アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

帰ってきたウルトラマン VOL.1

2008-09-10 23:07:15 | テレビ番組
『帰ってきたウルトラマン VOL.1』 ☆☆☆

 私は実は『帰ってきたウルトラマン』のDVD vol.1とvol.9を所有している。Vol.9は、知ってる人はピンとくるだろうが名作『怪獣使いと少年』が収録されているディスクである。

 というわけで久し振りにvol.1を観てみたが、やはり独特のカラーがあるシリーズである。最初の『ウルトラマン』は『ウルトラQ』から継承した怪奇性があり、次の『ウルトラセブン』は進化したセンス・オブ・ワンダーと実験性が融合した見事なSFドラマだった。そしてこの『帰ってきたウルトラマン』では人間ドラマに力を入れたと言われるが、確かにそうなっている。例えば主人公の郷秀樹はウルトラマンに変身できるとなるとたちまち増長し、「いざとなればウルトラマンになればいいんだ」などと考えて命令を無視し、MATをクビになったりする。『恐怖の怪獣魔境』では怪獣を見たといってもMATのみんなに信じてもらえない疎外感がテーマになり、『必殺!流星キック』では一旦怪獣に負け、特訓をして勝つというスポ根ドラマ的になっている。

 それからこの番組を語る上で欠かせないのが、『帰ってきたウルトラマン』はシリーズ中唯一変身アイテムを持たないウルトラマンということである。郷秀樹は好きな時に自由自在にウルトラマンに変身することはできず、とりあえず人間のままでがんばっていると、突然どこからともなく超越的な光がさしてきて変身できるようになる。この「好きな時に変身できない」という不便さ、制約が、『帰ってきたウルトラマン』を独特のドラマにしているように思う。そういえば『スペクトルマン』というのもそういう不便なヒーローだった。

 それから何といっても岸田森、榊原るみのキャストが魅力的だ。岸田森は足が不自由な元レーサーで、杖をついて登場する。陰りがあってクールで、実に魅力的なキャラクターだ。榊原るみはやっぱり可愛い。なんせ『男はつらいよ』のマドンナ女優だ。MAT隊員もあなどれない。キカイダー01こと南隊員、恐怖のテレフォン・セックス魔こと岸田隊員など豪華な顔ぶれである。

 という風に、制作サイドの意気込みは充分に伝わってくる意欲作なのだが、残念なことに前二作に顕著だったSF色は大きく後退している。『ウルトラマン』『ウルトラセブン』では侵略者や超自然現象に向いていた制作者の目が、『帰ってきたウルトラマン』では郷秀樹=ウルトラマンに向いているのである。それに人間ドラマといってもそこは子供向け特撮番組なので、やはり普通のドラマにはかなわない。『ウルトラセブン』は普通のドラマにないSFマインドが盛り込まれることで子供番組を越えたユニークな作品になっていたが、この『帰ってきたウルトラマン』ではそのテイストは失われてしまい、結果的に子供番組の範疇におさまってしまうことになった。

 ところで第一話の『怪獣総進撃』は三大怪獣が登場する豪華版で、監督は『ゴジラ』の本多猪四郎である。吸盤のついたボールみたいなタッコングは第二話にも登場する。しかしこのタッコング、一応腕がついているのだが、あれじゃあまりに短くて頭を掻くことや落し物をひろうことはおろか、拍手をすることすらできない。あの腕は一体何の役に立っているのだろうか……まあいいか。


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2 コメント

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タッコング!(笑) (xenon)
2008-09-11 20:09:20
そーそー!タッコング!

『帰ってきたウルトラマン』で真っ先に頭に浮かぶのは、この『タッコング』ですょ。


ワンダバダバ ワンダバダバ ワンダバダバダ♪

でしたっけ?放送始まった頃(小学生時代)、皆で早口言葉のように歌ってました(笑)
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ワンダバ (ego_dance)
2008-09-16 10:30:25
そういえば、『帰マン』といえばワンダバというぐらいカッコイイBGMでしたね、あれは。書き忘れてました。私はあのワンダバがものすごく好きで、今でもあれを聞くと体が熱くなります。
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