カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

たつぷりと(メモ)

2008-02-23 21:12:05 | Weblog
 今日は、しごとが終わったあと、春一番の吹くなかを池袋の古書往来座に出掛けました。岩波新書二冊、小林恭二著『短歌パラダイス』と、間宮芳生著『現代音楽の冒険』を購入。間宮さんの本は、「日本的」音楽とはなにか? へのヒントになりそうな話題がいっぱいの面白い一冊。小林さんのは、ざ・べすと・おぶ・短歌入門書と私が考える一冊。なぜこれらの名著がどちらも品切絶版のままなのか、かねてよりずっと疑問に思ってきました。。是非とも復刊のご検討をして頂きたいものです。。
 さて、小林さんの『短歌パラダイス』の巻末には、巻中の歌合参加者の方々の自選五首が掲載されています。河野裕子先生の自選五首には、なるほどやはり、といううたばかりが並んでいます。

逆立ちしておまへがおれを眺めてた たつた一度きりのあの夏のこと  河野裕子

たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか  河野裕子

たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言へり  河野裕子

しらかみに大き楕円を描きし子は楕円に入りてひとり遊びす  河野裕子

てのひらに載るほど遠景の夫(つま)子らを紅梅の木ごと掬はむとせり  河野裕子

 私は、河野先生の三首目の「たつぷりと」のうたが非常に好きです。じつはこのうたは、私が短歌を始めたいと思ったきっかけになった一首です。短歌関係書のいろんなところでお目にかかりますが、いつ見ても素晴らしい一首と思います。いつか乗り越えてみたい一首です。
コメント
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