goo blog サービス終了のお知らせ 

駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

逆算の陥穽

2012年07月23日 | 町医者診言

    

 大津の事件ではいじめを喧嘩だと教師の会議で判断し、放置していたと報道されている。これは明確に意識していなかったとしても、逆算から結論を導いていたのではないかと推測する。つまり、目先のトラブルを避けることに主眼を置いてそこから逆算して物事を処理していこうとする姿勢があったと思う。

 いじめと判断すれば介入しなければならず、手間が掛かり面倒厄介が予想される。喧嘩と判断すれば、介入しないで見守りが許されるので、そう判断する方に傾いたと推定する。こうした思考法が今の日本には蔓延している。

 自分の専門領域から例を挙げれば、(同業者に厳しいようだが、嘗ては自分にもそうした気持ちがあった)救急外来の当直医に時折こうした対応を感じる。問診や診察よりも検査を優先し、検査で異常が無いからと家に返してしまう。目が回るほど忙しい前線なので理解は出来るが、入院にまつわる手間周囲の反応などから逆算しているのが感じ取れる。院長からいつも占床率が低いのでどんどん患者さんを送ってくださいと聞いている、入院させてみたら以外に軽症で数日で退院させることがあっても何ら問題は無いはずだ。尤も、「なんでこんなの入院させたの」。という指導医もどきがが居るかもしれんが。

 大飯原発でも同じ思考過程があったと確信している。こうした思考法が効率的で有効のこともあるが、思わぬ見逃しで禍根を残すことも多い。目が眩んで易きに付いてしまうからだ。大津事件は他山の石、取り返しが付かないことはやり過ごすことができないと覚えておきたい。

 ところで電力会社社員にも人口比に応じた公聴会発表は妥当のように見えるが、そうでもない。電力会社の社員は原発推進派(本音は知らない)が殆どだからだ.公聴会や世論調査は設問や選抜を透明にして漸く僅かに参考になる程度、都合のよいところだけを摘まみ食いしないように。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする