Con Gas, Sin Hielo

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「フライトゲーム」

2014年09月17日 21時32分05秒 | 映画(2014)
本当の犯人が別にいるような気も。


本作の肝は、主人公である航空保安官・ビルがハイジャック犯人に翻弄されるだけでなく、逆に犯人に仕立てられて乗客を含めたすべての人を敵に回してしまうという斬新な設定にある。

サスペンスものは数多くあるが、航空機は、その狭さと一つ間違えたときに死に至る確率の高さから、緊迫感の演出という観点では並び立つものがない舞台である。

特に9.11を経験してしまった世代にとって、テロリストは命を懸けてでも阻止しなければならないものという意識が極めて強く、本作の設定は逆ばねとしてビルの苦境をいっそう引き立てている。

ビルが目を放している隙に乗客たちが話し合い逆襲の算段を始める。真犯人の検討がつかないまま、味方は一部の乗客のみ。それも本当の味方なのか確証はまったくない。

ここまで追い込む積み重ねは見事だった。

特に、「20分ごとに1人殺す」という脅迫を自分の姿を見せずに実行するアイデアと、ひとつひとつをビルの人間的な欠陥と巧妙に結びつけてくるやり口にすっかり翻弄された。

誰が犯人なのか、その前にどうすれば危機的状況を改善できるのか、まったく見当がつかない中でついに乗客がビルに襲いかかる。

そこからビルの反転攻勢が始まるのだが、ここまでの完璧な話の運びから比べると少し作りが雑だった気がする。

攻撃を返り討ちにした後でビルが乗客全員に自分の身の上を包み隠さず語ると一気に信頼を取り戻す。

そして意外な犯人が登場しこれまでの謎が解けていくのだが、上で見事な積み重ねと書いたシナリオが果たして犯人の思惑通りの展開だったのか少し怪しいという印象になってしまった。

犯人が何故ビルの個人情報を知り得たのか、トイレとコックピットの関係を事前に知っていたのかなど、個人のレベルとは思えない所業に対して納得のいく描写もなかった。

一滴の水も漏らさない計画というのは難しいが、前半の展開に少し期待し過ぎてしまったのかもしれない。

(75点)
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