駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

イエロー・サブマリーン

2008年07月28日 | 診療
 40年近く前ビートルズのイエローサブマリーンを見た。当時はイギリスをきまじめで節度ある国のようにと思っていたので、速いテンポで軽い乗りのとぼけた味が斬新で面白かったのを憶えている。何でイエロー黄色だったのだろう。単に目立つということか、あるいはイエローになにか独特の響きがあるのか。残念ながら知らない。イエローマッジクオーケストラのイエローには黄色人種の意味合いがあるらしいが。
 我々の仕事ではイエローは要注意だ。眼球結膜の黄色くなる黄疸は申すまでもない。
 なんだか足下が覚束無い婆さんが診察室に入って来た。「おはようございます」。とお辞儀をされる。「ああ、おはようございます。どうしましたか」。嫁さんらしき付き添いが「今朝食事を摂らないので熱を測ったら七度五分ありました、心配なんで連れてきました」。咳や痰もないし、喉もさほど赤くない。下痢や嘔吐もないそうだが、はてなんだろうとベットに横になってもらう。お腹はどうかなと触診をする。圧痛や抵抗はなく柔らかい、なんだかごろごろしてるなと聴診器をあてると、グル音が亢進している。急性の胃腸炎か。あれ!、なんだこれは、肌着の下の方に黄色い染みが数ヶ所がある。鼻を近づけるまでもなく、微かにいやはっきりと臭う。しまった迂闊だった。イエロー・サブマリーンが潜航していた。「看護婦さーん」。こんな時、本当に看護婦さんの活躍には頭が下がる。何度も手を洗い、シーツも変えてもらい、次の患者さんを入れる。
 ちゃんと挨拶できるから下の管理ができているとは限らない、下痢気味では無理もないか。イエローは信号だけに限らない、潜航していることもあるので要注意。
コメント (2)
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