いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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米国の思惑

2005年07月15日 19時59分00秒 | 外交問題
国連安保理改革案に対して、「反対投票をするように」呼びかけまでおこなった米国。その姿には、余裕が消えつつあるということが伺えるように思う。日本に対して、表現の難しい態度をとりつつある、米国。今後、6カ国協議を控え、東アジア情勢も関係するので、日本の進むことのできる方向性について考えてみたいと思う。


米国の立場で考えてみよう。米国は今までにも例えに使ったように(『沈黙の艦隊』日韓首脳会談)、生徒会長であり、腕っ節の最も強い番長でもある。この評価は変わっていない。だが、誰でも言うことを聞くのか、というとそうでもない。普通に考えて(現実世界でも)、番長が嫌いなクラスメートなんて、いるに決まってる。あからさまに反抗したりすると、ヤキを入れられるとか、イジメられるから、あんまり態度に出さないだけだ。恨みを抱いている連中も相当いる。競争相手も他にいるし。ということは、米国にも当然穴がある。


強く影響力を行使できるのは、軍事力や主要産業が米国頼みという国でしょうかね。だが、米国は普通に改革案の「反対」を募るのでは、「足りない」と読んだとしか思えない。裏の筋で、自分の影響力行使可能な国がかなりあれば、日本やドイツを目の前にして、あんな発言をしないはずだからである。本来ならば、表面上は「悪いとも言えないね」などと誤魔化しながら(今までのブッシュの態度だな)、裏で米大使などがあちこちの国で「おたくはまさか賛成したりせんだろうな。当然反対しろよ」とか、番長の脅しが入るのが普通だろう。なのに、わざわざ自ら手の内を全てオープンにしたということだ。番長が、「はっきり反対」かつ子分どもやその他大勢のクラスメートにも反対せよ、って宣言したようなもんです。これは結構切羽詰った状況じゃないと、使わない手だと思う。自分の損だもんね。番長がそんな態度なら、普通は変だな、って感じるでしょ。でもこの際、なりふり構っていられない、ってことなんだろうね。


ということは、逆にG4案もそれなりの効力があるということだと思う。米国の力の及ぶ範囲は、全体の3分の1にも全然及ばない、って勘定したんだろう。中露の影響力もそれ程多い訳じゃない。日独(+仏ですね)の大きな影響力に加えて、印・伯両国にだって「仲良し」「お友達」は当然いるしね。イタリア・韓国・アルゼンチン・パキスタンなどはG4のライバルと自認している国々だから、当然反対するし、その影響力も少しあるね。こういう情勢を読んだ上で、番長は、敢えて宣言した。番長にすぐ追随するのは、カナダ君とかだろう(というか、前から番長の代わりに反対表明していた)けど。


あと、中露が「イヤだ」とか「嫌い」「ズルイ」と考えているクラスメートも結構いると思うよ。番長が何て宣言しようが関係なく、この2カ国の影響力を薄めたいと願っているクラスメートはいるはずだ。そういう国々は、G4に賛成する可能性がある。そして、問題のAUだが、これはよく判らない。普通の考えで言えば、賛成・反対両陣営の何れに付くかで勝敗は決すると考えられるので、自分たちが決定権限を持つと考えてもいいはず。その時に、取引材料としては「自分たちの案を通してくれるなら、G4案に反対する」という戦略をとり得るのである。この場合、反対派たちはAUの案を呑まねばならないが、中国は日本の常任理入りさえ封じれば何だっていい、と言うかもしれないな。番長は反対するだろうね、多分。わざわざAU案を通して日独の不興を買うより、G4案に賛成の立場をとった方がいいと考えるだろう。


まあ、アフリカ勢の態度で大勢が決することは間違いないと言えますね。本気でバカの場合、独自案が通せると思ってG4とも協力せず、AU案と割れてしまって共倒れ、ということで、その場合、番長とか中露くんたちは大喜びとなる。反G4グループがAUと組んで、案をまとめるだけの結束が果たしてあるのか、それは微妙だな(まず無理だろうね)。番長は必ず反対に回るだろうから、その他の反G4グループにしたって大国がそろって(露英仏は絶対反対だろう、きっと。中はよく判らん。「日本憎し」さえ達成できればどこでもいいのかもしれんが、多分反対だと思うけどね・・・)反対に回るということを考えるだろうから、AUがそっちに乗るとも思えんのですよ。


番長が手の内を見せたことで、日本は態度を決めやすくなりました。日本の取る戦術は、AU案を取り込んで、大国の拒否権発動を抑制することでしょう。後は、独仏君がどれ位頑張れるか、ですね。中国は独、露は印の支持表明でしたので、G4をあまり冷たくあしらうのも「約束破り」ですから、意外に大国の拒否権も発動しにくい、という側面はあるでしょう。



話変わって六カ国協議ですが、再開には日本が全力で頑張らずとも他国の努力で北朝鮮が応じたのなら、日本は待っていただけ得したと言える。特に「譲歩」というカードを使わなくて済んだのだから。他のプレーヤーに手を打たせるというのは、ある意味高等戦術で、自分が積極的に動く必要が常にあるとも言えない。ライス長官は「拉致問題が解決されるべき問題であるということについて、疑問に思うことはない」というような発言をしていたようであるが、これは「日本が自分で解決してクレヨン」という意思表示であろう。米国サイドとしては、積極的に手助けしたりはしないでしょう、という意味だと思う。


なので、日本は北朝鮮に対して圧力をかける必要があるが、その時の材料が何か、又は、拉致被害者を帰してもらうことの交換条件は何か、が問題である。日本が単独で経済制裁を発動したとしても、実効性は乏しいかもしれないが、そういう手を何かを考えてもいいかもしれない。六カ国協議のテーブルがある限り日本が特別譲歩する必要はないと思う。六カ国協議が再開された後で、日本が「拉致問題を解決せよ」という要求を突きつけたとして、北朝鮮がテーブルから降りるだろうか、という点で、これについては否だろう、と思うのである。なので、ある程度厳しい対応も可能だ、ということだ。ただ、どうしても拉致被害者を帰して欲しい(例えばめぐみさんだけでも)ということであるなら、交換条件が必要になる場合もあるかもしれない。全員が帰ってくることに期待しても、甚だ困難だろうと思う。


日本としては六カ国協議という場は重要であるが、米韓中露あたりから見れば、日本が入っていてもいなくても関係なく「朝鮮半島の核」という問題は強い関心が有る訳で、仮に日本が「ちゃぶ台返し」をして、席を蹴ったとしても、残りの国々で交渉は続けられるだろうと思う。つまり日本がゴネようが靡こうが無関係に、北朝鮮は交渉を進めるであろう、ということで、日本が怒ってもよいのではないのかな、と。


万が一、日本が厳しい措置を選択し、それに北朝鮮が反発して「日本がイジメるから、やーめた」という風に、六カ国協議から降りたら、
①日本に対して、その他の国々が「厳しい措置は止めてくれ」と頼む、又は非難する
②北朝鮮が米中韓あたりの約束を反古にした、ということで責められる

①の場合には、日本を非難するなら、「拉致問題で悪いのはどっちだ?君たちが北を説得しろ」と言う
②の場合には、北が責められるだけで、日本には悪影響が少ない
というような感じでしょうか。「厳しい措置を解いてくれ」と頼まれれば、「それなら拉致問題を議題にしろ」と言える。恐らく、この可能性は少ないでしょうけど。


日本にとっては、北朝鮮が他の国々と交渉をうまくやったとしても拉致被害者は帰ってこないことに変わりがないので、いっそ、他の国々が交渉に行き詰まる方が都合がよい。北朝鮮は核開発を続ける限り、米中にビクビクしなけりゃならないから、交渉が決裂した方が困るのは北ということになる。日本は、核開発の交渉が決裂してもうまくいっても同じ。北が態度を変えない限り日朝間の進展はないし、拉致問題解決には繋がらないのだから。


というわけで、日本にとってはリスクとなるが、安保理問題の行方が決まったら、北朝鮮への厳しい措置の発動を考える方がいいのでは。米国が困るというのなら、交渉材料になりますね。



民主党の勘違いとポスト小泉戦線

2005年07月15日 16時39分50秒 | 政治って?
民主党は、今頃何を寝惚けたことを言っているのか。自覚が足りないのだろうな、やっぱり。ロボ岡田くんにしても、「内憂外患」という状況では苦しすぎるのだろうな。小鳩(小沢・鳩山)グループの策動もあるし、民主党と自公連立政権との争いもあるしな。

asahi.com: 「民主に失望」で内閣支持率維持? 民主党ネット調査 - 政治


次期首相への期待、という点でも、民主党からは有力な候補者が挙がっていないことは明らかだ。
全く何を考えているんだか。前にも書いたが、政権交代を目論むならば、「甲子園初出場、初優勝」くらいの勢いがなければ無理だな。挙党一致、強力なリーダーシップを発揮しないことには不可能で、現在のような体たらくではダメだろう。政権準備のまま過ぎていくしかないだろう。本気で何か「仕事」をしないと、国民からの評価は得られないぞ。今の状況を憂慮した若手グループが、都議会選挙に連動して「現執行部降ろし」の”クーデター”を目論んだらしいが、それも不発に終わった。このままの不協和音が大きい状況では、政権奪取は夢のまた夢ですよ。


郵政民営化を決めることが出来れば、旧式の政治スタイル・統治というものを変えることが出来るかもしれないのだ。今のままの民主党が政権を獲って、それが果たして実行できるのか?政治家だけでも変えられない。内閣も、幹部クラスの官僚達も、財界も、学界も、共に何かを「実現していこう」「将来こうしていこう」という絵が描けないと、多くの賛同者が得られない。国民にとってもそうだ。そういう政治・行政を実現できる可能性が高くなるならば、民主党にも目があるかもしれないけど。どうもそれが見えない。期待が膨らまない。そんな感じだな。


民主党の政権奪取よりも、現在の体制(自公連立)が続く事が前提のような感じで、「ポスト小泉」に関心が集まっており、取りざたされる人物も数人登場しつつある。

asahi.com: 「ポスト小泉」 安倍、谷垣、平沼氏が意欲 - 政治


平沼議員は有り得ない、と思うけど。経済界からも名前が挙がってこなかったし。路線としては、何処からも全然期待されてない。亀ちゃんも。今の小泉路線継承者じゃないと、無理だろ、そりゃ。郵政法案阻止して、真正自民で出発しても(笑)、公明の支援は受けられないって。反小泉路線だけでは、自民党内を束ねられないだろう。


既に何度か登場したけど、「谷垣くん」は公明が支持する模様。安倍ちゃんは過激発言も多いので、公明からはやや避けられている(多分外務・防衛関係については、強硬路線となることを心配している)のだろう。なので、無難な路線ならば谷垣くんということでしょう。安倍ちゃんは一部に政策音痴、特に財務音痴と思われているのかもしれない。実力の程はわからんけど。麻生親分は、名前が挙がってないな(笑)。

やっぱり現状では、期待値込みで、安倍ちゃん一歩リード(大衆受けってことだね)、次に谷垣くん、穴で福田、あとはその他大勢ってとこかな。