カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

卵と菠薐草(ほうれんそう)

2008-02-15 18:18:45 | Weblog
 先頃の川上未映子さんの芥川賞受賞小説のタイトルは『乳と卵』であったのですけれども、今日の話題は「卵と菠薐草(ほうれんそう)」。

 河野美砂子さんの歌集『無言歌』(砂子屋書房)118ページから。

詞書:ショパンはどんな声で話したのだろう

やはらかい卵とすこしの菠薐草(はうれんさう)、所望し春のその含みごゑ  河野美砂子

 ショパンの声が聞こえてくるような不思議な一首で、惹かれます。
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河野美砂子さんの歌集『無言歌』より

2008-02-15 15:02:58 | Weblog
 ピアニスト・歌人の河野美砂子さんの歌集『無言歌』(砂子屋書房)より引かせて頂きます。

階下よりいもうとの声生き生きと泣いてをりたり苺おとして  河野美砂子

 ***

 「生き生きと泣いてをりたり」の表現から、「いもうと」はまだ幼いのだなということが充分に読み手に伝わってきます。この「生き生きと」ですが、よく利いていると思います。また、結句の「苺おとして」は、漢字の「苺」の後にひらがな四文字が付いてくる表現を選ばれたことで、一首全体への引き締め効果が発揮されているとともに、その内容の「苺おとし」事件のあまりの可愛らしさに読み手は思わず笑ってしまいます。

 惹かれる一首です。
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