いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

分離型の電球型蛍光灯

2008年07月03日 | 比べてみよう
 電球型蛍光灯の電子回路部分を再利用して、電球(正確には放電管)部分だけ交換できる製品が発売されるそうです。

 確認しておきますと、最初から蛍光灯専用に作られた照明器具では、電球だけ安く交換するのが普通です。昔は点灯管も数年で消耗していましたし、高圧コイル式の安定器も劣化したら交換していましたが、これらも電子化されてちらつきがなくなった(インバーター方式)上に寿命が長くなり、ほとんど交換する必要がなくなっています。

 初期の電球型蛍光灯を使ったことのある方ならわかると思いますが、電球型蛍光灯は、元々白熱電球用の器具に装着することを意図しているため、蛍光灯器具が持っている安定器などの電子回路を電球の根元に内蔵しており、かなりかさ張るものでした。おまけに蛍光管が黒ずんで寿命になれば、電子回路まで一緒に交換。もったいないと思って当然です。

 ですから、電子回路部分と電球を分離できる構造にしておけば、寿命の短い(普通に使えば白熱電球よりはずっと長いですが)電球部分だけ交換することで無駄なく使えるという発想は自然です。ただし、今までは電球型蛍光灯を小型化するのが難しく、ただでさえ白熱電球より大きくなってしまうものを、更にソケットとプラグを追加して分離できるようにすると大きさの点で用途が限られてしまう欠点がありました。今回は電球型蛍光灯の小型化技術がここまで進んだという成果です。

 問題は、この分離方式が普及するかどうかです。日立だけで生産するのであれば生産規模が小さく、スケールメリットによるコストダウンが進みません。蛍光灯は元々寿命がかなり長いので、もし分離方式の値段が高いようなら通常型の電球型蛍光灯で十分と見られてしまうでしょう。他のメーカーはどう動くでしょうか?

 普及に最も効果があるのは規格のオープン化です。世界中のメーカーが安いコストで分離方式の電球型蛍光灯を生産できるようになれば、この方式が世界の標準になる可能性はあります。しかし日立に主導権を取られることになれば、他のメーカーは販売戦略の上で好ましくないでしょう。特に日立よりシェアの大きい松下とか東芝が共通規格を採用するかどうかは難しいところです。日本の電球と競合するオスラムなどの外国勢も簡単には乗らないでしょうね。

 オープン化することで低品質の互換製品が出てくる懸念もあります。日立の電球型蛍光灯の電球だけ古くなったので、互換性のある電球を100円ショップで買って付けたらソケットがうまく合わないとか、壊れたとかいうことになったら、法律的にはともかく、商品イメージを考慮して日立がサポートしないといけないケースも予想されます。

 それじゃオープン化せずに日立の独自規格で通すとしたら、今度はいつまでもコストが下がらないですね。当分は西友で専売と書いてありましたが、西友の販売力なんて大きなものじゃありません。親会社のウォールマートで世界中に販売するのならまだしも、日立と西友のコンビで作った製品は、実質的にプライベートブランド程度の販売しか期待できないように思います。

 そう考えると、この規格が電球型蛍光灯の標準になるかどうかは疑わしいところです。この規格を潰すために業界最大手の松下が仕掛けてくる可能性もありますし、我が家の判断としては「しばらく待ち」でいこうと思います。
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