駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

なんと呼びますか?

2008年07月01日 | 診療
 「次の患者さん腹痛で、処置室に寝てます」。「ああ」。と答えて聴診器を片手に診察室を出る。「てっちゃん」。優しく呼ぶ60代?の女性の声がする。カーテンを開けたが、ええっとあれ?。爺さんが青い顔をして側臥位で寝ている。目をつむって少し苦しそうだ。「てっちゃん、先生よ」。と呼ばれると目を開けた。なんだこの人か。てっちゃんは「虚血性腸炎」という動脈硬化の関係した病気で入院になり、10日ばかりで退院してきた。
 元気なところを見ると四角い頭に白髪が僅かに残り、笑顔が狛犬に似て、若い時は格好良かったのかなあとも思える。70過ぎの爺さんを愛称で呼ばれる奥さんは少ない。余計なことなので聞きはしないが、大恋愛だったのだろうなあ。
 「おとうさん」。「おじいさん」。が圧倒的に多い。時に「あなた」。やフルネームにさん付けの「てつおさん」。もある。若ければ「てつおくん」。もある。
 夫婦で罹られている患者さんは結構多いのだが、受診の仕方はいつも二人連れ、時々二人連れ、時間差攻撃同日異時間来院、他人行儀で別々来院までいろいろだ。奥方の方は何となく旦那を気にかけて探りを入れてくることがあるのだが、旦那の方は全くの知らんぷりも多い。突然、「家内がこの前の風邪薬をもう一回欲しいと言っていました」。と言いだし「えっ、誰」。ということがある。親子はあまり似ていなくても、そう言われればというのがあるが、夫婦は他人がコメントすべきではないかもしれないが「えーっ」。と驚く組み合わせがある。まあ、素知らぬ顔のプロだから、顔には出さないが。
コメント
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