脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

小布施町「脳のリフレッシュ教室」交流会②ー介護費用10兆円突破

2020年02月25日 | エイジングライフ研究所から
今年の交流会で、介護費用が10兆円を超えた昨秋の報道から話始めました。

「10兆円といってもよくわからないから考えてみましょう。新札100万円一束の厚みがちょうど1センチだそうですよ。1兆円は日本一高い富士山よりも高いか低いか?」

会場からは「高い」の声も「低い」の声も。
「大体1兆円なんて縁がなさすぎですからね。皆さんご一緒に。一、十、百、千、万、十万、百万。ここで1センチ。千万は百万の10倍で10センチ。一億は100センチ、1メートルです。十億は10メートル。百億は100メートル。千億は1000メートル、1キロ。ということは一兆は10キロ。大雑把に言って10キロ越すと成層圏。いわゆる雲の上!ジェット飛行機が飛ぶ高さです」説明しながら気が遠くなりそうです。

「つまり10兆円は、あのほとんど厚みのないお札を積み上げて、空高く100キロに到達する大金なのです」
「70歳代で認知症になるのを1年遅らせてほしい」というのが厚労省の本音みたいですね。発表後すぐに取り下げられましたけれど。そこで会場の皆さんにきいてみました。
「自分で、70歳代で1年認知症になるのを遅れさせることができたという実感をもっていますか?『脳のリフレッシュ教室に参加し続けているから大丈夫。脳の健康は維持できてる』と思える人は手を上げてください」
ちゃんと手が上がるんですよね。
たまたま、最前列のお元気なリーダーさんが、手を上げられなかったので「あれっ?」と尋ねると「もともと私には認知症は無縁ですから、そんなこと考えてないんです」と笑顔で答えてくださいました。

考えたら小布施町はすごいことをやってきました。2002年から正常者からの認知症予防教室を動かし始めたのですから。対象は脳機能が正常の方を中心に「脳を元気なままに。脳の健康を維持しよう」というのがテーマだったのです。そこに小ボケの人を少し(1/3どまり)入れて回復を図るということが第2の目的でした。

グラフの縦軸は、一般的な認知機能テスト。MMSという世界的に使われているテストです。横軸は前頭葉テスト。独自のかなひろいテストを使います。
青のゾーンは普通の認知機能テストの合格群です。実はその中には、前頭葉テストも合格する正常群(青ドット)と、前頭葉テストは不合格の小ボケ群(黄ドット)が混在しています。この青ゾーンに含まれる青ドットと黄ドットを対象に実施されたのが、小布施の脳のリフレッシュ教室です。
中ボケ以下の施策は、なかなか思い通りにはいかないようですが、一番効率がいいだけでなく有効なのは、脳機能のレベルをそろえるということです。
脳機能のレベルということばを使うと、たぶん拒否感が出てきますね。
グループ分けするとき、脳卒中を起こした方が混ざっている場合には「運動に問題がないグループ」と「運動に配慮するグループ」に分けますよね。それと同じで、このような考え方がもう少し浸透してくれるといいと思います。
小布施町の一番最初の「脳のリフレッシュ教室」は、2002年にスタートした山王島地区で、その後着々と教室が増えていきました。5年目になったということで2007年から教室交流会が始まりました。
最近は交流会のたびに、とにかく継続してくださってること、皆さんがいろいろな場面での楽しみ方を知って楽しそうにのっていらっしゃることに心動かされてきました。
介護費用の節約には貢献したはずですが、そこが上手にまとめ切れていないようです。交流会の様子をブログにまとめてありますから、見直してみようと思いました。お時間があるときにクリックしてみてください。

2014年「兄のことー前頭葉の話」直前に兄が亡くなったので交流会記録はなし

2015年「小布施だより―第9回脳のリフレッシュ教室交流会」
    「小布施便りー付録」

2016年「小布施便り―第10回脳のリフレッシュ教室交流会1」
    「小布施便り―第10回脳のリフレッシュ教室交流会2」
    「小布施便り―第10回脳のリフレッシュ教室交流会3」

2017年「小布施便りー都住地区10周年」
    「小布施便りー第11回脳のリフレッシュ教室交流会その1」
    「小布施便りー脳のリフレッシュ教室交流会その2」
    「認知症予防教室で生き方は変えられる。」

2018年「小布施町認知症予防教室交流会」


高齢者が、ご自分の脳の健康を守るという意識をもって教室を継続してくださっていることに感動しました。





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