Con Gas, Sin Hielo

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「TOKYO TRIBE」

2014年09月17日 20時43分16秒 | 映画(2014)
地獄ではまったくない。


別に避けていたわけではないけれど、初めての園子温監督作品だった。

過去作品のチラシなどから、血なまぐさく陰湿な世界観を勝手に想像していたのだが、本作は見事なまでにライトな娯楽作品だった。それも片足コメディに突っ込んでいるくらいの。

なにしろラップミュージカルである。原作は知らないが、コミックという枠の中でミュージカルの表現は想像がつかないから、監督自身の感覚で相当アレンジされたものなのだろう。

グループ間の抗争とミュージカルといえば「ウエストサイド物語」の系譜であり愛称は悪くない。現代または近未来のトーキョーということで、ラップを軸に据えたというところか。

言葉のまくしたてが脈々と続くラップを好んで聞くことはないのだが、よく聴いてみると、ベースとなるリズムやビート、ラッパーの声質などで、個性がはっきり分かれてくるところがおもしろい(「練マザファッカー」は特にいい)。

物語はトーキョーという荒廃した架空の街を舞台にしたおとぎ話で、地底を這うような音のうねりに合わせて漫画的な闘いが繰り広げられる。派手でばかばかしいほど画的にハマる。

朝ドラで全国区になった鈴木亮平が「知ったこっちゃない」と熱い役を演じれば、周りを囲む個性的な面々も負けじと歌い、舞い、はじけ飛ぶ。

LOVE&PEACEを唱えファミレスにたむろするのが「ムサシノSARU」。らしいと言えばらしい。最後はTRIBEが団結し、予想外に爽やかなエンディングを迎える。

多彩な演者を揃え、好き勝手できる舞台と脚本をこしらえてばら撒いた感じ。余裕で世界を楽しむベテランに雑じって、清野菜名などの新星が伸び伸びと演じている。これも監督の技量がなせる技だろう。

(80点)
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