欧州に駐在している日本人の友人から、現地の友人たちに誘われ、スープと音楽と詩で楽しむ会に誘われて行ってきた話を聞きました。
彼女は「楽しむだけで自分が何か発表することはない」と思って参加したのに、急に「あなたは何を用意してきたの?」と尋ねられて冷や汗をかいたようでした。
彼女が詩を即席で作ることはできなかったにせよ、皆の期待を裏切らないような話で楽しませてきただろうことは確かだと思います。
が、どんなに彼女が焦ったかもわかったので同情しつつも、彼女に、「私の欧州の友人のお子さんが、確か俳句クラブだったかに入っていたと思います。外国語の俳句がどういう形になるかわからないけど※、次回は俳句を紹介するのも良いのでは、と返しました。
※HAIKU in English | 第16回龍谷大学 青春俳句大賞 (ryukoku.ac.jp)
欧州人でも、さすがに彼女が誘われたような会を開く人は少ないでしょうが、きっと詩や音楽、芸術の生活への根差し方は日本とはだいぶ違うんじゃないでしょうか。
羨ましいです。
さて、俳句といえば、8年前に、米国人の友人の疑問を解く手伝いをした時のことを思い出しました。
白隠慧鶴の句、『たこあげ』と『いかのぼり』 - Various Topics 2 (goo.ne.jp)
アメリカ人のティムさんから、日本語と仏教について学ぶ友人の勉強の手助けをしてほしい、とメールがありました。
この友人は、白隠慧鶴(はくいんえかく)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E9%9A%A0%E6%85%A7%E9%B6%B4という江戸中期の禅僧に興味を持っていて、彼が書いた、書や絵に興味を持っているということです。
今回彼女が知りたいというのは、白隠の『布袋烏賊図(布袋様が凧になっていて、小さな人達がこの凧を揚げている絵と詩)』のなかの俳句の漢字とひらがな。ティムさんはその絵と、本で見つけたというローマ字と英訳を貼り付けてきました。
Romaji:
Unu ga mama ni
yarunu ga ika no
inochi kana
English:
You can't just do
anything you want -
it's a squid's life
「ローマ字では『うぬがままに やるぬがいかの いのちかな』って書いてあるけど、『うぬ』って何?『やるぬ』というのは『やらぬ』の間違いだろうけど・・・『いか』というのは英訳ではsquidになっているから『イカ(烏賊)の命』?凧からタコ(蛸)っていうならわかるけど、なぜイカ?」
と、まずイカに絞って調べてみると、面白いことを発見。
『たこ(凧)上げ』というのは、明治初期まで関西地方では『いか(紙鳶)のぼり』と言っていたらしいのです。
と、ここまで調べたものの、私はギブアップして、〝歩く百科事典″こと、友人Tにティムさんのメールを転送。
流石物知りT、即座に、
「『己が儘に遣らぬが烏賊の命かな』かな。字から見てyarunuはyaranuの誤記でしょう。」
と返事をくれました。
(なお、『己』という文字は『おのれ』と読むとき自分のことを差しますが、これが『うぬ』となると、『自分』という意味のほかに、『きさま、てめえ、おまえ』という、べらんめえ口調の二人称として使われるということもあるようです。)
(後略)
最近日本語を習っていつ欧米の友人たちに、日本や日本語についてメールを交わすことがなくなっていたので、久しぶりに俳句の話など書いてみようと思います。
上級者には日本語でつくってもらうのもよし。