玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*保守の精神

2022年09月26日 | 捨て猫の独り言

 保守の立場から様々な事象を論じる佐伯啓思(1949年生まれ)氏の「社会秩序の崩壊と凶弾」と題する投稿記事(8・27朝日)を読んだ。箇条書きにまとめてみた。①日本だけでなく世界的にも、「リベラルな秩序」が崩壊しつつある。それは「目に見えない価値」を重視する「保守の精神」が衰退したからである。

 ②「目に見えない価値」を醸成し維持するものは、人々の信頼関係、家族や地域のつながり、学校や医療、多様な組織、世代間の交流、身近なものへの配慮、死者への思い、ある種の権威に対する敬意、正義や公正の感覚、道徳意識などである。

 

 ③今日のグローバリズムで最大の評価を得るのは進歩へ向けた「変革」や「革新」であるが、それこそ「保守」の対極にある。かくて「保守の精神」が失われるのも当然であろう。大変に皮肉だったのは、近年最も強く「保守」を打ち出した安倍元首相のもとで、「保守の精神」が崩壊していったことである。

 ④グローバルな大競争の時代にあっては、政治はリベラルな価値を高く掲げ、技術革新を推進し、社会を流動化し変化させなければならないだろう。だがそのことが日本社会が保持してきた「目に見えない価値」を蝕むことにもなるのである。この皮肉は、時代の問題であり、日本の大きな課題である。

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