片桐はいりという女優をご存じだろうか。ご存じの方はご存じだろう。ご存じない方もたぶんえらの張った仁鶴の娘のようなおかっぱ女性といえば、あーあの顔か見たことがあると思い当たられるであろう。
私にも彼女の強烈な顔の印象があり、そしてそれだけの俳優さんであったのだが、グアテマラのキーワードから引きずり出した「グアテマラの弟」という本を読んで、大袈裟で的外れかもしれないが向田邦子に連なる才能に巡り会った気がした。
私の年齢になるとちょっとあんまりと弟さんの選択にたじろぐところもあったのだが、読み込んでゆけばそういう運命もあるのだなと思えてしまう片桐さんの文章と言うか人柄に目を開かれた。
思えば、人間はなんと見た目で即断をしてしまうことだろう。見た目が当たることも多いのだが、そうでない場合、特に良い方に目が開かれた時の嬉しさは大きい。掘り出し物に痺れる人の心境がわかる。書き手、片桐はいりは掘り出し物であった。
グアテマラはその音の響きから、誰でも聞いたことがあり頭の片隅にある国だと思う。メキシコの南、マヤ文明の遺跡が残る緑に埋もれた国らしい、いつか行ってみたい国に加えねばなるまい。