将棋電王戦第三局で船江五段がツツカナ(開発者一丸貴則氏)に敗れ、佐藤慎一四段(対ボナンザ)に次いで二人目の対コンピュータ戦敗者となった。これでコンピュータの2勝1敗となる。
いつかは来る日だが、人間名人がコンピュータに負ける日も遠くなさそうで、複雑な気持ちだ。どうもコンピュータ(ソフト)は終盤が非常に強いらしい。気落ちせずあきらめを知らない上に、読みがものを言う終盤はコンピュータの独壇場のようだ。
勿論、ソフトを開発したのは人間なので負けても少しは救いを感ずるのだが、いつかコンピュータが開発したソフトが登場してくると、SFの世界が現実になってくる可能性がある。前期高齢者の私には受け入れ難い世界だ。しかし、現実の進行は留まることを知らず、医学の世界でも進歩はソフトと機械に負うところが極めて大きくなっている。
四十数年前に医師免許を得、日々研鑽してきたが、実は一度も生まれ変わってはおらず、脳神経細胞はバージョンアップもしていないし、数も減ってきている。悔しく辛いけれども、医学の進歩に追いつけなくなっていると告白せねばならない。
人間がめざましい脳力の進化を達成するには何十世代もかかるだろうから、科学進歩と人間能力との乖離は大きくなって行くばかりだ。自分はその頃にはもう居ないのだけれども、二十一世紀も半ばを過ぎれば、「ではコンピュータに聞いてみましょう」の世界になっているかもしれないなあ。