
『悲しきかなや身は籠鳥
心を知れば盲亀の浮木』
庄司です。月曜の金環日食は近くの河原に出て観測しました!天体ショーは大好きです。曇りで雨もぱらついていましたから駄目元でしたけど、雲の切れ間からちらちらと見えました。蝕が終わって少ししたら雲も減って晴れたので、これがもう少し早かったら~なんて言いつつも大興奮で楽しみました。
今日ご紹介するのは水曜午前大人クラス、加藤さんの鉛筆デッサンです。
モチーフには、能の演目から『鵺』を選ばれました。
鵺というと頭は猿で体が狸、手足は虎で尾が蛇の妖怪。ちょうど小学生クラスで完成したキメラ動物を思い出しますね。こちらは大人の迫力満点です。
この演目の中では怨念として取り残され悲嘆し、救いを求めながら闇に消えてゆく亡霊です。以前日本画で描かれた山姥も、最後は余韻を残して消え去って行く役所なのですね。
加藤さんのモチーフ選び、毎回なるほど!と唸らされてしまいます。作者と同じ、譲らない芯のある絵です。
塗りつぶした背景に浮かび上がる髪、消しゴムで丁寧に取っていって、部分部分ふちを鉛筆で際立たせることで、柔らかさとメリハリを画面に与えています。
衣装の描写も鵺の表情を引き立たせるため控えめにしているので、強調されて迫力がぐんとアップしています。
能面の表情も凸凹をしっかり描いて凄みが伝わってきますね。
加藤さんはストイックな求道者。描かれている姿はパワーで満ち満ちていて、やはりとても強い情熱を感じます。その拘り、更に追求されていくところ楽しみでなりません!