてほしい。代表なんて最後は運。だけどオレは智輝が本番に招集されるだけの力は十分に持っていると思ってるからあとは思い切っていこう。


常に1対1の局面が続く展開になることが予想された試合で、その部分については片野坂さんからしっかりと落とし込まれてた印象を受けた。ミラーゲーム風味の試合でこの点で最も痛い敗戦を喫したのは第2節の松本戦。その松本とのリターンマッチを前に強度を強く出せていたことは良かったと思う。明日も是非その部分で負けないように。


ということで今日までに広島戦を観て、この記事を書いた自分をほめてあげたい。さあ、松本行くぞ。
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ハマった負けパターン(23節鹿島戦)

2019-08-17 21:55:35 | マッチレポート19'
100%鹿島アントラーズの試合。ただそんなに悪い試合だったとも思わないんだけど、せっかく28千人も入った試合でご披露する内容の試合ではなかったなと。そこだけが唯一残念だった。


開幕戦の反省からしっかりと大分対策を立ててきた鹿島。ライン裏のスペースとSBが空けたスペースを広範囲にカバー出来るスピードのあるブエノが今季2試合目の先発。我々の最終ラインでのボール回しには一切食い付かないため単発で阿道が動き出してもブエノのスピードでほぼパーフェクトに止められた。もうこれだけで我々には攻め手がなくなってしまった。


今週加入が発表されたばかりの小林裕紀がいきなりボランチで先発。新戦力はとりあえず使っておくという考え方にはおおむね賛成なんだけど、小林の起用が固い試合展開を呼び込む要因の一つになってしまったなという印象。基礎技術の高さは分かったものの、「The無難」とも言うべき選択ばかりで「その先」の期待感はなかった。まあただそこはチーム合流数日だし、仕方がないとは思ってたんだけど、途中投入の長谷川があのレオ・シルバからボール奪取したシーンを見た瞬間にこの起用(小林の先発)が今日の敗戦の大きな要因の一つだったなと考え直した。長谷川は使って育てたい。長谷川にはそれだけの魅力がある。片野坂さんには次節からは冷静な選手選考を求めます。


一方で同じ新戦力の嶋田慎太郎は仕掛ける魅力を見せてくれた。この試合の大分の最初のシュートに繋がる前の斜めに侵入していくドリブルは期待感がかなりあったし、それ以外でも右サイドで存在感を発揮した。ただ時間の経過とともに球離れの悪さを露呈していたことも事実。「周りが嶋田を理解すること」と「嶋田が周りを理解すること」でそこは改善していってほしい。


相手のストロングポイントをしっかりと抑えて試合を殺した上で、要所で「個」を投入して1点だけ取る。あとは深く自陣に引き込んだ上で相手の攻撃を受け止め切る。もうぐぅの音も出ないほどの鹿島のゲーム。名古新太郎、小池裕太、相馬勇紀といえば今シーズン新卒の特A級ばかりだよ。関東大学サッカーを見続けている者からすれば「これは反則」とこぼしたくなる。左右を問わずあの位置で相馬が受けて中に仕掛けて決めるシーンを何度も何度も見てきた。三竿と相馬が1対1の状況で小池のロングフィードが通った時点でもう失点は覚悟した。新卒で1人、海外から1人、J1クラブからの移籍で1人と様々なルートからこれだけの選手を集められるクラブは強いよ。これでベンチに上田綺世が控えてるんだから。FC東京の失速を既定路線とすると結局優勝するのは鹿島なんじゃないかな。


これで4戦勝利なし。「こりゃダメだ」という内容の試合がないだけに悩ましいところだけど、今のやり方をやり続ける以外に道はない。広島戦が終わればあとは下位クラブとの対戦が続く。そこで勝ち点が稼げるように苦しくても今はブラッシュアップの日々だ。
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勝ちゃいいのよ(天皇杯3回戦鹿屋体育大学戦)

2019-08-16 23:16:10 | マッチレポート19'
水曜日はニッパツに横浜ダービーを観に行っていたので、帰宅後録画で鹿屋体育大学戦を観た。ちなみに横浜ダービーは大きな期待に反して凡戦だった。後半途中に斉藤光毅が出てくるまでは。隣の横Cサポーターは選手交代時には「もったいないから光毅出すなよー」とブーブー文句言ってたにも関わらず、追撃のゴールのアシストを斉藤光毅が決めると「おりゃぁぁ、見たかごらぁぁ!!!」と我を忘れて叫んでましたよ。もう完全に横Cサポーターの期待の星だね。ちなみに斉藤光毅と交代したのはカズ。何をか言わんや。


大学サッカーというカテゴリーを愛する身としては「大学生相手に」なかなか決め切れずなんてことは言いたくないし、大学サッカーのレベルの高さが分かっているだけにこれほど的外れな指摘はないとも思ってる。だからしっかりと試合をコントロールして決めるべきところできっちりと決めて勝ち上がったことに最大級の評価を送りたいと思う。実際に難しい試合だったと思うよ。


刀根の件はまあ忘れていいことじゃないけど、忘れないと前に進めないもんね。帳消しにしてくれたチームメートに感謝してどこかでそれを返してあげればいいんじゃないか。涼太郎のシュートはお見事でした。


島川を1回、刀根を2回完全にドリブルで抜き去った藤本一輝はしばらくマークしておこうよ。それこそが公式戦で大学生チームとやれたことの大きな意味だと思うよ。そして工藤大雅、西城響也は天皇杯デビューおめでとう。単なる経験を積む投入だっただけでなく、2人の存在が間違いなく停滞しかけた試合の流れを活性化させたよ。工藤大雅の縦パス、西城響也の縦への仕掛け。贔屓目抜きで目立ってたぞ。小浜耀人は残念だった。また次のチャンスがあると信じて献身的に走り続けてほしい。


更新が遅いので、既に次の対戦相手も広島に決定。来週アウェイでリーグ戦、そしてそこから1ヶ月も経たないうちにまたアウェイで天皇杯。広島は今季数少ないリーグ戦で負けているチームなのでくじ運が良かったとは言えないけど、元日新国立にたどり着くにはどこが相手だろうと倒し続けないとね。
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エースの移籍(22節神戸戦)

2019-08-12 12:35:00 | マッチレポート19'
この1週間に起きたことは気持ちを整理するのが難しかった。実際に一昨日DAZNで試合を観た後にこの記事を書き始めたけど、何が言いたいのか自分でもさっぱり分からなくなってきたので、途中まで書いたものを全て消した。色々と考えてみて書きたいなと思ったことは2つ。他にも思うことはたくさんあるけど、書いて残したいとまでは思わなかったこと。


1つは藤本について。藤本が置かれた状況と下した判断については100%支持する。今季J1に昇格して藤本の年俸が700万(推定)と知った時にこうなることが全く予想出来なかったかと言えば、そんなことはない。むしろ神戸のようなクラブに引き抜かれてゼロが1つ増えるくらいでなければ夢がない。自分はプロの試合よりも育成年代の試合を観ることの方が多いけど、その試合に出ている選手たちの多くはプロになることを夢見て一生懸命やっている。でもその目指す先の1つであるJ1で日本人トップのゴール数を叩き出してももらえるサラリーが公務員の平均年収程度じゃあまりにも夢がなさすぎる。でも大分にいてはその状況が改善出来ないと分かったなら、環境を変える決断をして不思議なことは何一つない。磨いてきた選手としての質が評価されて環境が改善するのに、そのオファーを蹴るなんて相当な変態くらいしかやらないよ、普通。学校が夏休みに入ると育成年代の大会がたくさん行われるので、育成年代の試合を観るのが好きな自分からするといい季節。ただこの炎天下の中、本当に真剣にサッカーに打ち込んでその先を目指している若人たちに待ち受けている環境が夢にあふれていなければこんなに悲しいことはないし、その業界が廃れていくのは時間の問題。そんなことにはなってほしくないので、こういう移籍はもっともっとあってほしいと思っている。


ただ一方でサッカーの観点で考えてみた時にどうかといえば、全く逆の考えになる。現時点での立ち位置だけでの話になるが、上位に付けている大分から残留争いをする神戸への移籍は誰がどう見てもステップアップとは言えない。現状で「引き抜かれる側」である我々がサッカーの部分でアピールすることが出来なければこの先のクラブとしての成長は見込めない。だからこそ今回の移籍はステップダウンなんだということは声を大にして言い続けたい。藤本にはこれまでのクラブへの貢献に感謝して、そして何だか異常にウェットだったこの22節の終了を持って関係は終了。札束で寄せ集めたチームよりも信頼すべき監督のもと積み上げてきたサッカーの方が優れていることを証明するためにも、そしてそれを拠りどころとして生き残り続けていくためにも「神戸も藤本も降格してしまえ」としか思わない。費用対効果なんてクソ食らえの札束攻撃で残留争いをしている神戸に対しての皮肉としての「残留しろよ」は大いにアリだけど、そんなこと本気で思うわけない。ありとあらゆるタイプの策士がうごめく魑魅魍魎な魔境J2で札束片手にズブズブと沼に沈んでいけばいい。リーグ全体に刺激をもたらす神戸のような存在はわりと歓迎しているけれども、その幸せまでを願うほどおめでたくないし、お人好しでもない。藤本の環境が整ったことは喜ばしいことだけど、サッカーの面では大いに苦労してほしい。そして願わくば「大分は良かった」と思ってほしいし、そう本気で発信してくれることが我々の未来に繋がる。


では自分のクラブに目を向けてみた時に、今後も同じような状況を下唇が引きちぎれるほどに噛みしめて耐え続けなければいけないのか。10年前ならそうだとしか思わなかったかもしれないけど、いまはハッキリと違うと言える。前にも書いたけど、いま大分トリニータはクラブとしての明確なアイデンティティを構築出来る大きなチャンスの時期を迎えている。この先必ず来るであろう片野坂さんがチームを離れる時、そしてそれより先か後かは分からないけどJ2降格危機も必ず来る。その時に「またいい監督と巡りあえますように!」と全力で神頼みをするのではなく、今の攻撃的なサッカーをどれだけチームのアイデンティティ、もっと簡単に言ってしまえばチームのイメージとして根付かせられているかが重要だと思ってる。その基本的な考え方を軸に監督の選考も選手の選考も進めいけばクラブが大崩れを起こすことはないと思ってる。この先長い歴史の中で弱くなる時期も必ず来る。でもそんな時でも「これが我々のサッカーだから」とそれを貫き通すことが大事だ。でなければ毎度毎度同じことを繰り返して「あの時は良かった」と昔話が酒の肴になるのが関の山だ。Jリーグでこれが出来ているのは鹿島だけだろうけど、神戸と湘南にもいまその大きなチャンスが来ていると思う。神戸には「サッカーに一番大事なの資金力」のスタンスで進み続けてほしいし、湘南はこのパワハラ問題の処理にクラブとしての未来がかかっていると思う。「湘南スタイル」って結局「曺貴裁スタイル」なわけであってここで及び腰な対応見せたらここまで築き上げたもの全てが崩れていくと思うよ。他人のことだから深くは突っ込めないけど、「曺貴裁スタイル」がリーグに彩りを加えているのは間違いないので好転することを期待している。おい外務大臣、くだらねえことばっか言ってねーでこういう時こそ何とかせーよ!


話を戻して大分。上記のクラブとしてのアイデンティティが長期的な展望だとすれば、2つ目に言いたいことは短期的な展望。具体的に言うと今季の残りをどうするのかということ。正直に言って嶋田慎太郎の獲得が発表になった時も、小林裕紀の噂が出た時も思ったのは、「要る?」ってこと。それぞれの選手の能力云々ではなく、今いる選手を引き上げていくことの方が大事なんじゃないかと思うってこと。新戦力の獲得は本来であれば喜ばしいことだけど、そのことにモヤモヤとするのは目指すべき方向性にブレが出始めてきてるように思うからだ。18位鳥栖、15位神戸との連続ドローは順位表上から評価すれば取りこぼしなんだけど、残留が目標なら残り試合数を考慮しても何ら問題ない結果。試合内容を見ても取りこぼし感は強く、逆に言えば残留はもう大丈夫ということ。それでもあくまでも「目標は残留」という看板を下ろさないのなら嶋田も小林も本当に必要なのと思ってしまう。それよりは伊藤涼太郎やマルちゃんにチャンスを与えてほしいと思う。「目標は残留」という看板をなかなか下ろさずに最後フニャッと終わってしまった2017シーズンの教訓を活かすためにも上を目指すという意思表示をしっかりとしてほしい。神奈川県勢の失速によりこれだけ取りこぼしてもACL圏内との勝ち点差はわずか5。絶対に無理な差ではない。上を目指すのであれば2人の戦力補強もしっくりとくる。ただ個人的には現有戦力の来季の査定アップに資金は使ってほしいと思っているので、どちらにしてもこの時期の過度な戦力補強には否定的なスタンス。


神戸戦の試合自体について全く触れていなかったので、少しだけ感想を。古橋ゴラッソ。アレはすごい。あのターンと振り抜きはちょっと抑えられない。早々にオランダ行きの報道が出てたけど、AZあたりなら本当に行く意味あるんだろうかというのは思ってしまうね。もう一つ前節も書いたけど、ボランチは前田を軸にして回していけばいいと思うくらいに成長していると思う。


ということで試合の感想あっさり。夏はトリニータ以外の観戦が忙しくなるのと、そもそも片野坂さんになってからチームが夏に調子を落としがちになることも重なってここ数年夏にトリニータに対するテンションが落ち気味になる傾向。

2016年 3勝1分2敗
2017年 4勝4分2敗
2018年 3勝2分4敗
2019年 1勝2分2敗

片野坂さん就任以降の7〜8月の成績。悪いとまでは言い切れないけど、このうち2度昇格しているシーズンがあることを考えるとやはり夏に勝ち点獲得のペースが落ちることは間違いない。この後鹿島、広島と続いてこれで上位勢との対戦はほぼほぼ終わってしまう。8月が終わった時点で上位との差が今と変わらないようなら本気で上を目指してほしいね。それでも今月一番大事なのは天皇杯・鹿屋体育大戦だということに変わりはないけどね。
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