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続・池田信夫氏への質問

2006年08月29日 19時00分10秒 | 社会全般
前の記事に書いたお答えを頂戴致しました。

ご回答下さり有難うございました。疑問に思える所がまだありますので、確認させて頂きたく、ご回答くだされば幸いに存じます。

池田先生のコメントを以下に引用させていただきます。


そんなことを証明する必要はありません。現実に27%以上の金利で借りている人々がいれば、上限の引き下げでその人々(の一部)が借りられなくなることは明らかです。上限引き下げの影響に関しては、下記の論文が私の論拠です:

http://www.waseda.jp/prj-ircfs/pdf/ircfs03-002.pdf

当ブログは学術研究ではないので、利用可能な範囲で既存の論文を参照しただけです。その推計が不十分だという批判は、この論文の著者に言ってください。少なくとも、上限金利の引き下げによって破産や闇金が減ったという研究はありません。




まず、経済学を専門とされている方々の言い分によく見られる「需要と供給」の関係ですけれども、坂野論文を取り上げて論拠としていたにも関わらず、均衡金利は無視というのは解せませんね。需給変動による超過需要を主張していたのに、です。『これは理論的にも実証的にも明らかです。』とコメントされていますよね?それとも先生のご主張は誤りということでしょうか?

上限金利が均衡金利よりも高い水準の場合には、経済厚生の損失は発生しない可能性もあるのではないでしょうか?引き下げられた上限金利が、依然均衡水準よりも上回っているかもしれない、ということを何故否定できるのでしょうか?経済学を謳っているのであれば、こうした基本的な質問には回答できうるはずと思われますが。「現実に27%以上の金利で借りてる人々がいれば、~明らかです。」と述べられておりますが、もし均衡金利水準がもっと低ければ「27%以上の金利」というのが社会全体で見れば非効率部分なだけなのではありませんか?


続いて、お示し頂いた堂下先生の論文ですが、これも既に以前に磯崎氏が取り上げていたので存じておりますよ。私も取り上げて過去に記事を書いてきましたので。このペーパー自体は「上限金利引下げで闇金や自己破産が増加する」ことの根拠にはならないと思いますが。
『闇金がぼろもうけするようになったのは、出資法の上限金利が下がってからです。』
この根拠をお伺いしているのです。他の説明要因を退けるだけの根拠があるはずですよね?そして、過去の引下げの時に、それがどのように観察されたのかお示し下さい。

『少なくとも、上限金利の引き下げによって破産や闇金が減ったという研究はありません。』
上限撤廃によって「自己破産」が減少した、という実証研究があるのであれば御教示下さい。これが示せないのであれば、「上限金利の引き下げ~研究はありません」というのと、何ら変わらないのではないでしょうか。上限金利は破産に対してはどちらとも言えない、としか言えないのではありませんか?それなのに、先生のご主張によれば、上限引き下げによって増加する、という因果関係を決定付けていると思いますが。禁酒法がなければマフィアが儲けられなかった、というのはそうでしょう。しかし、闇金の場合には「上限が引き下げられたから増えた」という主張は必ずしも当てはまらないと考えています。


最後に、確認ですけれども、「先進国に上限金利はない」は誤りであった、ということでよろしいでしょうか?


池田先生は「利用可能な範囲で既存の論文を参照しただけ」と仰っておられますが、それは即ち「ペーパーになっているものは、全て理論的にも明らかであり、事実である」というご認識なのでしょうか?専門外の普通の人でも、「ペーパーに書いてあったのを見ただけ」ということを言えると思いますが。先生は「経済学」を常々謳っておられるわけですから、一応それなりの学術的な目をもってペーパーなり論拠なりを判断されるのではないのですか?大勢の人々に「ちょっと冷静に考えてほしい」と説いておられるのであれば、よく吟味して欲しいと思います。



参考記事:闇金が増加したワケ(追加あり)



これを再び質問してみました。


まるで、既視現象のように思えますね。
いつか来た道。


池田信夫氏への質問

2006年08月29日 12時02分59秒 | 社会全般
池田氏はネット上では割りと著名な経済学者ということらしいのです。しかし、経済学者というのは、一体どうなっているのでしょうか?ここでも経済学、経済学と連呼されているのですね。「経済学」って一体何ですか?これは同じことを何人もの人が言っていて、「経済学的には~」という理屈で上限金利に反対する訳ですが、経済学者の言うことって、「本当のこと」ばかりなのでしょうか?甚だ疑問です。

池田信夫 blog:グレーゾーン金利


記事から一部を引用してみます。


しかし、ちょっと冷静に考えてほしい。現在の上限(29.2%)を20%以下に引き下げることが何をもたらすかは、経済学的には明らかである。金利は貨幣のレンタル価格だから、それが人為的に抑えられると、資金の供給(貸出)が減少して超過需要が発生する。この超過需要が満たされなければ破産が起こるか、闇金融に流れることが予想される。事実、2000年に出資法の上限金利が40%から引き下げられたあと、個人破産と闇金融事件が増えた。

こうした金利の制限は、先進国にはみられないものであり、終戦直後の混乱期に闇金融を規制して「弱者」を保護するために設けられた規制である。(以下略)




このように経済学者が述べており、しかもコメント欄で引用している「論拠」は当ブログで何度も批判してきた坂野教授のペーパー(「上限金利規制が消費者金融市場と日本経済に与える影響」)です。「またか」、ですね。『闇金がぼろもうけするようになったのは、出資法の上限金利が下がってからです。』ともコメントしておられますので、きっとこの根拠も経済学的に証明できうることでしょう。


そこで、いくつか質問をさせて頂きます。


1)「人為的に抑えられると、資金の供給(貸出)が減少して超過需要が発生する」について

超過需要発生を大前提にされてますし、坂野ペーパーでは27%引下げでも同様のことが起こると記述されています。つまり、消費者金融市場の「均衡金利水準は27%以上である」ということが、先生の仰るように『経済学的に明らか』というわけですね。これを経済学的に説明頂きたいです。根拠の提示も可能であるはずです。


2)「事実、2000年に出資法の上限金利が40%から引き下げられたあと、個人破産と闇金融事件が増えた」について

上限引き下げと個人破産や闇金事件を「原因―結果」として記述していると思います。そして、これを事実と仰っているわけですから、この根拠を提示できるはずです。例えば、単なる「借り手の増加」ということによっても、同じ確率で「闇金融」へのアクセスがあるとすれば、被害者は増加するはずです。貸金の借り手の8%が闇金融から借入ると総利用者数が500万人なら40万人、1500万人なら120万人ということになります。こういう要因よりも、「上限金利引下げ」が「決定的要因」というか原因であることを示す根拠を提示して頂きたく思います。それと、過去数回の引下げの結果についても、「上限金利引下げ」と「破産増加、闇金増加」の因果関係について説明できるはずですので、どのような現象が引き起こされたのかお示し下さればと思います。「他の原因ではなく、上限金利引下げが原因である」ことを経済学的に確定した根拠があるはずですね。


3)「こうした金利の制限は、先進国にはみられないものであり」について

参考までに、アメリカの場合には上限金利は州法によって異なっており、上限のない州は6つ程度だったと思います。他は全て上限が設けられておりますが。韓国も、一度上限を撤廃した後、66%の上限を復活させておるところですが、一部過激な意見では「韓国は先進国ではない」ということかもしれませんが、どうなのか判りません。ドイツもフランスも上限は設けられていると思いましたが、これらも「先進国にはみられない」と仰るのでしょうか。


経済学者の方ですので、コメント欄に一般素人の書いたことに対しても、「根拠を示せ」と求める訳ですから、ご自身で坂野ペーパー等を検討した結果、『経済学的に明らか』と仰っているものと思います。一般素人以下の理解などということは普通想定できないので、全て「正しい」ことが証明できるはずですね。