男性には前立腺というものがあって高齢になるとこれが肥大して尿が出にくくなる患者さんが数多い。この排尿困難には薬、手術、膀胱バルーンカテーテル留置の三つの治療法がある。後期高齢者で脳や身体の動きが悪くなり始めた患者さんでは薬の効きも限られ合併症などで手術も難しくなり、膀胱にバルーンカテを留置せざるを得ないことが出てくる。現在当院では四名ほどこうした患者さんの定期交換処置をしている。訪問看護師が交換している患者さんや医師が往診で交換している患者さんも同数程度居る。この処置そのものはさほど大変ではないが、尿を溜める袋をぶら下げることになるため患者さんによっては動きが制限されて活動度が低下する(足に付けて動きやすくした袋もある)。そうしたわけで内科医は膀胱バルーンカテ留置には結構逡巡するのだが、泌尿器科医は問答無用というか即決で入れてしまう。あれこれ患者の訴えとのやりとりなどなく、外科医とはそういうものかと思う。内科医は確かにそれしかないかと分かっても、膀胱バルーンカテ留置のために行動が制限されて早く寝たきりになる患者さんを何名も診てきたので、即断即決には多少違和感を感じる。残念ながら、迷ったところで他に良い方法はないのだが。
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