モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

自然と直線

2023-01-17 21:05:59 | 学生


あかり 中2 『カナダ議会』 透明水彩

この時期は加湿器に頭が上がりません、ホノカです。
今回は学生クラスからあかりの水彩画のご紹介です。「カナダ議会」と硬い題名が付けられたこの作品ですが、自然の広がる中に暖かみのある色で描かれた建物。それらを水彩らしいふんわりとした雰囲気でまとめてあり、彼女の描きたいイメージが伝わります。

こちらの作品のポイントは着彩にもありますが、まずは下描きの部分ではないでしょうか。ここでは議会の建物以外は空や森、川などの自然物で構成されています。自然物はこの世に同じものが2つと無いため、雲の形が写真と異なっていても、木々の生え方が違っていても、特別違和感があるということは少ないでしょう。ですが人工の建造物となるとそうはいきません。建物というだけで地面には垂直に接していて、左右は概ね対称という常識があり、パースの違和感も目に付きやすくなってしまうため、今回の作品でも下描きの際にかなり調整を行ってから塗り始めていましたね。時間はかかりましたが、この作品の肝になる部分です。よく描ききりました!

また、透明水彩の特性上どうしても色を重ねすぎてしまうと、色が濁ってしまったり、混ざりすぎたりしてしまうため、その部分も難しそうにしていた点かなと思います。特に手前に広がる森は、濃い葉の色を大胆に入れていかなくてはならず、自然物といえど場所や大きさを考えて描き進めなければなりません。さらに森ということで全体が似た色でぼんやりしてしまうという懸念もありましたが、意識的に緑以外の葉を取り入れたり、暗い色を木の塊ごとに影として足してあげたことで木の形が浮かび上がりました。建物は水っぽくぼやぼやしてしまっていた所を濃い色で締めてあげたことで、直線がはっきりとして自然のものとの差異がしっかりと生まれています。
建物自体も正面から写した構図+光がほぼ正面から当たっているという状況で、なかなか難しい作品だったと思いますが、下描きで建物をしっかり仕上げた部分、そして参考の写真をそのままに塗るのではなく工夫して彩度を上げたり、色を変えたりとしたことで、自然と建物の調和した景色が描かれています。全体を慎重かつ丁寧に進めていく彼女の姿勢は私には無いものなので見習いたい所ですね...

これまでも結構時間をかけて作品を完成させることが多かったので、息抜き的に小さい作品を短い時間で完成させるのも面白いかも?色々なことに挑戦してみてくださいね!

コメント
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