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モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

眼差しの先

2025-05-16 21:46:02 | 大人 水彩


室橋 左 透明水彩 / 右 油彩

 

大竹です。明るい時間が随分と長くなってきましたね。何をするにも寒すぎず暑すぎず、丁度良い季節です。
さて、今回ご紹介させて頂くのは、室橋さんによる水彩画と油彩画です。

左の作品は、透明水彩で描かれた古い町並みの風景画です。これまでにも多くの水彩画を制作されている室橋さんらしく、丁寧な筆づかいと繊細な色使いが光る一枚。木造建築の味わい深い質感や、遠くの山並みへと続く空気感の描写が見事で、静かな時間の流れを感じさせてくれます。雨上がりなのでしょうか、濡れた地面が湿気を帯びた空気の匂いまでも作っているようです。吊るされた2つの茶色いボールは杉玉といって、新酒が出来た合図として毎年青い球状の杉が吊るされ、茶色く枯れていく事で酒の熟成具合を知らせていたそうです。なので、酒屋さんが並んでいる事が分かりますね。そうした絵を読み解く要素も面白い1枚です。

右の油彩画のモデルはお孫さん。ルービックキューブを触る指先や表情はしっかりと観察し、子どもらしい赤みを帯びた色で描かれています。特に指は第二の表情とも言えるほど、感情や情緒を表現する事が出来、こちらの作品でも気を使われて描かれているのでしょう。
青い背景は知的なイメージをもたらし、赤い肌やキューブを引き立てています。グレーの服は有彩色を入り交ぜて無機質になりすぎないよう工夫されていますね。油絵ならではの重厚な色合いと質感が、人物の存在感をより一層浮かび上がらせています。作者の愛孫に対する慈愛の眼差しを通じ、我々鑑賞者もその可愛らしい姿を見る事が出来るのでしょう。

技法もテーマも異なる2作品ですが、どちらも室橋さんの誠実なまなざしと、積み重ねてこられた制作の歩みが感じられますね。室橋さんは透明水彩をしばらく描いた後、画材を油彩に変更し『孫シリーズ』を描き始めました。(ちなみに現在は二人目の孫の油彩を一旦お休みし【日本画】にチャレンジしています!)次の作品も楽しみにしております!


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