Con Gas, Sin Hielo

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「her 世界でひとつの彼女」

2014年07月08日 21時34分46秒 | 映画(2014)
641倍、器用過ぎた彼女。


この話を「あり得ない」と言ったらそこで終わりになってしまう。OSとの恋の物語だけど、主題はそれだけではない。と思う。

以前は明るかったらしい主人公・セオドアは、愛していた妻との離婚に傷つき塞ぎ込む日々を送っていた。

そこに現れた最先端OSのサマンサ。あらゆる人間のデータを蓄積した彼女(?)は、優れた学習機能を駆使し、セオドアのことを理解し愛情を抱くようになる。

デートのお膳立てをしたり、実体がない自分との恋愛を体感するために代理恋人をあつらえたり、代筆業の作品を集めて出版社へ売り込んだりと、とにかく優秀で献身的に振る舞うサマンサにセオドアは癒されていく。

古くからの友人・エイミーや職場の同僚がそんな元気を取り戻した彼を歓迎し、理由がOSとの恋と知ってからも、むしろ知った後に距離の近い付き合いをするところが微笑ましい。

しかし、機能が飛躍的に向上してしまったサマンサとのズレ、そして離婚のため正式な書類を交わすために再会した妻とまたケンカ。彼の進む道は正しいのか。どこへ向かうべきなのか。

欠格者ではない。仕事はできるし、性格だって特に気難しいところがあるわけでもなく、初めて会った女性と意気投合できるくらい社交性もある。

そんな普通の男性が経験した、少し風変わりな再生の物語なのだ。

一つの別れで前へ進めなくなっていた彼の腕を引っ張ってくれたサマンサ。これからも何かを得ては失うことを繰り返すのだろうけど、一歩を踏み出さないと何も始まらない。

最後の屋上の場面は、新しい物語の始まりを静かに予兆しているように見えた。

それにしても、セオドアの周りはA.アダムス、R.マーラ、O.ワイルドと美女ばかりでうらやましい限り。これなら幸せは遠くないはず。

サマンサの声、えらくハスキーだと思ったら、エンドロールでS.ヨハンソンと知ってびっくり。分からなかったな。

(75点)
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