いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

こうして蟻地獄へ

2006年08月22日 21時38分11秒 | 社会全般
こりゃ、いいようにムシられ、タカられたのさ。これが貸金業者のウマミさ。住宅担保なら、支払が止まれば競売かけて、取り返せばいいんだし。無担保融資じゃないんだから、はじめの頃によく調べて借りていれば、とっくに返し終わってるって。

ちょっとしつこいかもしれませんが、また貸金関係の話題。どうぞ、お許しを。


広がる多重債務 信用情報、悪用 「借り換えが得」業者、交互に勧誘-縦並び社会・格差の現場から:MSN毎日インタラクティブ


93年に50万円からスタート。普通に考えて、月2万円くらいを4年かければ返せるハズ。でもね、甘いのよ。継続し続けることは難しいのよ。どこかで、急に他の出費がかさんだりすることもあるの。なので、手元資金に50万円も残らない程の、住宅購入計画というのがまず大きな間違いだろうね。退職直後なんだし。恐らく、退職金1500万円という、未だかつてない大金を手にした時、「大きな気分で行ってみよ」(笑、古すぎて、誰も知らないかも。再放送してくれんかな~>NHKさま)になっちゃったのかもしれんね。思いのほか、予定外の出費はあるものですから。


しかも当時55歳くらいですから、子どもさんの費用なんかもかかる頃なんではないかと。なので、必ず手元資金をある程度残すような資金計画で住宅購入をするべきですね。どうしても資金不足になるなら、10年程度の少額の住宅ローンを組んでおく方が無難。なので、最低100万円くらいは手元に残して、その分住宅ローンで100万円設定しても、ほとんど問題ないと思う。有担保だから借入条件は悪くないし、10年だから金利負担もさほど大きくはないはず。年利5%で10年ローンであっても、月10607円均等(ボーナス返済なし)で返し終わる。というわけで、まず住宅購入の資金計画に大きな問題があったのではないかと思う。

普通ね、大の男がだよ、50万円も出せない、ってなったら、家族は困るよ。家族が急に病気になったり、息子が何かしでかしたり、娘が結婚したい、って言い出したりとか。何があるか、判らんのが人生ですから。なので、手元資金は必ず一定額は残すべき。


まあ、これは仕方がなかったとしても、50万円のサラ金ローン返済ができない、ってことはないと思う。女房に黙っていたとか、そういう何か特別な理由がなければ、サラ金ローンの年利40%であっても毎月21000円くらい払えば4年で返せるはず。もしも返済に充てる21000円が世帯支出の死活水準である時、住宅購入は無謀であったとしか言いようがない。総返済額で考えると(4年ローンとして)、金利水準が25%ならば約80万円で、40%だと約101万円だから、80万円くらい払っていれば返し終わってるはずなのですが、金利が高いから途中でその20万円が調達できないか、使う額をオーバーしてしまう事態が発生すると、結局返済が終われずに借金が残るのですよ。また借りるわけだ。すると、いつの間にか増えてるんですよ、これが。

「あれれ、ちょっと払えないな」と思って、次の借入を起こす。20万円とか30万円とか。そういうのが3つくらいになって、払い続けてるから自分では確か減ってると思っていたのに、金利成長速度が自分のイメージしているのと全然違うから、元金減らせず、途中で借入の誘惑に勝てないと、借入総額は増えている、という結果に終わる。この男性の例が、まさにそれ。100万円を超えてくると、もう無理。貸金業者にとっては、いいカモになっているんですよ。


で、記事にあるようにカモられる。
01年頃の上限金利引下げを挟んでるから、「金利を下げます」とかうまいこと言われて、元金かさ上げで返済負担が増えてるんですね。自宅の担保設定変更なんかで、登記費用とか諸経費なんかをボラれて、金銭消費貸借契約書の腹の立つ印紙代(笑、財務省に入るのでしたか?)とかも勿論貸し付けられとるんでしょうよ。有担保貸付なのに、無担保金利なみの設定なんですね。こりゃ、どう考えてもおいしい商売なのですよ。でもね、自宅競売まで追い込めるように狙ってるんですよ、業者としては。逝く所まで逝ってもらわないと、やっぱり。回収限界までは貸すに決まってる。担保設定されてしまえば、逃れられんのよ。返す以外にない。それか自宅を手放すか。どっちかだ。


毎日の記事にある、次の部分。
『A社が今回提示した金利は、B社より0・1%だけ低い9・5%。「なぜ最初から9・5%で貸さなかったのか」。男性がこう尋ねた瞬間、社員は初めてたじろいだ。「できないです。そういう商品がなかったんで」
社員は言った。「どちらを選ぶかということですよ。全体として安くなって7年できれいに終わるか、B社さんに高いまま払い続けるのか」』


これは、その通りでしょうね。「そういう商品がなかったんで」というのもそうでしょう、多分。本当は初めから自分の努力で、対処を考えるべきだったのですよ。その高い授業料を今になって払わねばならなくなっている、ということです。初期段階で正しく対応しておけば、ここまで被害は拡大しなかった。そもそも、50万円の借金を8年もかけて120万円に増やしているような「管理水準」に、大きな甘さと借金を軽く考えているという問題があるのですよ。月々2万円が払えないレベルであったのに、その後借入残高が増えても「返せる」と考えてること自体に大きな問題があるでしょう。カモられてる、ってことに途中で気付かないというレベルであれば、かならず餌食にされるでしょう。


親族に今になって150万円借りるくらいなら、初めから借りとけってことですよ。少なくとも01年頃に処理しておけば、まだ間に合ったでしょうね。現時点では、担保設定がある限り、どうにもならんと思うよ。業者が有担保なので金利を下げてくれたのは、まだマシな方と言えるでしょう。他のアコギな複数業者が高金利の資金を供給してなかっただけ、増え方が少なかったですよね。10年以上貸金から借り続けていると、大体「自己破産コース逝き」ではないかと。



特例金利?なぜ?金融庁

2006年08月22日 19時58分14秒 | 社会全般
業者への配慮以外には何の意味もないでしょ。何で?金融庁はどうしちゃったの?ブレるのはよくないよ。それとも、某ブログ界隈の座長批判にでも怖れをなしたか?批判されるのは、よくあること。説得的な説明・検討をすることを目指すべきだよ。

でもね、特例って言えば、昔の日賦業者みたいに、109.5%の特例を認めたら、闇金がそこにタカって、「日掛け」で密着取立してたんではないですか?(貸金業の上限金利問題~その9


貸出金利:上限に特例、少額対象に1顧客1社 金融庁方針-話題:MSN毎日インタラクティブ

(以下に一部抜粋)

短期・少額の貸し出しについては「利払い負担は小さい」ことなどを理由に特例金利を認める余地も残し、金融庁に具体的な検討を求めていた。金融庁は、少額・短期の貸し出しについては、急な出費への対応やつなぎ資金として個人、事業者からの需要が強いと判断。急な金利引き下げで貸金業者が融資を絞るのを防ぐため、数年間の経過措置として、特例金利を容認することにした。

特例は融資額10万~50万円を対象とし、(1)利息制限法の上限に3~5%上乗せ(2)現行の出資法の上限である29.2%--の2案を軸に調整している。「特例を認めれば、金利規制は有名無実化する」との批判が強いことから、特例金利で貸せるのは顧客1人につき1社に限定。顧客がすでに他社から特例金利で借りていないかどうかを業者が正確に把握できる仕組み作りも検討する。




相当猛烈なロビーにやられたのか?オイ。
貸金業界だけじゃなく、広告業界とか辺りから?も。
放送・出版とかのメディア業界からとか?
何で、こんな馬鹿げた案が出されるんだよ!!


万が一、この特例金利ができると、大手の「かっぱぎ」容認というか、寡占体制強化でしょ。明らかにオカシイでしょうが。


特例金利は1社のみが適用できます。1社目は必ずこの金利を適用し、もっと低い金利を適用するインセンティブはありません。つまりこれは何を意味しているかというと、借り手のファースト・アクセスというか、貸金業者のうち大手数社のような「1番最初に借りるところ」に選択されやすい業者だけが圧倒的に有利になります。初めて借りに来たら、ソッコウで「特例金利決定」ですもん。しかもこの金利適用のオカシイところは、借り手の「リスク」には全く関係ない、ということですよ。明らかにオカシイでしょ。


他社からの借入がない、借入金額は比較的少額、ということであれば、最もリスクの低い顧客層であり、所謂「プライム層」じゃないか。それが一番高い金利が適用される、って、オカシイだろ。「急な出費やつなぎ資金」の需要が最も強いゾーンなのであれば、最も「競争原理」が働きやすい部分だろが。そこになぜ強力な規制金利を適用するのよ。オカシイだろ。


短期・少額ということから金利負担額が審査や返済等の事務手数料にも達しない、ということであれば、金利としてではなく、別な手数料として明確に規定させるべき。例えば、「信用情報登録料」として100円徴収するとか。まるでレンタル屋さんの会費みたいだけど。ああ、こんなことを書くと、カモを騙すのに悪用されてしまうかもしれんな。悪徳業者は「保証料」とか「登録料」とか称して、おバカなカモから搾り取ってるらしいからね。でも、クレジットカード会社だって、会費徴収でうまい汁を吸ってることも多いでしょ。そういうようなもんでしょ。きちんと手数料を明示させておけばいいのではないですか?もしも競争力のある貸し手が現れれば、手数料無料(カード会社にも会費無料はあるぞ、セゾンカードとか。なので、会費のないカードが結構好きです。多分借入限度額の枠は最高額まで行ってると思う)の業者も登場するかもしれないし。需要が多いなら、手数料だけでも儲かるでしょ。


坂野教授が色々とペーパーを出してた「早稲田大学消費者金融サービス研究所」が、いつも引き合いに出してくる「英国の消費者金融事情」ではどうですか?
イギリスでは、導入金利は低いのが現実なのではないですか?
(参考記事:坂野教授に反論する

それがどうして、日本だと(上限より)高い金利が適用されるんだよ!市場構造が異なってるからですか?法制度が違うから?利用者の態度が違うから?日本とイギリスの消費者金融市場は、全く別物なのかもしれないですね。


貸す側にとっては、他から何社かつまんでいれば、段々とリスクはアップしていくから、2社目以降は貸出金利が上がるのが普通だろ(会社の調達金利とか営業費用によって違いはあるけれど、一般的にはという意味で)、借入残高が増えてるのですからね。後ろになっていけば行くほど(一社でもいいんですけど、それは稀ですから。借入残高が増加すればするほど)リスクは増大し、それに見合う金利を適用するとなれば上限金利を超えるかもしれず、その水準を超える人たちにはもうそれ以上「貸せない」ということになるんでしょ。資金需要があるのに貸せないというのは合理的でない、ということも有り得るけれど、無限大まで借りられるわけでないとすれば、どこかに限界点は存在しているはずですから。

なのに、1社目が一番高い金利で、それ以降は下がる、って有り得ないでしょ。これは宣伝力があり、資金規模の大きな、最初のアクセスに強みのある業者のみに、意図的に「利益」を与える方法ですよ。特定業界に利益供与することが狙いですか?


もう一度引用しますけど、『急な金利引き下げで貸金業者が融資を絞るのを防ぐため、数年間の経過措置として、特例金利を容認することにした。』ってなってますよね。融資が絞られる可能性があるのは、「プライム層」じゃなくて、「ハイリスク・グループ」とか「サブ・プライム層」でしょ。高い適用金利じゃないと貸せないような人たち、ってことですよ。短期・少額の顧客がどうして資金を絞られるわけ?クレジットカードのキャッシングとかでも、18%以下になってる所がある訳で、貸金業者が絞るならばそっちから調達すればいいんだよ(笑)。短期・少額であろうと、クレジットカードのキャッシング・ビジネスは行われているんですけど。


特例金利、絶対反対!!
断固阻止!!

昔の左翼運動みたい・・・笑



奴隷の木

2006年08月22日 18時00分10秒 | 社会全般
昔むかし、はるか遠い昔、ある島がありました。そこには「不思議な実のなる木」がありました。みんなはそれを食べて生きていました。「不思議な実」は「ドル」と呼ばれていました。どういうわけか毎日実がなる木で、家族ごとにその不思議な木を持っていました。裕福な家族は、その木を何本も持っていたり、たくさん実がなる木であったりしましたし、貧乏な家族は少ししか実のならないやせた木をわずかばかり持っているのでした。


この島に、ある家族がいました。とりあえず、「貧乏一家」と呼ぶことにしましょう。家族は3人で、お父さんとお母さんと娘が1人いました。貧乏一家の持ってる「ドル」のなる木は、あまりいい木ではなく、毎日10個の「ドル」がなる木でした。少なくとも1人3個のドルを食べれば生きていくことは可能でした。貧乏一家の木には毎日10個の実がなるので、余った1個はいくらか保存してありました。ドルは腐らないので、食べない時にはずっと保存しておくことが可能だったのです。でも、天候などの影響なのか、8個しかならない日もあるし、12個なる日もあるのでした。それに、時には「もっと食べてみたい」という誘惑に勝てずに、1人5個とか食べてしまう日もあったりするのです。なので、いつも保存してあるドルは僅かしかありませんでした。

この貧乏一家にとんでもない不幸が訪れました。ある日、悪いタヌキがやってきて、貧乏一家のドルをみんな食べてしまいました。お父さんは言いました。
「こりゃ、困ったことになったな。蓄えのドルを食べて過すしかないな」

その日はとりあえず保存してあった実をそれぞれ3個ずつ食べて、次の日にはいつも通りに再び実がなることを期待しました。しかし、悪いタヌキはまたやってきて、実を全部食べてしまっていたのでした。一家は保存してあった実を食べる事にしましたが、保存している実に限りがあるので、心細くなってきました。タヌキから実を守るために、3人が交代で番をすることにして、タヌキを何とか捕らえようと考えました。次の日、タヌキがやはりやってきたので、番をしていたお母さんがタヌキを棒で強く打ちつけました。タヌキはあまりの痛さに驚いて、一目散に逃げていってしまいました。それからは、タヌキはもう来なくなりました。これで一件落着かと思われたのですが、更なる不幸が待っていたのです。


ドルのなる木は、次の日から実が減っていきました。初めは5個、次の日には3個、そして、全く実がならない日が来たのです。これはどうしたことか、と不安に思い、隣のオヤジに聞いてみることにしました。

「ああ、こりゃタヌキに芽を食われちまって、実がつかなくなってるのさ。大体新芽の出てくるまでの10日から20日は、実がつかないな。それまで待つしかないよ」

こう言われて、貧乏一家は困ってしまいました。既に蓄えておいたドルはかなり食べてしまって、残りは僅かでした。あと3日と持たないでしょう。腹は空いてくるし、これから先、木にドルがつくのはずっと先です。一体全体どうしたものか・・・・と思っていたら、隣のオヤジが教えてくれました。
「長者のAさんに頼んでみたらどうだ?」

オヤジが言うには、きっと何とかしてくれるだろう、ということでした。貧乏一家は教えられたように、長者のAの所へ行きました。すると、Aは親切にも何とかしてあげましょう、と言ってくれたのです。貧乏一家は大喜びしました。

長者は言いました。
「そうですか、それは大変でしたね。わかりましたよ。困ってる時はお互いさまだからね、ドルの実がなる日が来るまでドルを貸してあげましょう。しかし、私の方としても、この先ドルの実がちゃんとおたくの木になって、貸した分が戻ってくるかどうか心配なんだ。だから、約束をして欲しいことがあるからね。まず、ドルの実を100個貸そう。これで10日以上食べられるだろう?で、おまえさんたちの木はだいたい毎日10個のドルの実がなるそうだから、10日で10個くらい余るはずだ。そこから、元の100個の分を2個ずつ返してもらおう。これを50回繰り返せば元の100個は返せるね?それから、10日ごとに余計に1個もらうことにするよ?そうじゃないとね、500日先まで貸したドルが戻ってくるのを待ってなきゃいけないし、心配なんだよ。どうだい?」

長者の申し出は、一家にとっては死活問題でしたので、勿論断る理由なんてありませんでした。貧乏一家の父は言いました。
「ありがとうございます。それでかまわんです。必ず、返しますから」
長者Aは続けて言いました。
「おまえさんたちを信じないわけじゃないんだが・・・万が一返せなくなるってことはないかい?そうかい、大丈夫ってんだね。じゃあ、もしも返せなくなったら、ドルの木をもらうか、娘が一生奴隷になるか、どちらかだからね?いいのかい?それで約束は守れるね?」
貧乏一家は言いました。
「誓って大丈夫です、絶対に約束を守りますから」
「じゃあ、10日毎に3個ずつ持ってくるんだよ。いいかね」とAが念を押して、貧乏一家に100個のドルを持たせてくれました。
一家は、足取り軽く家路につきました。これで何とか食べられる、と安心したのでした。


その後貧乏一家は「100個あるから大丈夫」と思って、1人3個ずつ毎日食べていきました。しかし、大きな箱の中に入れておいたドルの実が次第に減っていくのがハッキリと感じ取れました。一家はだんだん不安になってきました。「全部なくなる前に、実がならなかったらどうしよう?」と思うのは当然でした。1週間が過ぎた頃、母親が箱の中に残っている実の数を数えてみました。借りてきてから70個は既に食べてしまっていたし、実は父親が「すごく食べたい」ということで余計に食べていた時もありましたので、更に減っていたのです。でも、元々残っていた分も少しはあったので、45個残っていました。父親と相談して、これからは毎日順番に1人だけ2個にして節約することにしました。


最初は娘が2個食べ両親が3個ずつ、翌日は父が2個で他が3個、次の日は母が2個で・・・・という具合に食べていきました。長者Aへの返済の日の朝がやってきました。実の残りは、45個あったうち24個減って21個でした。ここから借りた100個の返済分2個と、お礼分1個を返せばよいのです。父親は長者Aの元に3個を返しに行きました。長者Aは、この調子で約束を守ってくれよ、と言っていました。父親はとりあえずホッとして帰ってきました。でも、残りは18個です。あと2日するとなくなってしまいます。それまでに実がなってくれればいいが・・・・と祈るような気持ちでした。とりあえず、残りの日は1人2個で我慢することにしました。

3日後の朝、実が付いていました。ようやく貧乏一家の木に実がつくようになったのです。ですが、以前のように10個もついていませんでした。まだタヌキに食べられてしまって、新しい芽が十分出てこなかったのでしょう。それでも、全く実がならないよりはいい、と思いました。残り6個だったドルの実は、朝5個ついていたので11個に増えました。ですが、以前のように1人3個食べるとすぐになくなってしまうかもしれないと思い、当面は1人2個にすることにしました。この日は3人で6個食べ、残りは5個になりました。翌朝見ると再び5個しか実がついてませんでした。10個のうち6個を食べてしまい残りは4個になりました。でも、次の日からは毎日6個実がつくようになり、5日後には7個実がつくようになってきました。


また返済の朝がきました。今朝は7個残っていて取れた実が7個ありましたので、全部で14個あるうち3個を返しに行きました。毎日6個で我慢していたのですが、3人とももう少し食べたくて仕方がありませんでした。でも、これを続けて行かねばならないのです。その後、ドルの実は8個とか10個なる日も出てきたので、少し余裕がある時は1人3個食べられるようになりました。


長者Aにドルの実を返して始めてから半年以上たった頃でした。この島に台風がやってきて、ドルの木も被害を受けてしまったのです。実がみんな落ちてしまって、芽も傷んでしまいました。その為、しばらくの間はドルの実の数が減ってしまうのは確実でした。貧乏一家のドルの木も勿論被害を受けていて、4個しかならなくなってしまいました。それまでの蓄えはほとんどなく、残りは5個しかありませんでした。貧乏一家は困ってしまって、長者Aに頼んでみることにしました。

「長者さん、すまないがまた貸してくれんじゃろか?」
「いいや、無理だな。これ以上は貸せないよ」
「でも、それじゃったら、ワシら食べれん」
「無理じゃ。ほかに当たってくれんか」
「わかりました・・・・」
「ああ、返せなかったら、判ってるな?約束」
「へえ・・・」

貧乏一家は途方にくれました。貸してもらえるあては、ありませんでした。
トボトボと歩いていると、向こうから男がやってきます。

「おまえさんたち、断られたのかい?」
「ええ、でも台風の被害で困ってしまって・・・」
「なら、いいことを教えよう。長者Bさんなら貸してくれるだろう」
「本当ですかい?」


男に教えられたように、貧乏一家は長者Bの元を訪れました。

「ドルの実を貸そう。だがな、この台風でみんな借りたがってるんだよ」
「そこを何とか・・・・」
「いいけどな、その分多くお礼をもらうぞ」
「へい、それは承知しております」
「それと、約束を破ると奴隷だからな」
「はい、それでもいいですので」
「よし、100個貸してやろう。その代わりお礼は7日で一個だ。いいか」
「わかりました」
「元の100個は7日毎に1個返せばいい。それを返し終わるまではお礼も続く」
「はい」
「じゃあ、7日後に2個持ってくるんだぞ」


こうして貧乏一家はどうにかドルの実を調達できたのです。台風被害の為に木になる実の個数が減ってしまって、4個しかならなかったのですが、1ヶ月もすると7個程度はなるようになっていました。それでも100個借りた分は、70日後には残りがかなり少なくなっていました。この間、平均で毎日ドルの実を7.8個食べていたのです(それでも1人3個よりは少なくしていた)が、実がなったのは平均で7個でしたのでその差分が56個あったことと、41個は返済に回さねばならなかったからでした。なので、残りは13個しかありませんでした。


それから7日後長者Bに2個を返して11個残っていたのですが、その日にまたタヌキがきて、ドルの実を食べられてしまったのです。再びドルの木に実がなるのは、日にちがかかります。もう返済はできそうにありませんでした。勿論、借りるあてもありません。貧乏一家は長者Aに頼みに行きました。

「もう少し待ってもらえませんか」
「約束を守れよ」
「判っています。次の時には必ず一緒に返しますから」
「本当だな?今度持ってこなかったら・・・・判ってるな」
「はい・・・」

しかし、もうダメでした。貧乏一家には返すことなど無理でした。毎日一家全員で1個だけ食べていましたが、残りは僅かです。長者Bにも待ってもらいましたが、次の長者Aに4個返すことなどできないのです。長者Aに懇願しました。何とか待ってもらえませんか、と。しかし、長者Aはダメだ、と言いました。

「おまえたちは、約束を何度も破ったのだ。もう待てない」
「しかし・・・・もう少しすれば実が・・・」
「黙れ。木をもらうか、娘をもらうかだ」
「そんな・・・ご勘弁を。必ず払いますから」
「ダメだな。木をもらおう」
「ワシら死んでしまいます。それだけは・・・」
「じゃあ、娘をもらおうか」
「・・・・・」

こうして娘は奴隷に取られることになりました。数日後にドルの木に実がなりましたが、また4個くらいしかなっていなくて、長者Bへの返済も苦しいありさまでした。それでも、長者Bに返済を続けねばならなかったのです。実を食べるのが父母の2人に減ったので、どうにか頑張れば返せそうですが。こうして、貧乏一家は家族の1人を失ったのでした・・・・



このような事態は貧乏になったのが原因なのであり、元々のように定常的に10個くらい実をつけていれば何の問題もなかったのです。長者は何も悪くないのです。貸してあげたんですから、善人かもしれません。


現代でも、これに近いことはあります。貸す側の年利で言えば、10日で1個だと36%くらい、7日で1個でも50%くらいですから、「上限金利(引下げor規制)反対派」の意見に従えば、「暴利でも何でもない」のですよ。奴隷もないですし、人身売買もないでしょうから、物語のようにはならないですけどね。


でも、自殺とかはありますので、自殺者が当然出ることを見越して貸金業者が生命保険を掛けてあるから、「債務者の命」と引き換えに「回収」しているので、似たようなもんですかね(一生涯奴隷も死んだのと同じようなものではないかと)。貸金業者にとっては合理的な行動と言えるでしょう。だって、貸金業者が「殺してる」わけじゃないんだし(笑)。合法だよ、合法。知らんヤツが悪いのさ。完全焦げ付きよりも、借り手の命で払ってもらった方がいいわな、そりゃ。「保険掛金+回収不能債権」の大きさと、「受け取る生命保険」の比較だもんね。多少は死んでもらった方がいい、ってことなんでしょうな(ところで、そういう保険会社の商品って、他の一般加入者とかと混ざってたりするの?混ざってないとしても、他の借り手も含めてその経費を負担しているんだろう。住宅ローンの団信みたいなのにも似てるけど、意味合いは別だ)。

縦並び社会:広がる多重債務 最後の頼りが消費者金融、出口は見えず--長崎・対馬-話題:MSN毎日インタラクティブ


命を張るくらいなら、自己破産した方がいいのよ。でも、破産というのが、死と同じくらい過酷なものであると考える人たちが少なくないということでしょうか。田舎とかだと暮らし難いのかな・・・。「少数が死ぬのは仕方ない」であり、「死ぬのは弱い個人だから」ということを肯定している人たちもいるかもしれません。「それは制度のせいではない」「金利が高いせいじゃない」ってことでしょうけど。


ところで「上限金利のような事前規制はよくない」という人たちは、事後的に何を規制しようと言うんでしょうかね。価格競争なんだから上限金利規制はいらない、完全自由化でよい、というのに、事後的に何を違法とするのか、ちょっとよく判らんね。詐欺行為なら詐欺だし。取立行為規制は既にあるから関係ないしね。個人の貸出総量の規制も同じく事前規制だと思うけど。自由化による競争促進なら、貸金業者を今の許認可制でなく完全自由にするべきなんでは?これも事前規制なんでしょ?参入障壁だと思うけど。それより、誰でも自由にいくらでも貸せるようにした方がいいんじゃないの?業者・業界ごとの信用情報の偏りも、新規参入障壁でしょ?