『わらの女』 カトリーヌ・アルレー ☆☆★
再読。名作と言われているらしいが、大したことはない。まあ確かに、きびきびした文体と先の読めないプロットでサクサク読める。要するに「金持ちと結婚して贅沢したい」と思っている女が「結婚相手求む」の新聞広告につられて応募すると、大富豪の遺産を相続して山分けしようじゃないかと持ちかけられる。持ちかけた秘書がブレーンとなって女は大富豪を篭絡し、何とか結婚にこぎつける。これですべてOKと思ったところで突然大富豪が死ぬ。まだ遺言状の書き替えが終わっていない、だから数日はこれを秘密にしないとすべては水の泡だ、というわけで、女と秘書は大富豪の死を隠蔽しようとする、という話だ。
もちろん終盤になると、それまでの話にはとんでもない裏があったという展開になるが、もう一ひねりあるだろうと思っているとそのままあっさり終わってしまう。おいおい、そういう結末かい、と呟いてしまう。拍子抜けだし、同時に釈然としない。勧善懲悪ではなく完全犯罪の成就を描いたのはいいけれども、完全犯罪の細部がイマイチ不明瞭ですっきりしないのである。ネタバレにならないようこれ以上書かないが、あんなことやこんなことは具体的にはどういう仕掛けになってたの、という疑問が残る。それに、そこまで完璧な犯罪計画とも思えない。
また、真の主人公というべき「真犯人」が、一体どんな奴なのかよー分からんというのも不満だ。人間的魅力に欠けるのである。悪人が最後に勝ってもいいが、これでは読後感が広がらない。完全犯罪の話なら『白昼の死角』の方が20倍面白い。
再読。名作と言われているらしいが、大したことはない。まあ確かに、きびきびした文体と先の読めないプロットでサクサク読める。要するに「金持ちと結婚して贅沢したい」と思っている女が「結婚相手求む」の新聞広告につられて応募すると、大富豪の遺産を相続して山分けしようじゃないかと持ちかけられる。持ちかけた秘書がブレーンとなって女は大富豪を篭絡し、何とか結婚にこぎつける。これですべてOKと思ったところで突然大富豪が死ぬ。まだ遺言状の書き替えが終わっていない、だから数日はこれを秘密にしないとすべては水の泡だ、というわけで、女と秘書は大富豪の死を隠蔽しようとする、という話だ。
もちろん終盤になると、それまでの話にはとんでもない裏があったという展開になるが、もう一ひねりあるだろうと思っているとそのままあっさり終わってしまう。おいおい、そういう結末かい、と呟いてしまう。拍子抜けだし、同時に釈然としない。勧善懲悪ではなく完全犯罪の成就を描いたのはいいけれども、完全犯罪の細部がイマイチ不明瞭ですっきりしないのである。ネタバレにならないようこれ以上書かないが、あんなことやこんなことは具体的にはどういう仕掛けになってたの、という疑問が残る。それに、そこまで完璧な犯罪計画とも思えない。
また、真の主人公というべき「真犯人」が、一体どんな奴なのかよー分からんというのも不満だ。人間的魅力に欠けるのである。悪人が最後に勝ってもいいが、これでは読後感が広がらない。完全犯罪の話なら『白昼の死角』の方が20倍面白い。
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