04月03日 17時30分 兵庫NHKNEWSWEB
運転手不足や利用者の減少で、路線バスの廃止や減便が相次ぐなか、利用客の行き先に応じて最適なルートを走行する予約制の乗合交通の運行が、今月(4月)から朝来市で始まりました。
朝来市では2つのバス会社が路線バスを運行していますが、運転手不足や利用者の減少を理由に、4月1日から減便や廃止をしていて、公共交通の維持が課題となっています。
こうしたなか市では新たに「デマンド型乗合交通」を運行することにし、1日、JR生野駅前で市の担当者や運転を担当する地元のタクシー会社の代表らが出発式を行いました。
この「デマンド型乗合交通」は、決まった時刻表や運行ルートはなく、利用者の予約状況や目的地に応じてAIが最適なルートを指示し、運転手はそれに従って運転します。
乗降場所は▼あらかじめ決められた82か所か▼自宅から選ぶことができ、利用者はインターネットか電話で▼乗車する場所や時間▼目的地を予約すると、車両の到着時刻が案内されるということです。
自宅からJR生野駅まで利用した80代の女性は「今までは路線バスで駅まで来ていましたが、廃止になったので利用しました。予約も電話ででき、自宅まで来てもらえ便利だったので、これからも利用したいです」と話していました。
朝来市都市政策課の足立智義 副課長は「従来の定時定路線ではなく、予約して乗車することで、利用者は柔軟に移動することができるようになります。まずは利用してもらい、市や住民、交通事業者らと一緒に公共交通機関の維持について考えていきたい」と話していました。
朝来市では、▼ことし10月から朝来エリア▼来年(2025年)4月から和田山・山東エリアでも「デマンド型乗合交通」を導入する予定で、1年かけて、市内全域のコミュニティーバスを廃止することにしています。
【観光地は】
新たな乗合交通の導入に、地域の観光地も期待を寄せています。
朝来市生野町の山あいにある史跡・生野銀山は、日本の近代化を支えた銀山で、鉱山や歴史ファンをはじめ、最近では、採掘跡が残る坑道など独特の景観を楽しもうと、若い世代や外国人観光客が訪れ、市内を代表する観光地としても知られています。
これまではJR生野駅などと結ぶ路線バスが、平日は近くの集落の入り口まで、土日や祝日は施設の駐車場まで運行していましたが、今月(4月)から廃止されました。
駅からは徒歩で1時間ほどかかるため、アクセスが課題となりますが、銀山を管理する会社は、乗合交通は従来より時間が柔軟になることから、観光客の増加につなげたいとしています。
ただ、この乗合交通は、観光客向けには十分に周知がされているとは言えず、今後、観光客向けの発信が必要だとしています。
管理するシルバー生野の高山孝一社長は「路線バスを頼りにしていたのも事実なので、来たくても来られない人がないよう、乗合交通の仕組みなども説明し宣伝していきたい」と話していました。