Sleeping Beauty

『Sleeping Beauty』　Clyde Geronimi監督　　　☆☆☆☆

　ご存知、ディズニーの『眠れる森の美女』である。最近DVDが再発されたので買ってきた。子供の頃見た記憶はあるが、ほとんど覚えていなかった。この歳で観てもちゃんと面白い。さすがディズニーの傑作と言われるだけのことはある。

　魔女の予言や、眠りにつく姫、城を取り囲む茨の森など、もともとの物語が寓話的かつイマジネーション豊かな傑作ということもあるが、独特の映像美がアニメとしての魅力を増している。森や城などの背景が奇妙に幾何学的な造形になっているのだ。緻密な描きこみが非常に美しい。それからオーロラ姫がものすごく美人である。最近の庶民的なディズニー・ヒロインとは違う、古典的な、堂々たる美人顔だ。とても16才とは思えない。こんな百姓娘が森をうろついていたらフィリップ王子でなくてもびっくりしてしまう。

　物語は大体知っていたが、細かいところがイメージと違っていた。たとえばオーロラ姫が魔女の策略で糸車の針に刺されるところ。本作では完全に魔女の遠隔操作になっていたが、あれは本当はオーロラ姫が自分で塔を上がって行って、それまで見たことがない糸車に好奇心にかられて触れてしまうんじゃなかっただろうか。それからこのアニメだとオーロラ姫は結局一晩ぐらいしか眠っていないような気がするが、個人的にはもっと長いこと眠っていて欲しい。長い長い眠りの後に目覚める、というのがいいと思うんだけどな。