駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ダンクバールのこと

2015年08月27日 | 診療

                    

 台風の影響がどのようにあったのか知らないが、今朝も涼しかった。日差しがないせいもあるだろう。私の感覚ではもう九月だ。場所によっては今週から学校が始まっている地域もあるようだ。この陽気ならよく学びよく遊べるだろう。

 ダンクバールが果たして通用するドイツ語なのかどうか、多和田葉子さんに聞いてみたいところだが、古手の医師の間では患者に感謝されると言う意味で使われている。

 医者も人間、しかもいつも上手くゆくとは限らない仕事なので、診療行為が感謝されると嬉しいものだ。そうした病態の一つに尿閉というのがある。診断も難しくなく治療手技もやさしいのだが、患者さんの苦しみは相当なもので、中には七転八倒の苦しみと言われる方も居る。おしっこが尿道から出なくなり膀胱に溜まって、膀胱が破裂しそうに膨らんでしまう。風船が膨らんで破裂しそうになっているのと同じで状態なのだ。殆どが尿道が長く前立腺肥大のある男性に起こる。臨月とまでは行かないが、触診で下腹部が腫れているのがわかる。導尿の用意をしてと言えば、直ぐ看護師が一式用意してくれる。径数ミリのネラトンカテをペニスの先から二十センチばかり入れてやると尿がちょろちょろと出てくる。700mlから1000mlくらい溜まっていることが多い。混んでいる時は看護師に頼むこともある。嫌がらず、喜んでやってくれる。

 というのは辛そうな患者さんがみるみるほぐれて行くのが分かるからだ。「ああ、楽になった」。の一言を聞くのは嬉しい。看護師も医者に負けず、患者が良くなるのを目の当たりにするのが好きなのだ。

コメント (2)
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