2023/01/13 05:00 読売新聞オンライン
文化財の修理作業を見学する参加者たち
奈良博 特別公開に60人
奈良市の奈良国立博物館で12日、普段は非公開の文化財保存修理所の特別公開が行われ、事前に申し込んだ約60人が、仏像や絵画を修理する様子を見学した。
修理所は2002年に設置。彫刻、絵画・書跡、漆工品を修理する三つの工房が入り、全国の寺社や博物館などから寄託された文化財の修理を行っている。修理作業は非公開だが、年に1日だけ応募者を対象に公開している。
見学に先だって、同館の研究員らが文化財修理の事例や意義について解説。山口隆介・主任研究員は修理所を「人間でいう手術室にあたる」と話し、「先人たちが修理して文化財を残してきたように、私たちも修理の意義や技術を継承していかなければ文化財も残らない」と説明した。
その後、参加者は修理所に移動し、技術者が仏像に 剥落はくらく 止めを施したり、古文書や絵画を補修したりする様子をガラス越しに見学した。
参加した奈良市の会社員、小川康夫さん(74)は「 緻密ちみつ な作業で驚いた。文化財を後世に残していくことの大変さが理解できた」と話していた。