Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

「デジっちでは勝ってた」にしようと思ってた(1節鹿島戦)

2019-02-24 02:44:51 | マッチレポート19'
家を出る前はこんな素晴らしい結果が得られるとは正直思っていなかったので、今日の記事のタイトルは負け惜しみ気味に「デジっちでは勝ってた」にするつもりだった。ゴンさん曰く「鹿島は明るくなった」らしいけど、それでも6年ぶりのデジっちのうちが圧勝だった。まずはそれくらいでいいだろくらいに思ってた。勝ち点は取れなくてもまずは1つでもゴールが奪えれば進むべき方向性は全員で共有出来そうだくらいに考えていた。だからこの結果には本当に驚きなんですよ。信じていたとか信じていなかったとかそんなのじゃなくて率直に驚きなんですよ。



勝ったことはもちろん嬉しい。残留に向けて大きな一歩を踏み出したと思う。でもそれよりも昨シーズンまでやってきたサッカーがある程度は出せたということの方が遥かに嬉しい。「甘めーんだよ」レベルで頭ぶん殴られて終わっちゃうくらいの最悪の想定もしてただけに、昨シーズンまでの見慣れているサッカーがカシマスタジアムで鹿島アントラーズ相手にそこそこ出せてたという事実だけで今日は相当に収穫があったと言えると思う。もちろん危ないシーンもあった。でもそこはチャレンジしなければ何も始まらない。決してネガティブには捉えていない。







新加入選手でスタメンをゲットしたのはティティパン、小塚、伊藤、高山の4人。既存戦力とのバランスを考えてもちょうどいいくらいの人数配分だったんじゃないだろうか。ティティパンはほとんど話題にも上がっていなかったし、アジアカップ後の合流で時間がなかったことも考えるとまさかの先発起用だった。でも片野坂さんのファーストチョイスに応える見事な働きだったと思う。特に守→攻への局面で素早く出す縦パスがとても良かった。前半に結果的には松尾さんに引っかかってしまったパスは本当にその切り替えの速さに驚かされた。小塚はそのうまさは想定内だったけど、この苦しい展開で90分戦えてたことが嬉しい誤算だった。小塚や前田あたりは技術的には通用しても、J1ではフィジカル面がどうかなと考えていたけど、全く問題なかったね。


個人的に今日最も良い意味で裏切られたのが伊藤涼太郎。成豪や小塚、島川、阿道に比べると正直に言ってあまりプレーの印象が残ってなく、水戸の番記者さんがその流出をとても残念がっていたのくらいしか印象になかった。でも試合前のシュート練習でそのシュートのうまさにこれは期待出来ると一瞬で印象が変わった。そしてそれは試合でも発揮されてた。もちろんさんぺーもコテもこのまま黙ってるわけないだろうから、厳しいポジション争いにはなると思うけど、切磋琢磨してチームを底上げしていってほしい。



そして今シーズン大分が手に入れた左の翼、高山薫。やっぱりすごい。後半の苦しい時間帯に何度も何度もスプリントしてこちらに向かってくる様はもはや感動すら覚える。「湘南さん、本当に手放していいの?」と今日何度も思った。怜さんもそうだが、そのロングスプリントはスタジアムで見てこその選手だ。



高木駿のスタメンは固いかなと予想してたけど、2ndGKの位置はひとまず小島が確保。昨年まで大学サッカーの現場で何度も何度も見てきた選手だけに高木と一緒にアップに出てきた時は本当に不思議な感じがした。まずはこの位置を確保することがルヴァンカップのスタメンを取るための第一歩だと思うので、キョンゴンにもポープにも頑張ってほしい。







鹿島の10番安部とのマッチアップは本当に見応えがあった。そしてJ2の時と変わらずいい上がりを何度も見せた。智輝、本当に頑張れ。この1年をJ1でやり切ったら必ず日の丸が見えてくる。本当に頑張れ、そしてお前なら絶対に出来る。


狙いも決まり素晴らしい勝利だったことは疑いようもないけど、鹿島の5番のチョン・スンヒョンがお粗末だったことがこの結果に影響を及ぼしたことは否定出来ない。2週間前のいばらきサッカーフェスティバルの時は町田とチョン・スンヒョンのCBコンビだったけど、この出来ならつけこむ余地はありそうだなと思ってたけど、まさにその通りになった。さすがにあんなに軽い対応を今後のチームがしてくれるとは思えないから、その分は今日の試合では割り引いておかないととは思う。ただそうは言っても鹿島アントラーズのスタメンCBだからね。それも現在の鹿島アントラーズの監督はその鹿島で長くCBのレギュラーを張ってた大岩さんだからね。その人がチョイスしたCBなんだから、むしろキレイに裏を取った藤本や阿道をほめるべきだね。


前半は高木を中心にしたパス回しを目の前で見てたけど、やはりミスを見逃してくれないなという緊張感はJ2の時と比較して遥かに高かった。ただ選手たちは初戦という固さもそこまで見せずに本当にスムーズにJ1に馴染んでいったように感じた。ただ我々も現在堂々の4位。当然のことながら研究はされる。特に鹿島もどの高さからアタックに行くかというところで迷っていたというかチームで統一出来ていないところがあったから、そこを明確にして対策を立ててくるチームがどんどん出てくると思う。たかが1勝で何かが変わるとは思わないけど、リーグ全体の我々を見る目は変わってくると思う。



天を仰ぐ藤本。何を思う。


国歌斉唱は本当に上手でした。




2−1になってからも今日は引き分けでも御の字の姿勢は崩さなかったけど、藤本が決定的な3点目を外した時点から自分の中ではこの試合は絶対に勝たなければならないと気持ちが変わった。アレは決めてほしかった。そして今後アレが許されなくなるような試合が必ず来る。2点とも素晴らしいゴールだったけど、やっぱりアレは決めてほしい。





さんぺーも伊佐もいないと試合後のラインダンスがちょっとした罰ゲームみたいになってしまうのが残念。決して何か楽しませてほしいなんて思ってないし、一緒に歌ってくれればそれで嬉しいからね。そういう意味でも高木は真のエンターテイナー。


今日はスタジアムに着いてから初めてカシマスタジアムに来た時のことを思い出してた。2006年のGW、もう13年も前。司が突き抜けるきっかけになったのがあの日の試合だったと思う。あれから本当に色々なことがあり、そしてまた鹿島にアウェイで勝つことが出来た。諦めなければきっと何かが起こる。そうしみじみと思った。もしかすると今シーズン残留出来るかもしれない。諦めずに信じてみたいと思わせてくれた今日の勝利だった。


来週はホーム開幕戦・松本戦。こんなブログは読んでる人はまず行くんだろうけど、今のトリニータの試合を観に行かないと損するよと断言しておきますよ。そして記事のタイトルはもう決まってる。「デジっちでは勝ってた」だ。
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ダニエル、安らかに

2019-02-11 22:08:32 | トリニータ
病気のことなんて全く知らなかったから、昨日突然飛び込んできた訃報には本当に驚いた。長く一つのクラブをサポートしていれば、こういうことも起こるんだろうけど、それにしてもダニエルは早すぎるよ。一緒に戦ってたのなんてついこの間じゃん。聞けば病気が判明してたのは2014年とのこと。そこからあれだけのプレーを我々に見せてくれていたのかと思うと、その精神力の強さたるや尋常じゃないよ。



大分に入団した2014シーズンは半年だったけど、その輝きはまばゆいばかりだった。大分トリニータの外国籍選手の中でも5本の指に入る活躍だったと言っても過言ではなかったと思う。順位表上をフラフラとしてシーズンだったけど、最後まで昇格争いが出来たのはダニエルの加入があったからこそ。







試合前の集合写真はどれを見ても後列の左端にいることが多いね。






J3優勝・J2復帰が決まった鳥取戦はメンバー外だったけど帯同してたんだよね。どんな気持ちで試合を観てたんだろうね。


自分は毎年大分を退団する選手に対して感謝の気持ちをこのブログで綴るようにしてる。ダニエルが退団した2年前にはこんなことを書いてた。

「そこ(2015年)からチームの下降線に同調するように調子を落としていき、結局最後まで上がってくることがなかったそんな印象。」

もちろんダニエルが病気だったことなんて知らなかったし、そうなのかもと思ったことすらなかった。でも今になって思えばこの印象はそういうことだったのかと思ってしまうし、なおさらに切ない。


この訃報に接して多くのチームメートたちがダニエルとの別れを惜しんでいる。その中でも「人格者」や「優しい」という言葉が多いように感じる。サポーターの立場から見ていたダニエルにも同じ印象を持っていたし、やはり紛れもなく素晴らしい人物だったんだなと改めて思う。PK戦で1stキッカーで外してしまったごっちゃんを真っ先に迎えにいったダニ。思ったとおりの結果を得られなかった試合の後に若狭から厳しい口調で叱責されていたエヴァをかばうダニ。その激しく厳しく戦うハードなプレースタイルからは想像もつかないくらいに優しい人間だったんだなと改めて思う。


選手生活を続けながらの闘病は本当にしんどかったろうと思う。いまはただ静かに休んでほしいとだけ思う。そして大分トリニータに多大な貢献をしてくれたことに心の底から感謝している。


ありがとう、ダニ。心からご冥福をお祈りいたします。
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岩武克弥と大学サッカー

2019-02-02 10:46:38 | トリニータ
もう新シーズン開幕まであと3週間という時期に完全にタイミングを逸しているのは百も承知でこの記事を書いとく。これはこの4年間大分U−18OBとしてずっと大学サッカーを楽しませてくれた岩武くんに対する感謝の記事であって、それ以上でもそれ以下でもない。それまではたまに観に行くくらいでしかなかった大学サッカーがこんなにも面白いものだと気付かせてくれたのは間違いなく岩武くんだったし、その点にも感謝している。もう身も心も浦和の男になったであろうこの時期に書くのはタイミングが悪いとは思うけど、本当にただの感謝の記事。


【高校2年生】




初めて岩武くんの存在を認識したのは2014年、岩武くんが高校2年生の時の8月のプリンスリーグ・神村学園戦で。その体幹の強さに一瞬で引き込まれた。


【2種登録時代】




2年生にしてはいい選手だという見立ては間違っていなかったと思うんだけど、そんな自分でもまさか半年後にJ2で定位置を確保するとはほんの少しも考えていなかった。しかし2種登録時代の写真が本当に少ない。何でだ?


【高校3年生】


クラ選。J2で10試合の出場実績を引っさげて戻ってきたU−18ではそれはもう圧倒的な存在感だった。


ヒメと組むダブルボランチは本当に安心感があったし、見ていてワクワクしたもんだった。


競り合ってるのはFC東京U−18の蓮川雄大(現・早稲田大)。高校時代は抜きん出た存在だったけど、ケガで本当に苦労してるみたいだね。


この年のプレミアリーグ参入戦は個人的に今でもU−18の試合で最も印象的だった試合。


【大学1年生】

もう本当に当り前のようにトップ昇格するもんだと思っていた。当時岩武くんが昇格しないと分かった時の残念な気持ちは今でもハッキリと思い出せる。それくらいにショックだった。でもきっと自分で判断したんだろうし仕方がないと割り切ったし、自分の母校である明治大に進学と分かった時にはそれはそれで楽しみだと切り替えることが出来た。

高校時代にJ2に10試合出場というのは様々な形で華やかな実績を残してきた2種年代のスターたちの中でも群を抜いていた。岩武くんもそうだと言っていたけど、自分も1年から早々に出場機会はあるものだと思っていた。しかしそこに待っていたのは室屋成という高い壁と関東大学リーグという想像以上に高いレベルのリーグ戦だった。




残念ながら1年生の前期は出場機会がなく、スタンドで先輩たちに声を嗄していた。この2枚の写真に岩武くんがいるので探してみてください。




前期が終わり、夏の総理大臣杯関東予選のアミノバイタルカップでついにトップチームデビューの機会が訪れる。この日もまさか岩武くんが出場するとは思わずに何気なく大学サッカーを観に行っただけだったので、そんな偶然が本当に嬉しかった。


明治がリードしていて法政の猛攻を受け続けている終盤の耐える時間帯での投入だった。


ハイボールにユニフォームを引っ張り合って競っている相手は北九州に内定しているディサロ燦シルヴァーノ。


ここでもディサロとマッチアップ。この4年間、岩武くんとディサロはずっと関東大学リーグの顔だったと思う。




話は逸れるけど、ディサロには個人的に期待していてとてもいい選手だと思ってる。写真を撮っていてもフォトジェニックな選手だし、プロとしての資質があるなという印象だった。だからなかなか進路が発表されない時は疑問に思ったし、北九州と発表された時は失礼だけど、昨年ぶっちぎりでJで最も弱かったクラブじゃもったいないと正直に思った。でもコバちゃんならディサロをちゃんと育ててくれそうだし、その点は楽しみだ。このオフは例年になく多くの大卒選手が年明けに駆け込みで特にJ3やJFLクラブへの入団が決まった。間違いなくその中に埋もれてた逸材ががいるはずだし、来年のオフは在籍1年の大卒ルーキーの引き抜きが横行すると予想している。かつて群馬→大宮で行われていたシステムがそこかしこで発生すると見ている。その筆頭がディサロ。


話を岩武くんに戻します。1年生の時は坊主の時もありましたな。


【大学2年生】


2年生になると室屋が大学サッカーを1年早く切り上げてFC東京に入団したため、右SBとしてガッチリ定位置を掴んで飛躍の年とした。






2年生シーズンの集大成がデンソーカップの全日本選抜への選出。半年後にユニバーシアードを控えたタイミングでの全日本選抜への選出は岩武くんにとっての大きなターニングポイントになったと思う。この大会も刈谷まで観に行ったけど、ここから凄まじいスピードで階段を駆け上がっていった印象。


【大学3年生】








大学3年になるともう押しも押されぬ主力に成長。本当に輝いていた。




ただこのシーズンは明治大自体はあまりうまくいかず、総理大臣杯の出場権もギリギリで獲得するほどだった。この写真はその出場権獲得直後のシーン。


そして岩武くんの大学時代のハイライトであろうユニバーシアードがやってくる。日の丸を付けた岩武くんカッコいい。






小島亨介もいますな。


人生で初めて海外で日本代表の試合を観たのが、この台北でのユニバーシアードだったから本当に楽しかったし、その機会を作ってくれた岩武くんに感謝した。ただたった一つの心残りはせっかくの代表選出だったから気合いを入れてパーソナルナンバリングで岩武ユニを作って行ったのに未だにこのユニにサインをもらえていないこと。まあ、代表ユニだから浦和の選手になってからでももらいに行ってもいいだろうとは思ってる。




3年生の最後にはデンソーカップ日韓定期戦にも選出。もうこの頃には全日本選抜に入って当り前の存在に。ただ先のことを考えると、もう喜び半分というところがこの頃の正直な気持ちだった。


【大学4年生】










大学ラストシーズンは名門明治大学サッカー部のキャプテンに。そういうタイプだとは思っていなかったから少し驚きだったけど、ここまでの3年間で岩武くんがやってきたことを考えると、納得のキャプテン選出だったかもしれない。


















ここまでの2年間で当り前のように岩武くんが出場してたので、あまり何とも思わなくなってしまっていることに気付いて4年生になってからもう一度明治大の試合を集中して観るようになった。


そして4年生では夏の総理大臣杯に優勝。明治大は本当に夏に強いイメージだ。


大学4年の途中からシントトロイデンに加入した小池裕太とは大学サッカーを代表する左右のSBだったと思う。


岩武くんは大分に戻ってこず、大学No.1GKの小島亨介が大分に加入してくるんだから不思議なもんだよね。


試合前の集合写真では前列の一番右がいつも定位置だった岩武くん。本当にこの姿を何度見たか分からない。でももうこの紫紺のユニ姿を見られないと思うと寂しい。でも大分U−18のOBとして本当に注目される存在に成長し、日本を代表するビッグクラブに加入することが決定したわけだから寂しい気持ちを抑えて喜ばなければいけないと思っている。ただ岩武くんと同様に複数の守備的ポジションをこなし、台北ユニバに選出され、明治大→浦和の道を辿った柴戸海もルーキーイヤーは1ゴール決めたものの最終節までスタメンの機会はなく、その出場時間は200分にも満たなかった。それを考えると常に結果を求められ続ける浦和でチャンスを掴むことはそんなに簡単なことではないと思う。岩武くんにはフル代表を狙ってほしいと本気で思ってるし、決して夢物語でもないと思ってる。そのために遠回りをするくらいならいつでもキミの実家が門を開けて待っているよということを伝えたい。その時は堂々と代表ユニにサインをもらいに行けるしね。

岩武くん、4年間お疲れさまでした。そして本当にありがとう。

世界へはばたけ、岩武克弥!
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