駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

よくある構図

2022年03月22日 | 世の中
          

 年を取ると眠れないと言う人が増える。女性に多い。不眠だけが訴えの患者さんは精神科に紹介しているが、殆どの患者さんは高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病などの慢性疾患で通院中の患者さんなので当院で対応している。
 睡眠薬の使用法については医学雑誌に慎重適正使用が書かれており、睡眠薬の選び方や減らし方の勉強会にも出席して、患者さんの抵抗に会いながら随分と使用を減らし薬の選択も変えてきた。
 しかし医師(主に開業医)の中にはまだまだ患者さんの言われるままに?睡眠薬を処方している医師が結構居る。それは転院のあるいは休業された医院から回ってくる患者さんの中にベンゾジアゼピン系の睡眠薬を一種類どころか二種類も飲んでいる患者さんが居ることから分かる。八十代で二種類、しかもこの量は多すぎますと言うとこれだけ飲まないと眠れないと強く抵抗され簡単には減らせない、依存が生じているのだ。物忘れや転倒といった副作用は年齢的な老化と区別がしにくいし患者の希望に沿うのは継続通院に繋がるから、注意指導は難しかったのだろうと推測する。
 ちょっと違うけれども、グループホームなどでも眠りの浅い入居者に強い睡眠薬が職員から要求されることがある。手数の足りない夜間は面倒を見るのが大変だからだ。
 筋の通ったことがしばしば実行が難しいという理由で退けられ、取り敢えずやりやすい妥協が通ってしまう。
 遠い昔、小学校でそうは教えられなかったので,いい年をしてなんだか違うのではと感じる。
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