カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

短歌連作メモから

2008-02-06 09:21:08 | Weblog
 最近の短歌連作メモから、です。

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訳経の僧ら机に微睡(まどろ)めば月光(つきかげ)は西塔の脚もと照らす

親方の椅子から白き煙立つ アスフィータとふ犬のゐる家

姫さまの鏡は手掛かり アスフィータ王女(ひめ)様を追ふ爺や七十歳(しちじゅう)

なぜかしら 爺や一体(いったい)何故かしら 王女(ひめ)様の呟きを鏡はうつして

こんなにも月夜は明るい プジョー製自転車を漕ぐ黒き猫たち

アジトにはすでに一人の影もなし 秋原警部はゆくりとガム嚙む

王宮の前で火曜に店開く花屋の主人の小指のサファイア

アスフィータ王女(ひめ)様の鞄が口開く 子守りに疲れし少女の部屋で

母さまはどんなお顔そして声 少女の夢に月光(ひかり)は差し込む
コメント
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