駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

メディアリテラシー

2021年04月23日 | 世の中
           

 六十年前まで血圧は年齢足す90と言われていた。四半世紀ほど前、高血圧学会で診察室血圧140/90以下と指針が出た頃、患者さんに血圧が140/90で高いと指摘すると、俺を私を病気にしないでという反応が結構あった。それが今では患者さんの方から130でも高いんじゃないですかと聞かれるようになった。あれほど苦労して140以下次いで135以下にと指導してきたのが、今や130以下でしょと患者さんの方から言われる。なぜか、それはメディア情報の影響なのだ。テレビやネットで言われていること活字になっていることは正しいと思う人が多い。確かに130以下は理想的だが、なぜテレビ活字でそれが出てくるかというと、130過ぎて高めの人は**を飲みなさいと続く。嘘ではないが正確ではない情報が活字や映像で流されるとああそうかと思ってしまう人が多いのだ。
 菅首相訪米で、バイデン大統領が東京オリンピックを応援したりファイザー社のブーラ氏が9月までにワクチン一億人分を送る約束をしたように報道するメディアが多かったが、実は菅首相の開催しようとする努力を評価応援しただけだし、ファイザー社は一億人分の追加ワクチンを供給する協議を継続すると表明しただけで、九月までにという契約が成立したわけではないようだ。国会で九月までにの契約を追求されると首相は詳細は明らかにできないと逃げてしまう。
 メディア情報の印象で国民は早合点?してしまう。
 なぜ九月なのか不明だが、よし九月までにワクチンが届いたとしても,現状の接種速度では全員打ち終わるのに十年掛かる計算になる。果たして現在の二十倍のスピードで打てるだろうか、実際の接種は地方自治体の担当だからでは済まない。やってる感の演出はもう結構ですと申し上げたい。
 遠い昔、難しい病気が見つかった三十台の患者さんに「よくなると思います」と説明したら「思うですって」と顔色が変わられ冷や汗が出たことを思い出す。日本は東アジアでは新型コロナ対策で後塵を浴びている。身を守るにはメディアリテラシーが必須だ。情報収集分析が大変なら半年前一年前のことを思い出すだけでも現状理解が進む。
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