「将来移住するとしたら、ノルウェーが良い」
と、イタリアに移住しているイギリス人社会学者との雑談で話したとき、彼は
「どうして?寒いじゃない」
と半分冗談っぽく聞きました。
極寒、日照時間が少ないところは嫌、ノルウェーの言葉もできない、ノルウェーには旅行に行ったことさえもない、という私がこの国を移住したい国ナンバーワンに挙げるのは、この国が西側諸国の中で一番成熟した大人に思えるからです。
それは、この国の人口が少ない、資源がある、ということから可能になっているのでしょうが。
ところでそのノルウェーが、22年冬季五輪の招致レースから撤退したそうです。
ニューズウィーク(2014年10月10日)
オスロ五輪招致撤退はIOCの接待要求のせい
By ベン・マティスリリー
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/10/post-3421.php
22年冬季五輪の招致レースから、ノルウェーのオスロが撤退した。理由は、大会後に無用の長物になる競技場に巨費を投じるのがばからしくなったから。さらに、IOC(国際オリンピック委員会)が、いかさま貴族の腐敗組織と分かったからだ。
ノルウェー国民が半ばあきれ、半ば憤慨したのが、五輪開催中に必要とされた豪華接待。その内容を地元ベルデンスガング紙の記事から抜粋すると──。
■IOC委員は開会式前に国王と面会。式後のパーティー費用はノルウェー王室かノルウェーの組織委員会が持つ。
■公道に委員専用車線を設ける。
■各委員のホテルの部屋に組織委員長とホテル支配人の挨拶状と、季節の果物と菓子を届ける(2月のオスロで季節の果物を見つけるのは至難の業だが)。
■ホテルのバーは営業時間を夜遅くまで延長。ミニバーにはコカ・コーラ社の飲料を置く。
■空港でIOC会長の歓迎レセプションを行う。空港には委員専用の出入り口を設ける。
■開閉会式には各種アルコールを準備し、競技期間中は会場のラウンジにワインとビールを。
■委員のホテル出迎えは笑顔で。
■会議室の温度は常時20度に。
■会場のラウンジに温かい食事を用意し、メニューは定期的に入れ替える。
オスロの撤退に対してIOCはこんな声明を発表した。「冬季競技の熱心なファンであるノルウェー国民にも、自国で記録を達成する機会を逃すノルウェー選手にも、残念な決定だ」
悲しい。実に悲しい。
競技場建設は一部の人達にはおいしいです。それが「無用の長物」となっても、血税をつぎこまれても、なんのその。
(環境破壊や、カジノ建設の足掛かり、オリンピックの名のもとに好き放題の国もあります。)
ギリシャの金融危機が起きたきっかけも、オリンピックであったということも言われていますし、私の外国人の友人たちには「今の時代、自分の国にオリンピックは来てほしくない」と言う人も少なくないです。
(オリンピック、なんで既存の競技場でやってはいけないのか、私は不思議に思います。オリンピック開催に新しい競技場を作ることが条件になっているのか・・・。)
“国際オリンピック委員会(別名:国際王様委員会?)”のこの要求、日本も他の国も当たり前にように受け入れてきたのでしょうか。
オリンピックって、政治家にはおいしいのでしょうね。
参考:
外務省
ノルウェー王国基礎データ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/norway/data.html
伊勢�・賢治の平和構築ゼミ
ノルウェー