虚構の城郭が消え失せてもなお。
コメディではないW.アレンはひさしぶり。彼自身が出てこないこともあって、会話の洪水は鳴りを潜めているが、その代わりにC.ブランシェットの表情がすごい。
もちろん脚本や演出がこなれているのも事実だが、この救いがたい転落女性を奇抜なメイクや体形変化なしに体現しているC.ブランシェットがやはりすごい。
華やかな美人であるからこそ、追い詰められたときの鬼気迫る表情が生きてくる。
脚本も容赦ない。冒頭からジャスミンの頭のネジはおかしいまま。
周りの人が差し向けてくれる救いの手を嘘と見栄でことごとく葬り去る。
元夫・ハルの犯罪へ無意識に関与していたものの決して悪人ではない。ただ、絶望的に愚かな女性なのである。
並行して描かれる、血のつながらない妹・ジンジャー。
彼女も男運が良いとは言えないが、現実の環境を受け入れてそれなりの幸せを味わえる生活を送っている。
2人の違いは何か。DNA? もちろん答えは違う。
ハルとの出会い以降、嘘で塗り固められた人生。
嘘が次の嘘を招く。つかなくてもいい場面でも、嘘をついた方が楽だと思ってしまう。まるで薬物だ。
ジンジャーの家を飛び出したのも、結局は嘘。嘘の人生のケリを嘘でつけると言えば聞こえはいいが、ジャスミンの前途には何の光もない。
それにすら彼女は気づかず、ただ過去に囚われて独り言を発するだけ。
冒頭に「コメディではない」と書いたが、彼女の人生はもはや悲喜劇の域だ。
(85点)
コメディではないW.アレンはひさしぶり。彼自身が出てこないこともあって、会話の洪水は鳴りを潜めているが、その代わりにC.ブランシェットの表情がすごい。
もちろん脚本や演出がこなれているのも事実だが、この救いがたい転落女性を奇抜なメイクや体形変化なしに体現しているC.ブランシェットがやはりすごい。
華やかな美人であるからこそ、追い詰められたときの鬼気迫る表情が生きてくる。
脚本も容赦ない。冒頭からジャスミンの頭のネジはおかしいまま。
周りの人が差し向けてくれる救いの手を嘘と見栄でことごとく葬り去る。
元夫・ハルの犯罪へ無意識に関与していたものの決して悪人ではない。ただ、絶望的に愚かな女性なのである。
並行して描かれる、血のつながらない妹・ジンジャー。
彼女も男運が良いとは言えないが、現実の環境を受け入れてそれなりの幸せを味わえる生活を送っている。
2人の違いは何か。DNA? もちろん答えは違う。
ハルとの出会い以降、嘘で塗り固められた人生。
嘘が次の嘘を招く。つかなくてもいい場面でも、嘘をついた方が楽だと思ってしまう。まるで薬物だ。
ジンジャーの家を飛び出したのも、結局は嘘。嘘の人生のケリを嘘でつけると言えば聞こえはいいが、ジャスミンの前途には何の光もない。
それにすら彼女は気づかず、ただ過去に囚われて独り言を発するだけ。
冒頭に「コメディではない」と書いたが、彼女の人生はもはや悲喜劇の域だ。
(85点)
>嘘をついた方が楽だと思ってしまう
というより、見栄で嘘を言ってしまうタイプのよくいる怖い女でした
どうせあとでバレるのにって考えないんですよね。
私は好きな人には正直になりたい、
だけど好き以前にとにかく虚栄心ばかりで金持ちに収まりたい一心なんですよね。かわいそうな人です。
ウディアレンは皮肉こもったコメディだと思ってます。
考えが浅はかなわけですね。
確かに「思う」というよりも、見栄が体の芯まで染みついてしまっているような、
だから「正直になりたい」という考えもおそらくなくて、
虚栄心が反射的に働いているのだと察します。
今回は「愛すべき」という形容詞が付けられない愚者ですね。