9+9年のビフォーアフター。
続篇までが9年。その続篇までが、また9年。
これだけで稀有なシリーズなのだが、その9年ずつが、実際に経過した続篇というところが本作の興味深いところ。
また、これは個人的な話であるが、それほど年齢が離れていない主人公たちと、自分の時間の経過を重ねて見て、振り返れるのがおもしろい。というより、寧ろ感慨深い。
18年前は自分も独身で、「恋人までの距離」はシャンテに知り合いの女の子と観に行った。
ロマンティックな出会い、ゆったりとしたウィーンの景色、でも確実に刻まれる時に急かされるように会話をぶつけ合う二人。運命を感じながらも、流される選択をしなかった結末に、切なさを感じつつも余計に深い感動を味わったものだった。
それに比べると、「ビフォアサンセット」は実はあまり印象に残っていなくて、再会してやはり限られた時間を共に過ごすのだけど、30代という、成長なのか成熟なのかまだあいまいなところが結末とそのまま結びついてしまって、煮え切らない印象だけが残った。
そして迎えた四十路。
実はあの後、二人は一緒に暮らすようになり双子の女児がいるという設定から始まる。
生活のパートナーとして暮らした9年を経ているということで、今回二人のお互いへの感情が大きく変わっていることに気付く。
ロマンティックな出会いが封印された9年と、出会いを結実させてからの9年。二人の年代という要素を抜きにしても、この差は非常に大きい。
何気なく交わされる会話には、もちろん楽しい笑いも含まれる。この二人のことだからその分量も半端なく多い。
しかし、その大半は現在と将来の生活のこと。切実な話ゆえに、意見が分かれて険悪になる時間が格段に増えている。
それと同じくらい驚くのが40代、等身大の主人公たちだ。
特にJ.デルピーは、聡明で洒落たフランス娘だった18年前の面影はまるでなく、たるみきった外見を堂々と披露。天晴な女優魂である。
枯れてくる自身と増え続ける問題。ひょっとして、想い出はロマンティックなままで終わる方が良かったのか。
彼らの解決法は結局ここでも会話となる。明確な解答ではない。でも、しゃべり続ける限り、彼らはお互いが必要で彼らじゃなければダメだということがよく分かる。
いまの年齢で見ると、それなりに理想的な枯れ方で非常に共感できたのであった。
(85+5点)
続篇までが9年。その続篇までが、また9年。
これだけで稀有なシリーズなのだが、その9年ずつが、実際に経過した続篇というところが本作の興味深いところ。
また、これは個人的な話であるが、それほど年齢が離れていない主人公たちと、自分の時間の経過を重ねて見て、振り返れるのがおもしろい。というより、寧ろ感慨深い。
18年前は自分も独身で、「恋人までの距離」はシャンテに知り合いの女の子と観に行った。
ロマンティックな出会い、ゆったりとしたウィーンの景色、でも確実に刻まれる時に急かされるように会話をぶつけ合う二人。運命を感じながらも、流される選択をしなかった結末に、切なさを感じつつも余計に深い感動を味わったものだった。
それに比べると、「ビフォアサンセット」は実はあまり印象に残っていなくて、再会してやはり限られた時間を共に過ごすのだけど、30代という、成長なのか成熟なのかまだあいまいなところが結末とそのまま結びついてしまって、煮え切らない印象だけが残った。
そして迎えた四十路。
実はあの後、二人は一緒に暮らすようになり双子の女児がいるという設定から始まる。
生活のパートナーとして暮らした9年を経ているということで、今回二人のお互いへの感情が大きく変わっていることに気付く。
ロマンティックな出会いが封印された9年と、出会いを結実させてからの9年。二人の年代という要素を抜きにしても、この差は非常に大きい。
何気なく交わされる会話には、もちろん楽しい笑いも含まれる。この二人のことだからその分量も半端なく多い。
しかし、その大半は現在と将来の生活のこと。切実な話ゆえに、意見が分かれて険悪になる時間が格段に増えている。
それと同じくらい驚くのが40代、等身大の主人公たちだ。
特にJ.デルピーは、聡明で洒落たフランス娘だった18年前の面影はまるでなく、たるみきった外見を堂々と披露。天晴な女優魂である。
枯れてくる自身と増え続ける問題。ひょっとして、想い出はロマンティックなままで終わる方が良かったのか。
彼らの解決法は結局ここでも会話となる。明確な解答ではない。でも、しゃべり続ける限り、彼らはお互いが必要で彼らじゃなければダメだということがよく分かる。
いまの年齢で見ると、それなりに理想的な枯れ方で非常に共感できたのであった。
(85+5点)
今回はジュリーデルピーのわがままさが目立ってたけど
そこを我慢しながらもあんな風に言ってくれてその大事な1日をきちんと大切にしてくれるあのラストの演出はほんとにお見事!でした。
確かにはじめに不満をぶつけるのは主にセリーヌの方でしたね。
そこは二人の性格なのか、
子育てに追われる主婦業と自由な作家業の差もあるのか、
それでもおっしゃるように、大事な1日をきちんと修復する二人だから、
きっとこれからも(続篇がなくても)大丈夫なのでしょう。