Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

2018シーズンチーム体制固まる

2018-01-14 20:09:51 | トリニータ
いよいよ2018シーズンに向けてチームが始動。毎年この時期は新加入選手の昨シーズンの試合をスカパーの全試合再放送で観まくって研究して意外と忙しかったんだけど、それも出来なくなったので、個別の選手に対する記事はなしで全体感で今シーズンのチーム体制について書いてみようと思う。


まずは新体制を見渡して、最初に感じるのは大半の主力の引き留めに成功したと言っていいのではないだろうかということ。前の記事でも書いたけど、惇はやむなしとすると主力で抜けたのは直人だけ。それも高木や修行がいることを考えるとダメージは最小限に抑えられてると言える。片野坂さんの目指すサッカーのヴィジョンが引き留めに影響してることは言うまでもないと思うけど、それと同時にこの成果については哲平さんに心から「お疲れさまでした」と言いたい。選手たちとの交渉の真っ最中だったと思われる昨年12月13日のインカレ1回戦の八王子市は上柚木のスタンドに哲平さんはいた。その日は福岡大の試合があったので、もしかすると福岡大の誰か狙ってんのかななんて少し心躍ったけど、それよりもハーフタイムのわずかな時間に真冬の寒いスタンドで腕を組みながら仮眠を取ってる哲平さんの姿を見て、本当に栄養ドリンクの1本でも差し入れしたい気分だった。引退が発表された大海が強化部入りしたとのことだけど、哲平さん1人じゃ限界だと思うから今後の大海の活躍に期待してる。移籍、育成、スカウティングと強化部の仕事はクラブにとって本当に重要だと思うので、哲平さんも大海も頑張ってほしい。昇格でも大卒でも高卒でも何でもいいから、1シーズンに最低1人は新卒選手に入ってほしい。


話を戻して新体制について。新加入10選手を含む31名と充実の体制となったと言っていいでしょう。惇の抜けたところには宮阪、2年連続J3得点王の藤本、丸谷・刀根・山口とある程度計算の出来る選手も複数名獲得と申し分ない。特に藤本は引っさげてる看板からどうしても期待が大きくなってしまう。16シーズンにJ3で14得点、17シーズンにJ2で17得点だったごっちゃんをベンチマークとして考えるとそれを上回るペースでゴールを重ねている藤本はかなりやってくれるのではないかと思う。またJ3得点王という目線で見ると、初代得点王は町田の鈴木孝司(14シーズン・19ゴール)。翌シーズンもJ3だったものの、そのシーズンも我々を相手に入替戦で大暴れ。そしてJ2に昇格したシーズンは12ゴールと高水準の結果。2代目得点王は言わずと知れた岸田和人。1シーズン32ゴールと猛威を振るいまくって昇格した翌シーズンは4ゴール、昨シーズンは7ゴールと若干苦しんでる印象。そしてその後は藤本が2年連続で得点王を獲得。猛追するごっちゃんを振り切って獲得した16シーズン、前年得点王ということで当然マークされたであろう中でも24ゴールという文句ない数字で獲得した17シーズンとこの数字は間違いなくフロックではないと言い切れる。ただ一つ心配なことは、鈴木孝司や岸田和人と違うのは藤本が移籍してJ2に挑戦するという点だ。まずはチーム内の競争に勝たなければならないし、今の大分FW陣はさんぺー、ごっちゃん、伊佐、林といずれも片野坂さんのやり方を十分に熟知しており、周囲の選手がやりたいこともよく分かっている選手ばかり。まずはその選手たちよりも数メートル後ろからスタートを切ってるという見方をしてあげた方がいいと思う。そんな藤本と似たような境遇の選手として、藤枝でゴールを量産して、栃木→山口と移籍していった大石治寿がいる。彼の場合は、17ゴール(藤枝・J3)→14ゴール(藤枝・J3)→11ゴール(栃木・J3)→3ゴール(山口・J2)とどんどんと数字を落としていってる。これは選手の実力だけでなく、移籍の難しさを物語ってる一例だと思う。つい先日プレミアリーグのリバプールが100億円以上の移籍金を払ってサウサンプトンからファン・ダイクを獲得した。どう考えても高すぎる移籍金の話題が先行する現状にリバプールのクロップ監督はサポーターに対して、「移籍金の金額は忘れるべき」と諭したそうだ。それ自体がいいかどうかは別にして、藤本についても変な期待感だけが先行しないように「2年連続J3得点王」という肩書きについてはいったん我々は忘れるべきじゃないかなと思う。前述の4人と争ってポジションを奪うことはそんなに簡単なことじゃない。まずは彼のチャレンジをフラットな目線で評価してあげるくらいがいいと思う。


新加入選手の一覧を見ていて感じたのは「オレたちは繋いで地上戦で勝負!」という意図を明確に強めているということ

藤本憲明 174cm
丸谷拓也 179cm
宮阪政樹 169cm
馬場賢治 177cm

前目の選手はいずれも小兵とまでは言わないものの、高さで勝負出来るというサイズではない。大津が抜けてFWの最長身は林の178cmとなり、180cm以上の選手がスタンダードであるDF陣に高さで勝負を挑もうという意図は微塵も感じられない。もちろん身長だけじゃなく伊佐やコテのように空中戦に強い選手もいるけど、昨シーズン以上に繋いで繋いで相手を攻略していこうという意図が感じられて、個人的には楽しみだ。J2は本当に難しいリーグだと思うし、中途半端じゃ勝ち抜けない。やるなら徹底して。片野坂さんの覚悟に信じてついていきたい。


新加入選手の中で期待したいというか、一番楽しみなのが刀根。大分トリニータの人事方針の中でも既にメインストリームとなりつつある「カムバックサーモン人事」だけど、その流れの中でも予想出来なかったくらい意外だった刀根の復帰。前回所属は10〜11シーズンと大分トリニータ史上でも最も良くなかった時期にしか在籍してなかったし、以前のイメージは参考にならない。かつてはどこが適性ポジションなのか全く分からない選手だったけど、今ではCBに固定されてるようだ。ただしれっとFWで出てきても驚きはないし、チーム事情によってはもしかすると大胆なコンバートの可能性がありそうな筆頭の選手。


コンバートという観点でいくと、ボランチと左サイドの選手層が少し偏って厚いように思う。自分で考えているところと違う選手がいるのかもしれないけど、特にボランチは多い。姫野、岩田の2人に今季は突き抜けてほしいと思ってるんだけど、姫野はもちろんのこと岩田も適性ポジションはサイドよりもボランチだと思うんだよね。その2人に加えて、川西、宮阪、丸谷、前田、コテ、ソンスとありそうなメンバーだけを挙げていってもこれだけいる。最大で2枠ということを考えても激戦だ。実績から考えて川西、宮阪の山形経験コンビが最有力だけど、簡単にそうならない方がチームの底上げとしては面白い。


開幕カードはアウェイで栃木に決定。これは相当ラッキーなカードになったと思ってる。もちろん結果はどうなるか分からないけど、J3発足後、昇格クラブの金沢、山口、町田、大分は初年度の前半戦はもれなく躍進した。そう考えると今シーズンの栃木も最初は恐いかなと考えがちだけど、昨シーズンの栃木はラスト6試合を5分1敗、その間わずか4ゴールと、文字通り「ほうほうのてい」で逃げ切ったような昇格で、横山監督は継続となったものの、チームは大きく作り替えてくることが予想される。そうすれば開幕時点ではチームの完成度は低い可能性が高く、継続性の強い我が軍からすれば与し易い相手だと言える。16シーズンは1分1敗と悔しい結果だっただけにボコボコにやり返してやりたいし、気持ちの昂りが過剰になる開幕戦にはもってこいだ。


これからトレーニングやキャンプ、トレーニングマッチを重ねて徐々に今シーズンの大分トリニータの輪郭が見えてくると思うので、まだ今の段階では手探りで思うところを書いてみた。31人みんなに期待したいのはもちろんだけど、今シーズン特に期待したいのは林容平。個人的にはそのシーズンへの選手の思い入れとか覚悟って本当に大事だと思っていて、今シーズンそれが本当に強そうだと感じるのが林。どう考えても悔しい結果に終わった移籍初年度の昨シーズン。さんぺーや伊佐、ごっちゃんと比較して片野坂サッカーへの理解度という点で出遅れたこととケガで何となく乗り切れないままにシーズンが終わってしまった印象。気持ちの強い林のことだから今シーズンはスタートから猛烈に巻き返してくるだろうし、昨シーズンの伊佐と同様、真っ先に契約を更新する選手からはそういう気持ちを感じる。そして林がもっともっと恐くて、熱くて、後押ししたくなる選手だということをよく知ってるだけになおさらに応援したい。



ということで自分で書いてるうちにどんどん開幕が待ち遠しくなってきた。開幕まであと6週間。長そうであっという間だ。
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人事総括 去りゆく選手たちに感謝を~2018~

2018-01-13 15:42:44 | トリニータ
今年一発目の更新は、毎年の退団選手への感謝のメッセージ。かつてはもう書ききれないくらいに退団選手が多かったけど、片野坂さん就任以降は常識的な数に落ち着いてくれて有り難い。それでは背番号の若い順に。


ぐっさん
そんなに数は多くない大分でキャリアを締めくくる決断をしてくれた選手の一人。3年間の在籍でプレー面では本人は納得いってないだろうとは思う。印象に残ってるのは16シーズンのアウェイ秋田戦。栃木を追いかけてもう一つも負けられない状況だったアウェイゲームの前半で伊佐が退場。リードはしてたものの、ピッチ上にいる選手の多くは若く、逃げ切れるかどうか非常に不安だった。それを見事に支えてくれたのが、ぐっさん、修行、ソンスの3人だった。秋田が終盤に放り込んでくるロングボールを一つ一つはね返してくれる姿には頼もしさと同時に感動すら覚えた。まだまだ続けられるようにも思うけど、退団セレモニーでの人の心を動かすメッセージの出し方なんかを見てると指導者向きかもとも思える。そしてその時に言及されたノリ、フク、昂洋の3人全てが今季も大分でプレーするところにぐっさんの言葉が本物であることが感じられる。ぐっさん、3年間ありがとう。


黒木恭平
初めて見たアウェイ熊本戦でその正確な左足の精度に「これは左サイドのレギュラー争いに絡んでくるぞ」と思った。実際にそこから初ゴールを決めるアウェイ町田戦くらいまではメンバー争いを続けてたものの、昨シーズンの大分は比較的サイドの層が充実してたこともあってその後は出場機会は少なかった。ただその左足の価値に間違いはなく、移籍が決まった鹿児島での活躍を期待してる。これで早くも西日本6クラブ目となり、マスター襲名の日も近いか。


シキーニョ
デビュー戦のホーム水戸戦で生でその姿を見た方々は一様にその可能性に期待してたようだったけど、正直個人的にはシーズンを通して、助っ人外国人としての働きにはほど遠いという印象は拭いきれなかった。近年の大分の外国籍選手(韓国籍のぞく)はダニエル以外はほとんど失敗に終わっており、その働きなら日本人選手でも十分にするというレベルが多く、残念ながらシキーニョもそんな感じだった。目立った活躍が期待される助っ人外国人としてはサイドというポジションもやりにくかったのかなとは思う。


山岸智
年俸の関係か、比較的ベテラン層に冷たいという印象がある大分強化部だけど、プレー面以外も含めてまだいてほしいと思ったギシさんも残念ながら満了に。1年目はプレー面では満足いくものではなかったかもしれないけど、まとまりを失わないチームを見ていて、ギシさんをはじめとしたベテランの影響力の大きさは偉大だと感じた。何よりもいきなりJ3のクラブに来てくれたということだけで感謝感謝である。そして今季はさすがのキレを見せつけてくれた。特にクロスの質には何度も感嘆の声を漏らしたし、生粋のサイドプレーヤーはやはりクロスで差がつくと改めて教えてもらった。本人も大分を楽しんでくれてたようだし、本当に残念。まだ現役続行の意思はあるようだし、国内外問わず絶対に続けてほしい。ほら、左サイドの人材不足でお困りの強化部門のそこのあなた。ギシさんの去就がまだ決まってませんよ!


大津耀誠
今季の人事で最も納得感のないのが大津の満了。シーズン中の結果の出し方と使われ方に全く整合性がなく、フロント陣との相性が良くないなというのは感じてはいたけど、昨オフに完全移籍で獲得したばかりでこの結果で、年齢面も含めると今後七不思議として語り継がれてもおかしくないレベルのモヤモヤ感。あまたいる大分トリニータサポーターの中でも五本の指に入るくらいに大津には期待していた自負がある。昨オフの最後の最後で大津の完全移籍が決まった時に否定的な意見が散見され、個人的には本人に成り代わり「今に見てろよ」と思った。それでもなかなか出場機会がなく、耐える時間が長かった。このブログでも書いたけど、天皇杯町田戦でルーキーの野上にも先を越された時には親心のような目線で大津を心配してしまったことをよく覚えてる。そしてチームのピンチに結果を出した。にも関わらず満了。持ってるものはあるものの、なかなか次が見つからないところを考えても、本人の見せ方にも問題があるのかなとは思う。でもいつか「もったいないことをした」と大分フロントに思わせるくらいに成長してほしいと願う。大型FWには夢がある。育てきれないクラブが後悔する日がくればいい。


上福元直人
大分在籍も最長となり、我慢してきた時間も長く、やっと今季シーズンを通してレギュラーを奪っただけにサポーターとしても本当に嬉しかった。それだけに移籍は残念だった。それもステップアップとは言い切れないレベルのクラブへの移籍だったことが残念感に拍車をかけた。片野坂さんの求める繋ぐスタイルへの適応力を見せることで奪ったレギュラーの座。ミスすることもあったけど、間違いなくそれ以上の効果をチームにもたらしていた。特にDFラインが相手のハイプレスを受け、戻されたボールをセンターサークル付近の選手にダイレクトで柔らかく出すミドルレンジのパスが一番効果的だと感じてた。GKとしてはこれからがキャリアとしてピークを迎える年齢。攻撃的GKというスタイルでもっとデカいクラブに引き抜かれる存在になってほしい。在籍期間が5年を超えたら大分ではレジェンドレベル。長い間ありがとう。もっと羽ばたけ、直人。


鈴木惇
加入初年度からMVP級の活躍だった惇。当然のことながら今季もいてほしかったけど、宮阪の加入発表があった時点で惇の交渉状況もほぼほぼ察しがついた。保有クラブの状況と大分での重要度を考えれば、誰でも戻す。もうそれは惇の意思云々ではなく仕方がない。正直に言って加入が決まった時はそんなに期待してなかった。ただパスの精度や展開力に徐々に魅せられていき、いつしかなくてはならない選手に。ボランチで5点という数字もお見事。当たり前だけど、レンタル期間中きっちりと稼働し続けた選手は必ず引き戻されてしまう印象があるよね。去ってしまうことは寂しいけど、それでもこの1年間で惇が残してくれたものは少なからずあるし、それを受け止めてほしい選手のイメージが明確に自分の中にはある。チームが苦しい中、兵働の薫陶を受けてぐいぐい成長した昌也のように。発信するコメントから聡明さも感じられる惇。今のカムバックサーモンの時流に乗っかっていつの日か指導者として帰ってきてくれることも願っている。大分戦以外で輝け、惇!


坂井達弥
わずかではあったものの日本代表の肩書きを持つ左利きのCBの加入に心は踊った。しかしなかなかフクよりも序列が上回ることがなく、出場機会は限られた。わずかに出た試合で見せるプレー水準も高かった印象だし、普通に活躍出来る選手だったと思う。だからこそ山形という絶妙の立ち位置のクラブに行ってしまったのがたまらなく不気味だ。



漏れはございませんかね?スカパーからDAZNに代わりこのオフは全試合再放送がなくなり、新加入選手個別には書けないので、新加入についてはまとめて書こうかな。もう開幕戦のカードも発表され、開幕まで1ヶ月半。年々オフ期間が短く感じられるようになってきた。蹴春はもうすぐそこ。
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