Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

またもホームで勝てず(30節横浜戦)

2013-10-27 21:51:47 | マッチレポート13’
モリシが出られなくなった時点で大きくゲームプランは変わってしまったはず。モリシが担う役回りをそのまま西にやらせてもそれは無理な話。そういう意味では前半は必死に守って、優勝するには勝ち点3が必須な相手が焦り始める後半にカウンターかセットプレーで仕留めるくらいしか大分が勝つプランはなかった。確かに俊輔のFKはスーパーだったけど、もう少し我慢が出来なかったもんかね。

それにしても天皇杯の2回戦みたいな試合だった。強豪チームに必死に食らいつく格下のチーム。0-0の時間をどれだけ長く出来るかだけが勝負で、1点奪われた時点でゲームオーバー。俊輔のFKが突き刺さった瞬間の「ジ・エンド感」はもう天皇杯2回戦そのもの。スタジアムで観ていた方は分からなかったと思うけど、スカパー観戦してた人間からすると、後半の早い時間帯から勝敗よりも、とにかくシュート数の表記から「0」を消してくれという新種の競技を観てるような気分になってたから、ゴールが入るなんて夢のような話は二の次だったね。

まあでも冷静に考えれば、首位対最下位の試合としてはごくありふれた結果だったと思う。周囲が何となく多くを求め過ぎてただけで、普通の結果だった。これでホームのみの成績は4分11敗。未勝利と書くよりも4分11敗と書いた方がもっと生々しい。田坂さん続投の話が出てるようだけど、ホームでの残り2試合で最低1勝することを続投の条件にしていいんじゃないだろうか。1年間1度もホームで勝てなかった監督に翌年も続投要請するのはどの側面を切り取って判断したとしても「異常」の一言。
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熱い気持ち再び

2013-10-27 00:10:52 | トリニータ
久しぶりにプレビュー記事を書いてみたいという気持ちになった。もう試合後でも気力を振り絞って更新してた時期が長かったから、こんな気持ちに再びになれるとは正直驚き。きっかけは言うまでもなく勝ち始めたから。そこだけ。

まずは今節の注目点は予想スタメンが4-1-4-1になってること。4バックを始めて3試合目で早くも中盤と前線の配置をいじってきた田坂さん。これは相手に合わせての変更なんじゃないかなと思う。今季の横浜は俊輔を頂点にした中盤のトライアングルが機能してると言われている。ここにマンマーク的に人を配置したいという思いが4-1-4-1というフォーメーションに表れたと思う。ということは4-1-4-1という並びに関係なく、キャプテン、タメ、マンシャの3人は流動的にトリプルボランチ的になる。ここでの主導権争いが試合の趨勢を決めると言っても過言じゃない。横浜の3枚も安定してるけど、キャプテンもタメもマンシャもみんな調子いいからけっこうやれるんじゃないかな。

局地的に見て不安な部分はやっぱり大分の右サイド。前節の広島戦を観るまでもなく、齊藤学はもうその「個」だけで脅威と言えるくらいの存在に成長した。そこにマッチアップするのがジョンハン。ここ2試合でSBを務めてるジョンハンはよくがんばってるとは思う。ただやっぱりそこは本業外の仕事なのによくがんばってるという評価。個人的には慣れないポジションに必死で取り組んでる姿は好きだし、大いに評価したいのはやまやまなんだけど、優勝を現実的なところまで手繰り寄せてきてる首位のクラブがそこを見逃してくれるとはやはり思えない。ジョンハンでもなかなか攻撃参加出来てないことを考えたら、ここは割り切ってCBタイプの選手、例えば阪田とかを置くのも一つの手じゃないかなとは思う。ただ、広島戦を通して観ると、齊藤学が恐いと感じたのはあのシュートシーンくらいしかなかったというのはポジティブな要素。代表遠征帰りで身体が重かっただけかもしれないけど。

フォーメーションを変えて、少し気になるのは1トップになってしまうこと。ここ2試合で2トップ(もしくは前線の4枚)がそこそこ機能してたと思う。大宮戦の前半16分、18分と立て続けにシュートチャンスまでもっていったシーンは流れるようなとてもいい攻撃だった。土岐田とモリシのパス交換で左サイドを崩してから真ん中の西にパス、そしてシュートが16分、左に流れた西が縦パスを落として、それを拾ったタメから木村に渡ってシュートが18分。いずれも決まりはしなかったけど、選手の距離感がとてもいいと感じた。相手が首位だけにまずは相手のいい部分をつぶして守備から入ることは仕方ないけど、良くなり始めた攻撃の部分に手を入れざるを得ないのも少々もったいない気がする。まあでも、自らの長所を犠牲にしてでも相手の長所をつぶす、そしてその上でゴールを奪って勝つってことが、首位に勝つってことだからね。恐くても前に出てゴールを奪ってほしい。引き分けじゃダメなんだから。勝つにはゴールを奪わなくちゃいけないんだから。



んー、気合を入れて書いてはみたけど、やっぱりネガティブ多めになってしまった。予想はしてたけど。まあでもこれが今の立ち位置だし、見栄を張っても仕方ない。この場所からてっぺん食うから面白いわけだし。この試合が終わってもホームではあと2試合あるけど、色々考えるとこの試合に勝つことが一番大事だと思う。選手たちはこの試合の出来次第で来季のシーパスの売り上げが全く違ってくるくらいの気持ちで試合に臨んでほしいと思う。プロとしての矜持を見せてくれ。本当に久しぶりの試合前のワクワク感。


周作への援護射撃だという思いもあったけど、下手すると浦和が首位になっちゃうと思ったら、その考えは少々複雑になってきた。。
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こんなもんなのか(29節大宮戦)

2013-10-20 01:04:15 | マッチレポート13’
天皇杯新潟戦に続きリーグ戦でも1-0で勝利。天皇杯の勝利も嬉しかったけど、やっぱり天皇杯だし、90分だったら引き分けだったし、というような思いが心の片隅にあったことも事実。リーグ戦に戻れば、また同じように勝てないのかなと試合前までは思ってた。しかし、いざ試合が始まると新潟戦と何ら変わらないアグレッシブな姿勢を貫き、見事勝利を勝ち取った。降格決定までの長く辛かった時間を考えると、否定的な意味合いではなく「サッカーってこんなもんなのか」と思わずにはいられない。明確な目標がなくなった中でも、モチベーション高く試合に臨めてる選手たちは立派。内容は置いといて、グッドゲームだったと思う。


モリシパパのかっちょいいサムズアップ。ミスした後の悔しがり方とか、今日はどうしてもゴールしたいって気持ちがビンビン伝わってきた。もっと貪欲に、もっとエゴイスティックでもいいと思う。2桁狙おう!


前代未聞のピッチ上でのベンチメンバー全員参加でのゆりかごダンス。バラバラでゴールセレブレーション慣れしてないところが守備重視のチームカラーを如実に物語っていて微笑ましい。


この選手のことをここまで好きになるとは自分でも驚きなんである。11年シーズンに加入してきた時も、CBではどちらかというとサクの方に期待してたし、セレッソやベルマーレで見切られてきた選手という風にしか思えなかった。それが今じゃ、DFラインの心の拠り所になりつつある。鳥人阪田も来年で三十路。ディフェンダー好きなのは、年齢を増すとともに味が出てくるというのも理由の一つかもしれない。


児玉も悪くないんだけど、2試合続けて足をつっちゃってるし、そうなるとカードをどうしても1枚計算しておかないといけなくなるから、スタメンはこの男でいいんじゃないだろうか。


キャプテンいい笑顔。ここ2試合の荒っぽいディフェンスをするキャプテン、嫌いじゃない。


出場機会なかったのに、連投お疲れさまです。高木から「行け」と背中を押されて、何の抵抗もなく前に出るその「後輩スピリット」かわいいぞ。


日本のサッカー実況で一番耳馴染みがいいと感じるのは西岡さん。社長はいつでもダンディにキメてます。ちなみにこのブログを書いてる後ろから聞こえてくるのはプレミアリーグの生放送でしゃべってる西岡さんの声。社長、働き過ぎです。


アルディが乗る日高屋。アルディ日高屋。ハイデイ日高。



ということで、これだけ苦しいシーズンの中で、個人的には3つも勝利を見せてもらったので、ある程度は満足しました。監督、選手の皆さん、あとはホームのサポーターの目の前で勝って下さい。あなたたちに残された今季のミッションはホームでの勝利だけですよ。天皇杯も勝ってほしいけど。次節横浜戦。うちとの対戦に合わせたかのように、横浜は今節の広島との天王山を制して首位に返り咲いたらしい。うん、匂ってくるねあの試合が。川崎の初タイトルを目前で食い止めたあの試合が。チョン・テセに「このチームが降格する意味が分からない」と言わしめたあの試合が。ホームのサポーターが今季ここまで溜めこんだもの全てを流し去るには、このタイミングでの首位叩きしかない。


ここまで負け続けて、いつ勝つの?  「今でしょ!」






うん、ダサい。。




うはー、明日の天皇杯の抽選が俄然楽しみになってきたぞ!16日開催なら日本中どこでもいいぞ。丸亀でもオレはいい。どこか楽しそうなところに連れてってくれ!
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ACLまであと4つ(天皇杯3回戦新潟戦)

2013-10-13 23:15:49 | マッチレポート13’
とりあえずビッグスワンのある新潟市中央区を飛び地として大分県に編入させる署名活動を真剣に検討する必要があるレベル。で、ビッグスワンを準ホームにして、どうしても勝ちたい試合だけ開催。この相性の良さはちょっとした異常事態。

まずは後藤、プロ初ゴールおめでとう!







ゴール自体は半分以上がモリシのゴールだと思うけど、それ以外のシーンでもよく動き回って新潟DF陣をかく乱してた。動き出しとかだけ見ると、もしかすると大分の中で一番FWっぽいかもしれないね。






サポーターたちからいじられる後藤を見て、ニヤニヤする先輩たち。

来季の契約のことを考えてもこのアピールは後藤自身にとっても重要だったはず。残り試合でもバンバンアピールしちゃえ!


その後藤と交代になった西だけど、彼にとっても今季一番の出来だったことは記しておきたい。前半の30分頃だったと思うけど、右サイドをえぐって相手CBの前に入ってPAに侵入。後ろから倒されるような形になったけど、笛はならず。ここからの西が最高だった。そのすぐ後に新潟が攻め込む場面で最後方までディフェンスに戻って相手をショルダーチャージでなぎ倒す(これは正当なチャージ)。で、そのまま転がってアウトしたボールまで新潟CKと判定されたもんだから、もうブチ切れ。前田主審に執拗に文句を言って、イエローをもらっちゃう。あんまりあんなに感情をむき出しにする西を見たことがない。


これは前半終了時にさらに前田主審に文句を言って、引きあげる際にまだ納得いってない表情の西。


で、これがその西の視線の先でキャプテンが「アイツの気持ちも分かって下さいよ」的なフォローをしてるシーン。

後半に入ってからもちょっと感情的になってるのか、相手からプレッシャーを受けて下がっても絶対にボールをはたかないで、ドリブルし続けた。相手DF2枚の間を強引に割って入るゴリゴリした西らしいドリブルもあったし、相手のバックパスをかっさらった決定機は決めときたかった。いや、ホントこういう西が見たかったんだよ。西は前を向いてナンボ。


今日の個人的なMOMはタメとジョンハン。

まずはジョンハン。今日はスタートから4バックだったわけだけど、右SB(この時点で本業じゃない)から始まって、木村の交代に伴って右SHに1列上がる。さらに児玉の交代に伴って左SBにまた下がると、完全に「都合のいい男」状態。木村と右サイドで縦ユニットを形成してる時のディフェンスはヒヤヒヤもんだったりもしたけど、120分通して戦い続けてた。これだけポジションを動かされ続けても起用されるということはそれだけ田坂さんの信頼が厚い証拠。もう下半身がプルプルしてたはずなのに、田中達也の仕掛けに必死に対応してる姿は感動もんだった。


延長後半が始まる前。ほとんどの選手がベンチ前で給水してるのに、休憩もそこそこに一人左SBのポジションに向かうジョンハン。「都合のいい男」でFor the teamに徹してくれるのも嬉しいけど、ジョンハンにはやっぱりFWで勝負してほしいと思うのは自分だけだろうか。


そしてタメ





今日の運動量は圧巻だった。最後の最後までホントによく走った。ゴール前にもどんどん進出してったし、何よりも仕掛ける姿勢を常に持っていたのが良かった。少し長めにボールを出して、相手との競争で前に体をねじ込むプレーが最近多い。アレ、見てる方も熱くなるし好きだぜ。


試合終了の笛が鳴ると、誰よりも先にぶっ倒れたタメ。しばらく立ち上がれなかったね。


田坂さんにお願い。今季の残り試合はタメをボランチに固定してください。2列目でもいいです。とにかく絶対に使ってください。

強化部にお願い。タメと来年も一緒に戦わせて。




トリニータの試合で延長になったのを観たのって初めてかもしれない。


スパイクが脱げて「ちょっと待って」って言ってる後藤の上からスローインしちゃう辻尾。


ビジョンに流れる天皇杯のプロモーションビデオを観る阪田とタメ。


3試合で勝ち点7を持ち返った辻尾軍団。今季のトリニータの成績を考えれば、驚異的な数字。そんな辻尾軍団のメンバーにこそ言ってほしいセリフがある。「このチームが降格する意味が分からない」(byチョン・テセ) 本日も大勢でのご来場を本当にありがとうございました。






前述した4人の他にも今日はキャプテンも圭介も良かった。でも16試合も勝ちがないリーグ戦と何が変わったのかは正直よく分からない。今日良かったなと思ったのは、ボールをロストした後に素早く切り替えてすぐに相手陣内でボールを奪い返したシーンが後半だけで4つ(土岐田2、西1、タメ1)もあったこと。そのいずれもチャンスに繋がったし、チーム全体にリズム感が生まれてたように見えた。でもそれ以外では戦術的に大きく変わったこともなかったし、一人一人が局面で戦ってたからくらいしか言えない。結局のところ、降格のプレッシャーから解き放たれたことが最大の要因なのかなとも思う。それだけ選手たちにのしかかってたプレッシャーは相当なものだったんだろうし、若手を中心にいま躍動してる姿を見ると、「それを早くやっとけよ」とはとても言う気になれない。手遅れなのは百も承知で、残り少ない試合でこういうサッカーを見せ続けてほしいと思う。


リーグ戦で1勝しか出来なくても、あと4つ勝てばACLに行ける。それが天皇杯。行けるところまで行って、楽しませてほしい。ベスト16はどこと当たるか分からないけど、もう今季は諦めてた遠征っぽいとこに当たってくれないかな。札幌行きたかったけど、J2相手だと平日開催らしいから、そうなるとセレッソだな。また奈良行きたい!
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「降格」を総括する

2013-10-05 22:12:14 | トリニータ
降格したのに、この何の感情も湧きあがってこない感じは何なんだろう。4年前とはえらい違いだ。この記事も2週間前には大体書き終えてたから、腐らないうちに早く公開しときたいなんて思うようになってしまう始末。

ということで、大分トリニータの2度目のJ1チャレンジは何のインパクトも残せないままにひっそりと終焉を迎えた。せめて残留を争ってほしかったし、J1昇格を決めたあの歓喜の国立からせめて1年はJ1でいて欲しかったよ。文字通り「救いようのない」シーズンを心を鬼にして総括する。


個人的に降格してしまったポイントとして4点書きたい。


1.『補強の失敗』

第26節ホーム湘南戦のコラムが掲載されたエルゴラに象徴的な文章があったので、引用したい。書いたのはエルゴラの大分番記者であるひぐらしひなつさん。

「西の滑るようなドリブル、為田のやんちゃな仕掛け、森島の迫力に、チェ・ジョンハンの突貫小僧ぶり、土岐田や安川の意表を突く最終ラインからの攻め上がり。いま最もサポーターが見たがっているのは、選手たちのそんな姿だ。」

この記述に100%共感なんだが、冷静に考えてみるとここに一人も今季J1で戦っていくために補強された選手がいないことに気付く。9月のこの時点で新たに補強された選手がほとんどチームに貢献していなかったことが分かる象徴的な文章だと思う。稼働という面でかろうじて木村に合格点が出せる程度でその他のシーズン前に補強した選手は期待に応えられなかったとハッキリと言える。もっとストレートな言葉で言えば、「失敗」だ。特にDFラインには十分な補強をした印象だったけど、結局のところ夏頃にはスタメンに阪田が名を連ねてる方が安心感があるという状態だった。松本怜についてはケガが多く同情の余地はあるものの、反面1シーズンでこれだけケガを繰り返すのはケガをしやすい体なんじゃないかという推測も出来る。J2で戦う来季以降もビッグクラブで燻る戦力をお借りするという方針は絶対に避けては通れないと思うけど、何と言うか、能力的に燻る選手ではなく、能力的には既に疑いがなく出番で燻ってる選手を冷静に見極めてとってこないと即戦力化するのは難しいと感じた。

松田力や梶山のようにシーズン途中で補強した選手たちには「当たり」と言える選手もいたものの、うちのように戦力で上回る相手に組織的に立ち向かっていかなければならないチームでやはり重要なのはシーズン前の補強だ。シーズン前は追い立てられるものがない状態でじっくりと1ヶ月半も戦術構築に時間が割けたわけだから。

この後に列挙する3点は雰囲気的なもので個人的な思いに偏ったものだけど、この「補強の失敗」については誰もが認める今季降格の大きな要因になったということで間違いないでしょう。もともと選手層が厚いとは言えないクラブがなけなしの金で補強した選手たちが戦力にならなければ、そりゃ降格する。特に経験値からいって、高木と深谷にはガッカリした。



2.『きっかけ』

ここで言うきっかけというのは、ポイントとなる試合をことごとく落としてきたということ。そもそも1勝しかしてないわけだからポイントとなる試合というよりもほとんどの試合を落としているので、的外れな指摘かもしれないけど、ここではもしそのポイントとなる試合を勝ってればという、「たられば」の世界で読んでいただければと思う。

自分がきっかけだったなと思う試合は、第5節H甲府戦、第7節A湘南戦、第15節H仙台戦、第18節A鳥栖戦、第21節A浦和戦の5試合。多すぎるというご指摘もごもっともだと思うけど、このうち1つでも勝ててれば、もうちょっと悪あがきというか、せめて残留を争うことくらいは出来たんじゃなかったのかなと思ってる。

まずは第5節H甲府戦。これは言わずと知れた「昇格クラブ勝ち点5のジンクス」がかかった試合だった。結果的に今季もこのジンクスをパスした甲府が生き残って、パス出来なかったうちと湘南(多分)が叩き落とされるというジンクス通りの結果になった。当時の記事で書いたけど、このジンクスって確率の面だけを見ても多分Jリーグで噂されてるあまたあるジンクスの中でも最強。そんな大事、いやこのジンクスのことを例え選手や監督が知らなかったとしても、昇格クラブ同士の直接対決なわけだからもちろん大事だった試合をあまりにも不甲斐ない内容で落とした。失点シーンなんて自分のチームながら失笑しちゃったもんね。

第7節A湘南戦。この試合もたった2節前に直接対決に敗れたばかりなのに、それを取り返そうという気概の感じられなかった試合。屋根がなく値段が高くて、さらに見にくいスタジアムのスタンドでびしょびしょに濡れて身も心も芯まで冷え切った印象だけが残る試合。

第15節H仙台戦。1ヶ月以上の中断明けの横浜戦を希望の持てる内容で終えて、ホームに戻ってきた1戦。ここでポイントとなったと思うのは、試合というよりも一つのプレーだ。確か前半15分くらいだったと思うけど、仙台の蜂須賀が出したイージーなパスミスをかっさらった松田力がキーパーとの1対1を外したシーン。多分冷静に振り返れば、あそこで決めてればなんてシーンは他にもいくらでもあったと思うけど、特にこのシーンでは自信を掴みかけてたチームがホームで真夏の連戦の試合序盤にいきなり先制点をかませれば、どれだけ楽になってたことかと思わざるを得ない。この試合に限らず運でも誤審でも何でもいいからもっと実力以外で勝ち点が転がり込んでればなと思うことが今季は特に多くあった。この試合も結局、真夏の連戦にありがちな動きの少ない膠着状態が長く続く試合で、前半の失点を最後まで返せずに終わってしまっただけに、序盤の決定的なシーンを決められなかったことは本当に痛かった。いま思うと、あそこで繋がりそうだった流れがプツリと切れてしまったような印象だ。まあ松田力はヘディングシュートとぶちかますシュートは絶品だけど、繊細な足元は並のFWだもんね。

鳥栖戦については別のところで書くので割愛。そして浦和戦については言わずもがな。この試合こそ、最後はどんな形でもいいから勝ち点3が転がり込んでて欲しかった試合。前節梶山が上々のデビューを飾ってチーム状態も上向き加減、そして望外の3ゴール。どんなに弱くたって残り70分で3点リードしてたらやりようはあったはず。サッカーってそういうスポーツだと思うし。それが出来ないところに、シーズンの流れを自力でこっちに向かせるだけの力強さが全てにおいて欠けていたということが象徴されてる。この試合後に梶山が途中で戦い方を変更したいと思ったけど言わなかった、言えば良かったみたいなことをコメントしてたけど、それを加入して2試合目の選手に言わせちゃって周りの選手どうなのよって思ったことを強く覚えてる。

あの松田力のシュートが入ってれば、さいスタで3-2でいいから勝ってれば。本当にそういう試合をことごとくあっさりと落とした。きっかけを自ら放棄してたような印象すら受けた今季だった。



3.『採用した戦術の失敗』

田坂さんが就任後一貫して言っている「走ること」と「ボールを動かすこと」。J2でやってきたことを昇格後も継続したこと自体は悪いことだとは思わないけど、結果的にはこの成績だし失敗だったわけだ。田坂さんがこの戦術を採用したことがベストでそれ以下も考えられたとも言えるけど、まあでもこの成績ならそういう可能性を加味したとしても最低の成績と言われる部類に入るでしょ。確かに「走ること」に光明を見出したかったし、専門のコーチの招へいも期待した。でも冷静に考えれば、今のJで走りに重きを置かないクラブなんてあるわけないし、その中で傑出した走力を発揮するのは並大抵のことじゃないわけだし、それをさらに「ボールを動かす」という戦術と同時進行させていってどっちつかずで終わっちゃったのってある意味で必然だったように思う。試合は負けたけど、よく走ってたっていう試合も結局のところほとんどなかったし。ついでにその期待された専門のコーチだけど、抽象的な言葉ではあるけど、負けた試合後にあたかも出来ない選手たちのせいにしてるかのようなことをtwitterでつぶやいてて、しばらくは我慢してたけど、さすがに我慢出来なくなってフォローを外した。言葉の真意は分からないけど、プロフェッショナルなら結果の出ない時は誤解されるようなことすらも言わずに黙ってろって話だ。

シーズン前はとにかくサッカーの面で「ブレない」でほしいと強く思ってた。今まで降格したチームを第三者として見てきて、そのまま継続してれば、必ず上向きそうなのに、目先の勝ち点に目がくらんで、迷走するのを何度も見てきたから。でもここまで成績悪いと、さすがに「ブレろよ!」と思わざるを得なかった。サッカーに限らず、理想を持って地道に取り組むことはとても大事なことだと思うけど、弱肉強食感の強い勝負の世界では具現化出来ない理想は鼻くそ同然で、前向きになれる要素を何も生み出さないことを痛感した。最後までほとんど「ブレなかった」田坂さんの心の強さは立派だけど、成績というフィルターを通してしまうと、「試行錯誤」を怠ったという評価を下されても仕方ないと思う。それほどまでに酷い成績だということ。



4.『雰囲気』

一言で言って、降格やむなしの雰囲気が常にクラブ全体にあった。まず個人的には今季の最大の目標は残留ではなかった。クラブとしての根をしっかりと張りつつ、それが出来た上でお財布的に無理をしないで残留出来るならした方がいいというスタンスだった。次にクラブとしては、J史上最悪の成績の監督と心中すると決めた時点で降格もやむなしと思っていたはずだ。田坂さんには十分な戦力を与えられていないし、この成績でもやむを得ないと思ってたはずだし、推測だけどそのことを田坂さんにも伝えてたんじゃないのかなと思う。最後にサポーター。09年の時と同じような成績でシーズンが進みながらも、選手の補強や監督の交代を求める声が圧倒的に少なかったことが降格やむなしの雰囲気を如実に物語ってる。09年の時との比較でなくて一般的なクラブと比較しても、これだけ酷い成績のクラブに対してここまで寛容なサポーターはある意味で異様だと思う。それってまさに09年までの失敗を見据えてるサポーターが多いことに他ならないからだと思う。09年のオフに多くのサポーターが自らが愛するクラブが消滅する恐怖を現実として受け止めた。だからクラブが消滅してしまうことに比べたらJ2降格なんてサラッと受け入れられるという異質のメンタリティを身につけてるからだと思う。そういう全体の雰囲気が、いつまでも反攻に転じられずズルズルと下がり切ってしまったことに影響を及ぼしたことは否定出来ない。もちろんそういう接し方をしてるサポーターを否定する気持ちも全くないし、何よりも自分がそうだから。

ここ1ヶ月ほどJリーグに関わる人たちの間では、2015年から復活するという「2ステージ制」の話題が熱を帯びてたけど、大分界隈で盛り上がりを見せることはなかった。なぜなら2014年度末を越せなければ、オレたちに2015年が来ることはないからだ。だから所詮「2ステージ制」なんて他人事なんだ。「2ステージ制」だろうが何だろうがトップカテゴリーでサッカー出来てりゃ文句ねえだろってな感じでしょうか。これってやっぱり言いかえれば、今の大分トリニータというクラブにとって優先順位が高いのはサッカーで上を目指すことではなく、財務面の強化だということだと思う。もちろんだからと言って、昨シーズン昇格しなければ良かったというわけじゃないし、09年のような過ちを犯さなかっただけフロントは最低限の仕事はしてくれたと思ってる。



以上、4点を思いつくままに書いてみた。じゃあ、これからどうしていくのかってところを考えていかないと、一応J1として過ごした1年弱が本当に無駄な時間になっちゃう。

前から思ってるけど、責任者を置くことが必要だと個人的には思ってる。今季に関しては田坂さんを解任するという選択肢はシーズン前から想定に入れてなかったんだろうけど、そもそも今後そういう状況に陥った時に決断を下す責任者が誰なのか大分の場合よく分からない。サッカー素人の社長はそんなこと出来ないだろうし、強化部がどこまで権限を持ってるのか分からないし、監督がクラブの全権を掌握することは最も危険な状態だと思うし。金がないのは分かるけど、決断を下す責任者が誰なのかはハッキリしてほしいと常々思ってる。上の方で鳥栖のことを割愛したけど、ここでちょっと触れておきたい。悔しいけど、ここ数年で鳥栖は九州のトップクラブ(あ、盟主って言うんだっけ)になった。サッカーが大分の上をいってるのは言わずもがなだが、クラブの体制も鳥栖は間違いなくJ1に定着するクラブになりつつある。詳細は長くなるので書かないけど、1年ほど前に徹マガで鳥栖の社長のインタビューを読んで、随分と先に行かれたもんだと思ったし、何よりも今季多くの人が大分への移籍を熱望してた菊地直哉を鳥栖に奪われ、そしてその菊地が出場した大事な直接対決に敗れたことはクラブの総力で上回られたことの象徴的な試合だったんじゃないかと思ってる。もちろん大分のフロントがオファーを出したかどうかも分からないけど、菊地が最終ラインに定着した鳥栖がその後順調に勝ち点を積み上げて早々に安全圏に逃げ込んだのを見れば、多くのサポーターが期待した「菊地の獲得」というのは、耳を傾けるべき「声」だったことは間違いない。でも責任者がハッキリしないと、果たして当時どうだったのかすら分からないから良くないと思うわけだ。

それともう1点。J1に上がることのメリットやJ1にいることで享受出来る利益をしっかりと把握しておかないと、今後またJ1を狙う時に県やスポンサーの協力が得にくくなっちゃうんじゃないかと思う。分配金とかが出てきて、収益がハッキリとするのはもっと後だろうから、今は分からないけど、とりあえず手っ取り早いところで観客動員はよく考えなきゃならない。

J2だった12シーズンとJ1だった13シーズンの観客動員を比較してみる。

まずは平時の最多動員試合。

2012・41節山形戦 17,028人
2013・ 1節東京戦 17,055人


総力戦

2012・32節甲府戦 23,617人
2013・20節柏戦  23,814人


湘南戦
2012・24節湘南戦 10,137人
2013・26節湘南戦 8,520人


シーズン前は4年ぶりのJ1だし、正直もっとお客さんは来ると思ってた。でもこうやって数字を並べてみると、お客さんが何を観たがってるかは一目瞭然。特に2年続けて同じディヴィジョンで戦った湘南戦の数字は顕著。12シーズンの湘南戦は前節の勝利でシーズン初の首位に立って臨んだ試合(結果が惨敗だったのは内緒だが)。一方の記憶に新しい13シーズンの湘南戦は半年間ホーム未勝利で降格秒読みで迎えた試合。J1だからというだけでお客さんが入る時代ではなくなったと捉えるべきなのか、ディヴィジョンに関係なく勝てなきゃお客さんは来ないと捉えるべきかはまだ分からないけど、この観客動員数を見るだけでも「J1昇格」が万病に効く特効薬でないことは明らか。例え「万年J2」でも安定的に1万人に愛され支えられるのなら、そっちの方が幸せかもしれないということも一つの目指すべき道だと思う。それが絶対に正しいとはもちろん思わないけど、あくまでも選択肢の一つとして。


総括とか言いながら完全にとりとめなくなってきたし、結局のところ自分でも何が言いたいのか良く分からなくなってきたので、この辺で締めます。これ書いてる途中に発表された社長のコメントを読んで少しは前向きになれた気がする。シーズン中に選手や監督を見てて、「大分はまだ死んでない」って思えたことは一度としてなかったけど、この社長のコメントを読んでやっと「大分はまだ死んでない」って思えたような気がした。何て言うか、もう一度気持ちをリセットして、また一生懸命に大分トリニータを応援したいよ。「応援する」ってハッキリとは今はまだ思えない。今はそんな気持ち。
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記憶に残らない試合(28節C大阪戦)

2013-10-05 20:25:26 | マッチレポート13’
5年後くらいに13シーズンに降格した時ってどんな試合だったけなって思い返しても多分全然思い出せないだろうな。普通の試合だった。今季何度も見せられた普通の負け試合。

予想はしてたけど、涙はおろか悔しいとも悲しいとも思わなかった。試合後のゴール裏のやり取りを何とも言えない苦々しい気持ちでぼーと見てただけ。選手たちもサバサバと受け入れてる顔が多かったし、スタンドの映像もメディアが欲しそうなのはほとんどなかったよね。

タンタンの奮闘で何とか試合は壊れずに済んだけど、それがなければ後半早々にお葬式試合になっててもおかしくなかった。「何が何でも勝ちたい気持ち」は今日も感じられなかった・・って書こうと思ったんだけど、もうそうじゃないのかもって思い始めた。最近、うちの2歳の子が悪いことをした時に「何でこんなことしたの!」って怒ったら、嫁さんから「子供に『何で』って怒ったって分かるわけないでしょ」って逆に怒られたんだけど、それと同じかなって思う。もう選手たちも『何で』勝てないのか、自分たちで分かんないんだと思う。田坂さんがどれだけ「自分たちのサッカー」を試合前に強調しても、失点をした瞬間に選手たちの中に猜疑心が芽生える。そして自らバランスを崩すように静かに内部から崩壊していく。そんな繰り返しだったように思う。

さ、J2生活。金はかかるけど、J2生活も楽しいからね。とりあえず行ったことのない長崎に行きたいし、讃岐なんかが上がってきても楽しみだね。
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