父と娘の最悪のシナリオ。
「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」「告白」と、年間単位で連に絡む傑作・快作を世に発信し続けている中島哲也監督の最新作がいよいよ公開された。
当然大きな期待を持って観に行ったのだが、どうだろう。宣伝に出ている「劇薬」という言葉こそその通りであったが、これといって印象に残る作品ではなかったような気がした。
過激な描写は意外性や落差があって際立ってくるもので、それは例えば、きれいな顔をした優等生が残酷な犯罪をしたり、松たか子が冷静な表情で復讐を果たしたりということなのだが、本作は全篇に渡って、いかにもな人たちがいかにもなことをしているから予想を超えないのである。
「愛する娘は、バケモノでした。」とあるが、これも看板に偽り有りで、父親には娘への愛情がまるで感じられない(真相を追っていくうちに屈折した感情は見せるが)し、娘からはバケモノ要素以外のものを画面上で発見することができない。
ところどころに挟むアニメや音楽、時間が目まぐるしく行き来しながらも物語が散乱しない構成力など、映像作家としての腕前はさすがだと思うが、それだけで引きつけるのは難しい題材だったのかもしれない。
役者も年齢を問わず脂の乗った個性的な面子を揃えているのだが、脇で存在感があったのは、終始にこにこしながらも腹黒さ全開の妻夫木聡くらいで、オダギリジョーのとってつけたような使い方など実にもったいないと思った。エンドロールで名前が出ていたけど、二階堂ふみは確認できなかったし(事後確認。あの役だったのか…)。
繰り返しになるが、ひょっとすると監督の技量というよりも、原作と観る側の相性という可能性もある。その辺りは次回作以降に判断を委ねたいと思う。
(60点)
「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」「告白」と、年間単位で連に絡む傑作・快作を世に発信し続けている中島哲也監督の最新作がいよいよ公開された。
当然大きな期待を持って観に行ったのだが、どうだろう。宣伝に出ている「劇薬」という言葉こそその通りであったが、これといって印象に残る作品ではなかったような気がした。
過激な描写は意外性や落差があって際立ってくるもので、それは例えば、きれいな顔をした優等生が残酷な犯罪をしたり、松たか子が冷静な表情で復讐を果たしたりということなのだが、本作は全篇に渡って、いかにもな人たちがいかにもなことをしているから予想を超えないのである。
「愛する娘は、バケモノでした。」とあるが、これも看板に偽り有りで、父親には娘への愛情がまるで感じられない(真相を追っていくうちに屈折した感情は見せるが)し、娘からはバケモノ要素以外のものを画面上で発見することができない。
ところどころに挟むアニメや音楽、時間が目まぐるしく行き来しながらも物語が散乱しない構成力など、映像作家としての腕前はさすがだと思うが、それだけで引きつけるのは難しい題材だったのかもしれない。
役者も年齢を問わず脂の乗った個性的な面子を揃えているのだが、脇で存在感があったのは、終始にこにこしながらも腹黒さ全開の妻夫木聡くらいで、オダギリジョーのとってつけたような使い方など実にもったいないと思った。エンドロールで名前が出ていたけど、二階堂ふみは確認できなかったし(事後確認。あの役だったのか…)。
繰り返しになるが、ひょっとすると監督の技量というよりも、原作と観る側の相性という可能性もある。その辺りは次回作以降に判断を委ねたいと思う。
(60点)
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