Con Gas, Sin Hielo

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「怪しい彼女」

2014年08月02日 20時45分38秒 | 映画(2014)
イモトアヤコの上位変換でどうでしょう。


はじめは性格がキツくて直情的なばあさんの振る舞いが目につくので、観ている側は若干引き気味になるのだが、20歳に若返ってしまった姿を通して、必死で生きてきた彼女の人生がだんだん見えてきて引き込まれる。

時には人に恨みを買うようなことをしたかもしれない。でも母一人子一人で歯を食いしばって生きていかなければいけなかった。

韓国もご他聞にもれず高齢化が相当な勢いで進んでいると聞く。人生の決算は一般的に大きな関心を持たれるテーマであろう。

本作は、そんなややもすると重くなりかねないテーマをさらっと明るく描いている。

特に、若返ったオ・ドゥリを演じるシム・ウンギョンが画面に登場してからはコメディの要素が前面に出てきて、一大事のはずなのにはらはらすることもなく笑って観ていられる。

シム・ウンギョンのたたずまいがまた冴えている。基本は美人なのだが、韓国特有のいかにも加工品とは毛色が違っていて、頻繁に表に出てくるばあさんの本性のせいで容姿は崩れるものの、その反面人間性がにじみ出てくる。だから、プロデューサーが街で偶然見かけた彼女に目を止めるという設定にも無理がない。

周囲のキャラクター設定も丁寧で温かい。最も目立つのは、ばあさん=お嬢さんをずっと慕い続ける元奉公人のじいさんで、多くの笑いをさらっていくが、彼以外の脇役も、たとえばシルバー施設の喫茶コーナーの常連でちょっと嫌味な女性なんかを、決して単なる悪役に押し込めずにまとめている点は大いに好感が持てた。

そしてこの手のファンタジーもので難しい話の収拾についても、誰もがそれぞれ幸せな大団円へ手堅く導いている。それも、みんなが以前より何かしら成長したり克服したりということが目に見えて分かるから、これまた温かい気持ちになれる。

最後のオチもこれ以外ない収め方だと思う。ただ、変身した姿が加工品だったのがやや残念。後ろ姿にして、ばあさんや周りの人の驚きで表現したら良かったのに。

(80点)
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