Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

予想外の1勝(17節福岡戦)

2021-05-30 22:59:13 | マッチレポート21'
水曜日の惨状を見て、正直に今日は勝てるとはほとんど思っていなかった。良くて勝ち点1で中断期間に繋がるものになればいいかなくらいが最もポジティブな予想だったから、勝ったのは本当に予想外。もちろん嬉しい予想外なわけだけど。


良い内容のサッカーが出来ていたわけではないけど、よく走ってよく戦っていたことで泥臭く勝ち点3が掴めたというところか。特に長沢、香川あたりの頑張りは感動もんだった。決勝ゴールになったCKを取った香川の長いランニングは巻き戻して何度も見て、その度に画面に向かって拍手を送ってしまった。前節の記事でも触れた也真人や北斗も含めて出ずっぱりの選手たちがちゃんと休めるこの3週間は本当に大きい。そしてもはや誰がケガをしているのかすらよく分からなくなってしまったけど、何とかこの3週間で戻ってきてほしい。


ただ手放しで喜びたいところだけど、結局のところこれくらい走ることをスタンダードにしなければこの状況からは抜け出せないってことだと思うよ。今日は中3日でかつかなり暑かった。まだ暑さに慣れていないこの時期のデーゲームが実は真夏のナイトゲームよりもこたえるんじゃないかと思うんだけど、今日の決勝ゴールが象徴するように走ったことが報われて勝ち点3が転がりこんでくることがあるのがサッカーだと思う。全然勝てない時はサッカーってこんなに難しかったっけとか思うけど、しっかりと走ればポロッと味方の前にボールがこぼれてくることもあるっていうのがサッカーなんだよね。


今日も躍動した也真人。ついには裏街道まで発動させてゴールをお膳立て。サイズがゆえに潰されてしまうことも多いんだけど、あれだけ相手DFにとって嫌なことばかりをやり続ければ絶対に結果に繋がる。加入初年度の昨シーズンも同様の動きをしていたと思うけど、シャドーの選手起用で片野坂さんが完全に迷走していたこともありなかなかレギュラーに定着出来なかったけど、今シーズンはもういてもらわなければならないレベルで絶対的レギュラーに成り上がった。例えミスになったとしても也真人が最善と思った選択ならそれが正しいのではと思うほどに個人的には信頼を寄せている。フル稼働でキツそうだけど、どうかケガだけはしないで。


そして長沢。チームがこれだけうまくいっていない中で早くも4ゴール目をゲット。既に昨シーズンの知念のゴール数を超えて、もうこの時点で長沢の獲得は成功だったと思わせる活躍ぶり。今日もATはあの長い足がもげてしまうんじゃないかと思うくらいに激走でボールを追い回した。ベテランだからと言って自分の仕事場を限定しないところに長沢の本当の魅力があって、だからこそ転々と移籍を繰り返してもどこでも結果が残せるんだろうなと思う。広島戦と鳥栖戦で決めたヘッダーが本当に好きで今でも何度も思い返してはまだ軽く興奮する。


順位表を見ると改めて勝ってて良かったと本当に思う。追撃態勢を整えた状態で中断期間に入れるのはやっぱり大きいよ。まだ3つのクラブを捕まえなきゃいけないわけで、やるべきミッションの難易度は高いけど、やったろうぜ。2019年は鳥栖に1勝1分、2020年も鳥栖に1勝1分、そして2021年はここまで鳥栖、福岡に1勝1分とJ1昇格後九州勢に負けなしを継続。さすがにこの流れの中でどちらもうまくいっている鳥栖にも福岡にも負けなかったのは九州同士の対戦で見えない力(関塚的なやつじゃなくて)が働いてるように思うよね。まあ、大分にとってはいい傾向なので継続していきたい。



新しい仕事にも慣れてきてちょっとずつだけど週末にも休めるようになってきた。今日の休みは3日ほど前に決まって大分は15時キックオフだからギリギリ日帰りが出来るってことでマイルの予約ボタン押す寸前まで迷ったんだけど、最終的には京都の新スタジアムを選択した。素晴らしい勝利だっただけに大分行っておけばと思ったけど、後悔させてくれて嬉しいよ。ということで新しく出来た京都のスタジアム行ってきた。


もう素晴らしいの一言。6列目でこの臨場感で2,600円。馬◯の一つ覚えみたいに圧勝しか言えないどっかの大臣に「ほざいてる前に、そのショボいスタジアム何とかしろ」と言ってやりたい。各所で話題になってるピッチの惨状は確かに酷かったけど、スタジアムは本当に素晴らしい。


基本的な構造はパナスタと一緒。セレッソの新スタもそろそろオープンだし、なぜ関西ばかり続々と素晴らしいスタジアムが出来上がるのか。本当に羨ましい。


アウェイ側ゴール裏の屋根はガラス製。ガラスを通して降り注ぐ太陽の光が作り出す雰囲気がまるでドイツのスタジアム(行ったことないけど)のようだった。






さんぺーと鳥海芳樹。この2人の新加入で今シーズンは甲府の優勝を予想していたんだけど、2人とも後半の勝負所で投入されて確実に流れを変えていた。さんぺーにはこの試合最大の決定機があったけど、若原のビッグセーブに阻まれた。それ以外も若原は随所に素晴らしいプレーを見せていた。鳥海芳樹は最初のドリブル突破で京都ベンチから「そいつ速いぞ」と警戒されていた通り、鳥海らしいドリブルは絶対にJ2で通用する。まだまだ活躍すると思うから楽しみだ。




売り出し中の2年目・川崎颯太。2年前のクラ選で大分史上初のベスト8進出をかけて臨んだ京都戦で我々を阻んだのが彼だった。これはいい選手になるという感じはあったけど、その予感よりも遥かに早く京都の中心選手になりつつある。サイズは小さいけど体幹が本当に強い。ちなみに彼は甲府の下部組織出身なんだよね。


圭介。京都の在籍も長くなったけど、若原があのレベルのパフォーマンスを見せているとちょっと出番は掴みづらいか。ただベテランの2ndゴールキーパーにしか出来ない仕事はあるよね。試合後のさんぺーとの絡みが面白かった。


これで国内でまだ行ってない主要スタジアムは北九州くらいかな。日本にもどんどん素晴らしいスタジアムが増えてきて嬉しい限り。広島もがんばれー!
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結果論にはなるけど(16節横浜Fマリノス戦)

2021-05-26 22:28:26 | マッチレポート21'
結果論にはなるけど、ここまで押し込まれるのなら正直也真人や北斗じゃなくてもよかったと思うから2人は休ませたかった。終盤全くボールが足に付かない北斗を見てて申し訳ない気持ちになった。日曜日は連戦が続いている主力の先発は外してほしい。このままじゃ本当にケガをしてしまう。これ以上ケガ人が出たらもうサッカーの完成度云々じゃなくてその時点で戦わずしてゲームオーバーだよ。守勢の試合になることはもちろん予想していたんだけど、ここまで一方的に押し込まれるとは思わなかった。ボールに寄せて、スライドして、最後のところは体を張る、言い方悪いけどやってたのはこれだけだから誰がやっても同じなんだよね。というよりも出場機会の少ない選手たちにこういうシチュエーションでこそ気持ちを見せるチャンスを与えてあげてほしかったんだよね。結局、日曜日へのアドバンテージは残せず、勝ち点も1つも取れないという最悪の結果に。結果論にはなるけど、也真人と北斗は休ませたかった。


結果論にはなるけど、79分の奎汰→エンリケの交代に伴って後ろ5枚の並びは右から小出-坂-エンリケ-三竿-香川にしていればなと思ってしまう。途中投入からガンガンそのスピードを出しまくっていた大然。香川も頑張ってはいたけど、さすがに仙台戦もフル出場して、この試合も前後半でポジション入れ替えたりと負荷がかかりまくっていたから、大然対策は小出と坂のユニットで対応させたかった。あと昨シーズンもたまにあったけど三竿を試合の途中でCBからWBに上げるのあまり効果的だと思っていないんだよね。どちらかと言うとこっちの理由の方が強かったかもしれない。結果論にはなるけど、あの失点シーンで大然に対応していたのが小出だったらどうなっていただろうとは思う。


結果論にはなるけど、井上健太使えなかったかな。ハイプレスに窒息寸前で長沢の頭に当てても2シャドーの距離が遠くてセカンドボールを拾えなかった。押し返す時に高さでダメなら裏を狙いたいところだけど、今日はなぜか井上健太はベンチにも入っておらずその狙いも遂行出来ず。先週末の仙台戦でサブ組のアップの時に1人明らかに体がキレてる選手がいて、そこから期待し始めていたんだけど、仙台戦も与えられた時間はわずか7分、そして今日はメンバー外と正直ガッカリ。新太も成豪もどちらかと言えば足元でもらいたいタイプ。90分を通してプレッシャーが厳しい中ほとんどの選手が前を向くことに苦心していた。結果論にはなるけど、井上健太で裏を狙う選択肢を準備していたらチャンスは生まれていただろうかとは思う。ただ健太のキレについては今後も自分の目を信じたい。


勝ち点3の可能性はほぼゼロに近かったと思うけど、大然や天野といった得点に絡んだ選手たちが途中から出てくるまでは勝ち点1ならいただいても怒られるような試合展開ではなかった。マリノスの前線の外国籍選手はこぞって適当なプレーを連発してくれて、このままなら逃げ切れるかもなと正直何度かは思ったよ。まあ大然が出てきてとこで「あ、コイツいたわ」と一瞬で目が覚めたけどね。こういう試合展開で勝ち点1を積めないチームは降格するもんだというのが自分の感覚なんだけど、他のライバルチームが少しずつだけど上位チームからでも勝ち点を奪い始めている状況も合わせると本当に危機的だと思うし、まあやっぱりこのままなら降格するよねという思いしかない。さらに今日は久しぶりにテレビの前でリアルタイムで試合を観たけど、負けても全然悔しくないのも個人的には危険水域に入ってきたなという感想。


自分の現在のスタンスを明確にしておくと、片野坂さんの解任は絶対に反対。「片野坂さんなら何とかしてくれる」という根拠のない理由からではなく、2015シーズンの失敗を繰り返さないために。解任してすぐに次の監督、それも実績があり誰もが納得するような人選であれば解任もやむなしと思うけど、大分の強化部にそこまでの資金力と交渉力があるとは思えないので、それであれば片野坂さんで突っ張るべき。その方がまだ可能性があるということ。ただし、選手の補強は十分に行うこと。これこそがこれまでの片野坂さんの功績に応えるための最低限の礼儀だ。シーズン前だったら考えもしなかったけど今の状況なら伊佐やハセの放出もやむを得ないと思うし、国籍は問わないけどストライカーとサイド、ボランチに1枚ずつ強力な補強を行ってほしい。自分はずっと今いる選手で何とかしてほしいと思うタイプなので、昇格争い中とか残留争い中とかシチュエーションを問わずあまり補強に対してポジティブな考え方ではないんだけど、今日の片野坂さんのインタビューを聞いてても選手たちの質が高くないことに対して不満を漏らしたがっているのは明らか。7月の中断明けから残り16試合。ここで最後の足掻きをかますためにもそこは片野坂さんに応えてあげてほしい。12月に「結果論にはなるけど・・・」と言ってることがないように。
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求む、ギラギラ(15節仙台戦)

2021-05-22 23:56:19 | マッチレポート21'


降格するかどうかは別にして現時点でJ1リーグの弱い順で下から4番に入っていることは間違いなくて、だからと言ってそれをそのまま受け入れてズルズルとやられていちゃあつまんない。この弱いチームをどうやって16番目以上に押し上げるかの過程が面白いわけじゃない。弱いことは認めて残りのシーズン、足掻きまくってやろうよ。


サイドで優位を取った前半を見るに、サッカーの完成度が上がってきたこととそれに伴って選手のプレーに自信が出てきていることは個人的に見立てていた通り。最初の失点はカバーリングも出来ていたし仕方ないと思う。そして「決してやられているわけじゃないよ」ということを敵にも味方にも知らしめる意味で同点のタイミングも完璧だったと思う。そこから主導権を渡さず攻め続けたことも良かった。ただもう大方の人が思っていたように、前半のうちに逆転しないと後半は対策されてグズグズになってしまうという見立てはその通りになるどころか、逆転されてしまうという、予想以上の最悪の結果に。正直に言って負けるとは思っていなかったし、そういう試合じゃなかったでしょ。何に問題があったかの整理は早急に必要だと思う。本当に早急に。


前半やりたい放題やれたサイドに対して仙台は後半から立ち位置を変えて対応してきた。ただそれくらいは予測の範囲内だったと思うんだけど、今季は対策をされたらそこから盛り返す力も引き出しもない印象。この問題の解決策を監督に求めるべきなのか、ピッチ内の選手に求めるべきなのか。多分両方なんだとは思うけど、個人的には後者により改善をしてほしいと思っている。91分の長沢のヘッダーはスウォビィクのファインセーブでゴールにはならなかったけど、簡単に言ってしまうと下田がクロスを上げた「だけ」のプレーであれだけ相手ゴールを脅かせるわけだ。今日も後半は左サイドで3人くらいの選手がボールをこねくり回して誰も勝負しに行かないというシーンが何度かあった。当人たちにその意識はないにしても、こういう結果になってしまっている以上は「キレイにやり過ぎている」という批判は受け入れるべき。最善の選択肢を求めてのパス交換なんだろうけど、最後の大事な部分は結局「勝負事」。その部分をもっとさらけ出してよ。サッカーは戦術だけでも勝てないし、個だけでも勝てないから面白いのであって、だからこそうまくいってないチームにもその出口は考えようによってはいくらでもあると思うわけだ。片野坂さんによるベースの整理はある程度済んだと思っている。ここからそこに色を足していくのは個人の仕事。求む、ギラギラ。



小林裕が負傷なのか、これで2試合連続でボランチでスタメンとなった羽田。1年半前にここでプロデビューした時はまさかボランチになってるとは思わなかったよね。今日はちょっとミスも多かったけど、個人的には羽田ボランチ起用は好印象で捉えている。試合前のアップでスタメン組が引き上げた後も、安田コーチから強めのパスを出してもらって足元に収めるトレーニングをずっと繰り返していた。隣では北斗が弓場を相手に同じように強めのパスを出してもらってワンタッチで前を向くトレーニングを繰り返していた。同じボランチだけど、現在の2人が課題としている部分にも違いがあって面白かった。ボランチの話としては、今日のサブメンバーに片野坂さんが弓場を連れてきたことと、ルヴァンカップ敗退のタイミングとで、ハセがこの夏に移籍する流れは始まったなと感じた。去年までの活躍でもうけっこうな方面から名前が挙がるようになってきていたし、狙っているところはそこそこあると思う。普通に考えれば昇格をターゲットにしているJ2クラブかと思うけど、去年までの好評価を考えるとJ1クラブから声がかかってもおかしくないと思っている。



決勝ゴールを決めた加藤千尋。週中のルヴァンカップでものすごいゴラッソを決めていて、その勢いをモロに受けてしまったようなゴールだった。去年はほとんど大学サッカーが観られなかった上に、加藤のいた流経大は2部だったためほとんど印象にない選手なんだよね。この写真は去年唯一観た流経大の試合だけど、もうこの時点では仙台加入が発表されていて、フラットな目ではないので参考外。ルヴァンのゴールを見ても、今日のヘッダーのクロスへの入り込み方を見てもいい選手だなと思う。これまさに大分に求めたいギラギラなんだよね。





我が家の切ない話を少し聞いていただけますか。このブログにも書きましたが、この4月から滋賀で単身赴任をしています。さらに土日休みじゃなくなったために週末に家に帰るっていうことも気軽には出来ない状況で、今日は家族と仙台現地集合の現地解散という自分の長い遠征歴の中でも初の試みを敢行。分かっちゃいたんだけど、それでも帰る時の特に子どもと別れる時の切なさたるや言葉では言い表せないくらい。新幹線の改札で家族を見送った後の空港に向かう電車の中でスタレビの「今夜だけきっと」を聞いていたら、右のほほに一筋の涙がつたっていましたよ。勝ち試合が観られたら少しはこの悲しみも和らいだかもしれないけど、それを求めると遠征も楽しくないしね。で、空港に着くと、大分トリニータご一行様がいらっしゃったわけだけど、自分が乗る大阪行きの便とご一行が乗る福岡行きの便が隣の搭乗口で、自分が搭乗口に着いた時には既に片野坂さんは座っていて、今日の振り返りなのか、次の分析なのか膝の上のPCで試合を観ていました。寸暇を惜しんでチームのことを考えているというのはこういう姿にも表れていると思うし、そう言えば片野坂さんも単身赴任だったなと思い、もう一回顔を上げようと気持ちを切り替えました。







4月に連敗をしている時は強豪との対戦が続いているからと自分を納得させてきたけど、結局は柏に負けて、湘南に負けて、仙台にも負けた。もうあまり自分を騙したくはないので、これは絶望的な状況だということは冷静に受け止めたい。もうこの仙台戦の結果を受けて、今季は降格すると思う。もうここからは逃げない。でも諦めたくない。今の素直な思い。
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整ってきた土台(14節鳥栖戦)

2021-05-15 23:27:37 | マッチレポート21'
確かにPKは決めてほしかったけど、それよりもルヴァン徳島戦の時に藤本に感じていた「あるぞ」という感覚が間違っていなかったことが嬉しい。「ゴールに向かう」という点においてはいま前線の選手の中で最も貪欲さを感じるのが藤本だ。PK失敗後もチャンスに絡んでいたので、たまたまではないと思ってる。野村や成豪、伊佐がいないことでベンチメンバーが物足りないと感じてしまっている自分のことを裏切り続けてほしい。繰り返すけどPKは決めてほしかった。でもその後の振る舞いを見ていると、深刻に感じていなそうなので大丈夫でしょう。


今季ベストゲームと言ってもいい面白い試合だったと思うけど、愚直なまでに矢印を前へ前へ向けてくる鳥栖との相性の良さに引き出された面は否定出来ない。これまでよりも明らかにボール回しのテンポや判断のスピードが上がっていたし、その分ミスも多かったかもしれないけど、いつもより多いシュート数にそれは表れた。前の記事にも書いたけど、やっぱりボールを動かし続ければ終盤に相手のガードが下がり出すし、そこまで試合を壊さずに我慢することが大事だと今日の試合で再認識した。北斗のクロスは利き足にボールを持ち替える余裕があるくらいにフリーだったし、PKを奪取したシーンも藤本に寄せてくる鳥栖の選手全員遅れていた。出し続けたジャブの効果はあの時間帯から間違いなく出たと思う。気温の上昇とともにもっと現象は顕著になると期待したいし、地味だけど地道にやり続ける意味は絶対にある。遅ればせながらだけど土台はやっと整ってきた。ただあそこで畳み掛けられないから降格圏に沈んでいるわけだけど、脱出出来る見通しは十分にある。


長沢のヘッダーやっぱりすごい。広島戦とほぼ同じ形だけど、今まで大分にこういう形でゴールを決める選手があまりいなかったからなおさら新鮮に感じる。特に今日のヘッダーはしっかりと叩いてヘディングとは思えない強さでネットに突き刺さっている。クロスボールに入るタイミングさえ合えば「無敵感」漂うだけにこれを武器としていきたい。クロスを上げる瞬間くらいに感じる「あ、くるかも」という期待感は本当にワクワクする。次は勝ち試合に繋げたい。ここまでは結果で1トップの座は長沢がリードしている印象だけど、湘南戦のように不甲斐ない試合をすれば先発は髙澤に代えられるし、その髙澤も今日は決定機に絡んだ。争う当人たちは大変だと思うけど、点が取れる攻撃パターンが長沢の高さ一辺倒にならないという意味でこのポジション争いはいい流れだと思う。13番の人も相当頑張らないともうこのまま出番なくなることだって十分あり得るよ。


結果にかかわらずここまでボランチコンビは北斗と小林裕で鉄板だったわけだけど、今日は小林裕がベンチからも外れ羽田が先発。シーズン前の期待としてはここに絡んできてほしいのは当然のことながらハセなわけだけど、年齢も後輩、ボランチ歴は遥かに後輩の羽田の後塵を拝しているのが現実。羽田はまだボールタッチとかヒヤヒヤするところもあるんだけど、本人がミスにもびびらずにチャレンジしている姿を見ると謎の安心感がわいてくるから不思議だ。あのサイズ、あの強さのボランチが最終ライン前に1枚いると心強い。だからと言ってアンカーポジションに張り付いているわけではなく、北斗後ろで羽田前の縦関係になることもしばしばだし、去年から見せている羽田のチャレンジングな姿勢には本当に期待している。


いい試合だったとは思うけど、甘っちょろいことばかり言ってもいられない。このナイスファイトが湘南戦の不甲斐なさから来た反発力なんだとしたら「まだそのレベルの危機感か」と問いたい。だからこそ仙台戦は必勝。遠いアウェイだからとか、メンバーが揃っていないとか関係ない、仙台戦は引き分けすら許されない一戦だということを肝に銘じて臨んでほしい。反転攻勢に転じられる土台は整ったと思っている。ここからは選手たちがどれだけ勝ちたい気持ちを試合に込められるかだ。そうすればPKだって入ると思うし、勝ち点0だった試合は1に、1だった試合は3になるよ。片野坂体制になって初めての残留をかけた6ポインターになるわけで、こんなヒリヒリする試合は本当に久しぶりだ。絶対にやれると信じている。
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簡単な話(13節湘南戦)

2021-05-09 22:55:17 | マッチレポート21'
90分を通して決定機は1つ。それを決められず失点はしたわけだから勝ち点はゼロ。決定機を決めて失点をしなかった清水戦は勝ち点3。しばらくはこういうゲームが続いていくんだろうから、その試合でどれだけ耐えられるかというミクロ的我慢と、シーズンを通してこのサッカーの完成度がいつ上がってくるのかというマクロ的我慢のせめぎ合い。間に合うかどうか。簡単な話。


コロナの影響を受けた選手が誰なのかはこれで大体分かったわけだけど、それ以外の要因もありそうなベンチメンバーで片野坂さんの苦悩がうかがえる。ルヴァンカップ徳島戦で苦しい選手起用を強いられたわけでほぼ予定通り坂と小出と新太は先発となった。しかし黒﨑よりも引っ張ってフル出場させた福森健太をこの試合でも先発させざるを得なかったというのは直前に香川に何かあったと考えるのが普通なんだろうね。攻撃の選手もあまりにも少なく勝ち点を取るには失点ゼロがマストな状況。試合の進め方に手を入れたくなるけど、やってきたサッカーからブレた瞬間にもうシーズンは終了するだろうね。難しい状況だけど、片野坂さんには突っ張ってほしい。


1失点目は風の影響をモロに受けているので不運だったとも言えるけど、逆に言えばその運を呼び寄せられるほど自分たちは攻撃出来ていないからラッキーすらもないということは考えなければいけない。2失点目は相手の最終ラインの高さを考えたらエンリケを上げてパワープレーに行くという判断は間違っていないと思う。ただその裏を突かれて高山から羽田にウエリントンを受け渡すほんのわずかな隙でやられてしまうという間の悪さ。全てが悪い方向に出てしまっているとも思うけど、降格するチームって大体こんなもん。結局は自分たちでどうにでも出来ると思うんだけど、今は結果が出てないことが足かせとなってそんな流れを弾き飛ばせるような雰囲気も選手もいない。


結果知ってから観る負け試合ほど辛いものはないし、そこから書くブログなんてもはや苦行以外の何物でもないわけでほんの900字程度書くのに1時間もかかってしまった。チームの状態も辛いし、試合を観られない自分の状況も辛いけど、心だけは折らずにいたい。まだチャンスは残されている。
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悩ましい選択(ルヴァンカップGS5節徳島戦)

2021-05-06 00:51:11 | マッチレポート21'
いい試合だった。「タラレバ」を言えるのならば、後半の進め方が少し残念だったとも思うけど一方でこのメンバーでこの試合を戦うと決めたわけだからこの結果は受け入れないとなとも思ってる。試合を単体で評価すれば上々だけど、グループステージ突破が現実的なものとなっている状況を加味するともったいないと思ってしまう。何とも消化しづらい試合だった。


個人的にポイントだったなと思うのは78分のペレイラ投入。ルヴァンカップに出場するメンバーは比較的出場機会の少ない選手で、どうしても連携面では不安が残る。でも今日の試合も全員がよく走って終盤までリードを守ってきた。ただ後半の途中から徳島がレギュラークラスの選手を次々に投入してエネルギーをかけてきて押し込まれる時間が長かった。片野坂さんはもう押し返せないと判断して耐えきる作戦に切り替えたんだと思うけど、髙澤を下げて5-3-2のトリプルボランチのようにしたと思う。ただでさえ、エンリケ初先発とか、坂と小出で45分業務分担(新太と藤本もそうかな)とか、弓場プロ初フル出場とか、難しい要素がたくさんあったのにそこにさらにJリーグ初出場のペレイラをそれもいつものフォーメーションから変えて投入するのはさすがに急造すぎるよと思った。案の定ピッチ内は混乱してそうな雰囲気だったし結局押し返すことが出来ずに何となく納得のCKから押し込まれるという展開となってしまった。ベンチには刀根が残っていたので、どうせやるなら刀根を最終ラインに入れてエンリケを中盤に上げるやり方ならルヴァンの前節でもやっていたからもう少ししっくりきたんじゃないかと思っている。



そのデビューとなったペレイラ。あの状況で投入されても存在感を示すのはちょっと難しいよね。少しずつ出場機会を増やしていきながらというところかな。



初先発となったエンリケ。頑張ってはいたけど、最後に自分のマーカーのカカに寄せ切れず痛恨の同点ゴールを献上。何度かビルドアップでも迷ってしまうところがあり、慣れるまでにはもう少し時間が必要かな。


自分はカップ戦がとても重要と位置付けていて、それはこのブログの中でも何度も書いてきてるんだけど、その理由の一つがこのペレイラとエンリケのところで書いたこと。2人とも合流からまだ数週間でいきなりスーパーな活躍を見せてくれなんていうのは無理があることは十分に承知していて、だからこそ時間と出場機会が必要だと思うわけだ。この勝ち点2ロストでGS敗退となってしまったらせっかくの大事な公式戦があと1試合で終わってしまう。ここを勝ち抜けたら少なくともあと2試合は公式戦が、それもH&Aの負けたら終わりのヒリヒリするような試合だ。だから少々の無理をしてでもカップ戦の結果は勝ち取りに行ってほしいと思う派なんだけど、まあ今回についてはコロナで出られない選手がいることや3日後に6ポインターの試合があることを考えたらこれで仕方なかったのかなとも思うけど。







やっと出た髙澤の今シーズン初ゴール。スタジアムで観ていた人は気付いたと思うけど、試合前のアップで最後までサブの選手に混じってシュート練習を繰り返していた髙澤。本人の性格からゴールを決められていない焦燥感を隠そうとしないのはプロとしていい姿勢だと思っている。だけど「良かったね」なんて言ってる場合じゃなくて、背番号9であるあなたの爆発がないことにはチームはこの窮地から脱することは出来ない。次はリーグ戦で決めてくれ。



明らかにこれまでより良くなった弓場。思い切りがよくなったのか、球際で体を投げ出せるし、長めのサイドチェンジにもチャレンジした。そしてヘロヘロになりながらも90分出場し続けたことに何よりも意味がある。プロのスピードやパワーとも十分に渡り合える自信が付いただろうからここからもっと伸びていってほしい。あの首の太さはサッカー選手として大成する太さだと思っている。



サイドライン際で相手DFをちぎったドリブルが印象的だった屋敷くん。屋敷くんも出場機会を増やすたびにやれることが増えている印象。サイズ感的にも司がグングン伸びてきた時の印象と重なる。クラブは早くトップ昇格を正式に発表してください。





両翼もとても良かった。このチームのビルドアップが良くない時はしわ寄せの最後としてサイドで詰まってしまうので、WBのところでボールをロストすることが多い。だから新加入のサイドの選手は本当に難しいと思うし、実際に福森も黒﨑も最初はどうしていいか分からずにボールを捨ててしまうことが多かった。ただこの試合では福森は中の選手を使いながら、黒﨑は面白いタイミングで縦に仕掛けたりと持ち味が出せるところまでに馴染んできていると思う。新戦力として怜さんと香川で固まりそうになっている両翼のレギュラー争いに風穴を開けてほしい。







投入直後から立て続けに決定機に絡んだ藤本。あそこで決められるようならリーグ戦のレギュラーも見えてくるし、藤本なら決めきれると思うからもっと期待したい。学生の頃から思っていたけど、相手を背負ってから入れ替わるのが本当にうまい。もうここまで完全に入れ替わると藤田としてはCKに逃げるかファールかしかない。



そしてプロデビューとなった宇津元くん。試合展開がもうごちゃごちゃしていたからほぼボールを触ることなく終わってしまった。ひとまずプロのピッチに立ててホッとしていると思うから、入団までは大学サッカーでさらに成長してきてほしい。単なる巡り合わせだけど、最近は弓場、屋敷、宇津元とプロデビューの現場に居合わせることが出来てちょっと嬉しい。









キャプテンはお互いに長谷川。




一部の地域では緊急事態宣言が出ている状況ではあったけど、いつも通りに感染対策をしながら遠征をしてきた。行きは伊丹空港から空路で、帰りは大分駅から鉄路。この写真は朝8時半ごろの伊丹空港。GWの伊丹空港でこの状態、自分が乗った大分行きは乗客全部で14人。ちなみに到着した10時頃の大分空港は伊丹空港より遥かに混雑していた。もう政府や自治体が主導するコロナ対策は意味がないと思っているので、無観客にされない限りは自分で感染対策をして遠征にはどんどん行きたいと思っている。半年ぶりのホームだったけど、やっぱりスタジアムで観るサッカーは本当に楽しい。
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全員で乗り越えたこの苦境(12節清水戦)

2021-05-03 00:52:26 | マッチレポート21'
リーグ戦前節で2ゴール、週中のルヴァンカップで勝ち点と徐々にチームの想いが形になりつつあるという手応えはあった。そして諸々因縁(一方的な思いだけど)があり、順位も近い清水だけにどうしても勝ちたかった。逆に言うとこのタイミング、この対戦相手に勝てなかったらいよいよ覚悟が必要という局面だっただけに本当に勝てて良かった。誰が良かったとかじゃない、全員で乗り越えたと思うよ。素晴らしかった。J1通算100勝目から2ヶ月。こんなにも101勝目が大変だとは思わなかったよ。


ルヴァンカップからフィールドプレーヤー全員変更となったわけだけど、その効果を存分に発揮するべく全員が本当によく走った。試合終了直後は選手たちも嬉しかったり、ホッとしたりという気持ちもあったと思うけど、ほとんどの選手が疲労困憊という表情だったのが印象的だった。水曜日の試合で現在はいわゆるレギュラーという位置にはいないと目されている選手たちのアウェイでの奮闘が刺激になったであろうことは容易に想像出来る。どんな戦術を採用しようが、誰が試合に出ようが、走って競って球際戦うのはベーシック。チームとしてこれを継続していきたい。


前半の敵陣での清水スローインの時にスルスルと小林裕が上がってきて相手ボランチの宮本のマークに付いた。随分と高い位置まで来るなと気になったけど、結局1試合を通して守備時のボランチの位置はずっと高かった。ここ数試合でいい手応えのあるアグレッシブなディフェンスについての現象面かなと思ったけど、今後もこの点は注目していきたい。


長沢が効いている。高さで押しまくるわけではなくアクセントとして高さを活かせているだけに余計に効いていると感じる。15分の速攻、36分の決勝CKに繋がった決定機と、言っちゃ悪いけど空中戦に勝った「だけ」なのにそれだけでチャンスに繋がってしまうのはやはり武器。それでいて前線からのディフェンスを怠らずフル出場。味方のいいプレーには拍手で鼓舞し、痛んで倒れた選手の側にはいつも長沢がいる印象。獲得が決まった時には年齢のことが気になってあまりいい印象を持っていなかったけど、とんでもなかったね。本当に魅力的な選手。

年齢繋がりでいくと怜さん。チーム状態が良くないためあまり目立たないけど、実はキャリア最高パフォーマンスをキープしていると言っても過言ではないくらい状態が良さそうだ。19シーズンまでは不動の右WBだったわけだけど、昨シーズンから徐々に出場機会を減らし井上健太の後塵を拝することも増えてきていた。しかしチームのピンチに状態を上げてきてくれるベテランほど頼もしいものはない。ディフェンスやポジショニングについてはもはや絶大な信頼しかないし、そろそろ例の年イチ(もう恒例でもなくなっちゃったけど)ゴール出してくれちゃってもいいんだぜ。


これはちょっとした思いつきでしかないんだけど、昨シーズンから片野坂さんのサッカーが苦しみ始めているのって5人交代が影響している部分もあるんじゃないかなと思った。崩せないまでもしっかりとボールを動かすことで少なからず相手のパワーを削げていた部分ってあると思っていて5人交代がスタンダードとなった今、それを交代選手を活用することで質を落とさずにカバー出来てしまうチームが増えてきたんじゃないかなと思う。昨シーズンは明らかにコロナによる中断で過密日程になったから交代選手枠を増やしたことは理解出来るんだけど、今シーズンはほぼ平常運行になっていて選手交代枠を5とする意味は薄れている。プレミアリーグでも今のシーズンから交代枠を3に戻し、ビッグクラブ側がどれだけ強く交代枠を5に戻すようアピールしても、それ以外のクラブが決して合意せず交代枠は3のままシーズンは進行している。つまり交代枠は多いほど選手層が厚いクラブに有利なことは自明の理であって、ハッキリ言って今シーズンのレギュレーションは我々にとっては不利になっていると言っていいと思う。ただでさえあの手この手で戦力差を埋めなければいけない状況でさらに不利なレギュレーションにされればそりゃ苦戦する。ただJリーグの場合は確か満場一致で交代枠5が継続されたと記憶しているので、片野坂さんにもその認識はないのかもしれないけど。もう来シーズンの話なんだろうけど、J1に残留出来るのなら、ここは戻すようアピールする側に回る方が得策だと思う。


この勝利はこの上なく嬉しいわけだけど、それでも降格圏内という状況に変わりはない。5月は湘南も仙台もある。ルヴァンカップもGS突破が現実的なところまで来ていてここを逃すわけにはいかない。大事な状況は切れ目なくずっと続いていく。


自分はこれまで片野坂さんの作るチームには「パッション」の部分が不足していると常に言い続けてきた。戦術遂行に愚直になり過ぎる傾向があり、特にチームがうまくいっていない時はサッカーがつまらない上に、気持ちの部分も感じないため不満はより大きくなっていた。でも今日の試合後の片野坂さんの涙を見て、少し思い直した。極論を言ってしまえば、「理想のサッカーが出来れば結果は二の次」みたいに感じてる部分もあったわけだけど、そんな考えをする監督が狙いとするサッカーが出来たとは言い難い試合で涙を流すわけがない。それだけ苦しみ、悩み、勝つためにはどうしたらいいかを考えに考えたに違いない。そうでなければあそこで涙は流れない。信頼すべき指揮官。今シーズンがどんな結果となろうが、この人とともに最後まであがきたい。
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