駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

二手の読み、そう言えばこうする。

2008年07月08日 | 医療
 小児科の場合は訴えの評価があまり難しくないようだが(横に付いている人は別として)、内科の場合はどこまでが本当か見極めるのが難しい。どちらかというと大げさに言う患者さんが多いのだが。修飾された表現にいろんな要求や思惑が重なるからよけいややこしくなる。
 「6度3分か、熱はないですね」。「いえ、私はいつも5度2分なの、熱があります」。これには「ああ、そうですか」。くらいに答えるのが正解。首を傾げて、「えー、5度2分?それはおかしい」。などと答えると実りのない論争に発展することがある。
 「今朝から胃が痛いんだよ」。
 こうした訴えには、痛みの場所、性状、程度、誘因、付随症状などを順番に落ち着いて聞いてゆく必要があるのだが、それをまどろっこしいと思われる患者さんがおられ、話はもういい早く診察して治療をしてくれというのが態度に出る。医者としては何で胃だとわかるとか、問診はとても大切なんだとか、ついよけいな?ことを言いたくなるのだが、よけいなことは言わず適当に妥協しながらポイントを外さないように手早く対応するのがよい。というのはこういう患者さんは自分の言い分が通らないと機嫌が悪くなったり、試されるような質問や諭されるような物言いを嫌うことが多く、柔軟に対応した方が実質良い結果が得られるからだ。
 書き出せば本になるくらい、患者さんの変容表現はいろいろあり、それに対する対応法も枚挙に暇がない。要するに結果として患者さんが利するように動くのが町医者の原則、藪と思われても、少々不本意でも実を取らせる。しかしまあ、2、3年に一人くらい医者を変えた方がよいですよと申し上げる患者さんも居る。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする