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※旧Various Topics(OCN)

アグロインダストリーを後退させたモザンビークの農民たち-遺伝子組み換え農法化の問題も

2018年10月09日 | 武器輸出・TPP・モンサント・農薬

モザンビークの土地占有プロジェクトにもビル・ゲイツ財団が絡んでいたのですか。 (まあ、ビル・ゲイツ氏はソロス等の投資家、投資会社の隠れ蓑的存在でもあると思いますが。)

モザンビークの土地占有プロジェクトは、農民から農地を奪うことだけでなく、遺伝子農業を普及(ブラジル化)という問題もあるのでしょうね。

モンサントの遺伝子組み換え作物が2013年にブラジルで起こした問題・スペインとモンサント
https://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/283d25ec67d16d37a6058112d848a7c6

遺伝子組み換え作物とTPPとモンサント
https://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/01d7fa20fd806da1eade78782099b5ae )

ルモンドディプロマティーク
将来の発展に見せかけた土地の占有プロジェクト
アグロインダストリーを後退させるモザンビークの農民たち
by
ステファノ・リベルティ(Stefano Liberti)
http://www.diplo.jp/articles18/1809-05mozambicains.html 

ブラジルのマト・グロッソ州での成功経験をもとに、同じ熱帯サバンナ地帯のモザンビークで単作大規模農業を再現しようとしたプロサバンナ計画。日本とブラジル、モザンビークの政府や企業家たちの思惑が絡まりあったこの計画は、農民たちの前代未聞のレジスタンスによって、その計画の見直しを余儀なくされている。[日本語版編集部] 

(中略) 

モザンビーク政府と日本のJICA(独立行政法人国際協力機構)、ブラジルABC(ブラジル協力機構)の三者による協力の成果であるプロサバンナは、モザンビーク北部3州の19市町村の地区を横切るナカラの長い回廊地帯に、商業的な農場を導入することを目ざしている。

(中略)

 プロサバンナは、2008年から南半球とサハラ砂漠以南のアフリカ地域を席巻している農耕地の争奪競争に参入している。主要農産品の価格が2倍さらには3倍になった世界的な食糧危機の後、大規模生産のための土地の獲得は安易に利益を追求する投資家、投機家たちの心をとらえている。

(中略) 

「経済発展に役立つ」という[途上国間の]南南協力の「近代性」の裏で、プロサバンナは小規模農家を大企業の臨時の契約社員に変え、モザンビークを世界中にアグロインダストリー産品を輸出するための中心地にすることで、農村の生産関係を壊している。2009年のイタリア、ラクイラのG8サミットの際、日本の麻生太郎首相とブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領の非公式会談で構想されたこの計画は、1970年代から1990年代の伝説化した、マト・グロッソの湿度の高い熱帯地域を世界的な大豆の生産地にした経験の再現を目論んでいた。 

(中略) 

発表の時から、プロサバンナは世界的な影響力を持つ指導者たちの賛辞を得ていた。2011年11月、韓国釜山での第四回援助効果向上に関するハイレベル・フォーラムでアメリカ合衆国のヒラリー・クリントン国務長官は「共通の試練に対する解決案を見つけるために共に活動しているこれら新興経済国」の努力に敬意を表した。ビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じて、いくつものアフリカの開発計画を率いている大物ビル・ゲイツ氏はプロサバンナを「革新的なパートナーシップの規範」に仕立て上げている。

GVアグロは、ブラジルでも有名な教育シンクタンク機関のジェトゥリオ・ヴァルガス財団と関連するコンサルタント会社で、「革新的なパートナーシップ」の舞台裏で活発に動いている。GVアグロは前農務大臣ロベルト・ロドリゲスに率いられており、アフリカの南北2本の回帰線の間にある全ての地域における、アグロインダストリー分野の最成長企業をめざしている。 

(中略)

プロサバンナの戦略プランと資金調達の仕組みもGVアグロが考案した。当初、主として日本政府からの3800万ドルの初期投資で開始したこのプロジェクトは、おあつらえ向きにナカラと名付けられ、個人投資家から20億ドルを集めたとされるファンドによって支援されている。このファンドは「地方の経済発展を活発にしながら、投資家に対して長期的な利益を産むこと」が目的であると明言している。同時に、モザンビークと日本の両政府は「小規模農家の様々な統合モデル」を支援してプロサバンナ開発イニシアティブファンドを設立した。 

聞から情報を得ていた農民 

 この農村の改造と開発プランは、その地域で生活する小規模農家からかけ離れたところで作り上げられている。「私たちがこの計画のことを初めて聞いたのは、2011年の8月、パチェーコ農相がブラジルの新聞の取材に応じた時のことでした」と家族経営の農家を支援するマプトの協会、「農村コミュニティ開発のためのアカデミック・アクション」(Adercu)事務局長ジェレミアス・ヴンジャーネ氏は回想する。「衝撃でした。政府は我々に一度も話したことがないものを外国に売っていたのです ! 」と、この黒く長い髭をはやし、説教師のように能弁な元ジャーナリストは憤慨する。

(中略) 

モザンビークでは他の多くのアフリカの国々のように、土地は国家所有であり、売ることはできない。1975年の独立の際に国が手にしたこの特権は、1990年の憲法によって保障されている。法律によれば、政府は地域共同体あるいは個人に彼らの小規模農園(machambas)を耕作するための土地使用権(DUAT)を与える。しかし農村地域では誰も土地の所有権の書類を保持していない。その書類の重要性を農民たちは理解していないのだ。つまり、知らぬ間に土地の所有者が変わっているということもあり得るのだ。 

(中略) 

「すべてはブラジルへの旅から始まったのです」とヴンジャーネ氏は語る。プロサバンナと30年前にマト・グロッソで起こったことの類似性を検討することで、モザンビークの組織は自分たちで現状を理解することに決めた。2012年11月、5人の代表団がブラジル内陸部に向かった。

(中略) 

 「我々は行動を起こすことにしました。というのも誰からも情報を与えられない状態が続いたからです」とナンプラのモザンビーク全国農民連合地域支部議長コスタ・エステバオ氏は説明する。 

(中略) 

当初は単なる地域的な運動だったが、動員数は急速に増えた。ブラジル、日本そしてモザンビークで農民運動と様々な組織は情報を共有し、活動を連携させた。モザンビークの23の組織がこの三国の政府に宛てた公開書簡の中で、彼らは「生活に直接影響のある社会的、経済的、そして環境的に極めて重大な」ことにかかわる問題について、広く開かれた、透明性のある、民主主義的な討論が完全に欠如していること」を告発した。 

(中略)

実際に、ナカラ回廊を新しいマト・グロッソに変換するという壮大なプロジェクトの推進者たちは怖気づき始めた。新たな農地植民地主義の代理人のように思われないかと心配して、最初にプロサバンナの妥当性について懸念を表明したのは日本人だ。GVアグロの招きでモザンビークを訪問していたブラジルの企業家たちは、もはやこの計画に興味がないと告げた。ブラジルのABC(ブラジル協力機構)の技術者たちは帰国した。20億ドルを集めたとみなされているナカラ基金は目立たないように閉鎖され、プロサバンナは中断された。

理解されなかった計画

 「我々は事前評価を間違えたのです」とJICAのプロサバンナ担当官の横山浩士氏は話す。マプトの中心の近代的な建物にあるJICAの本部で、彼はいかなる予備調査も行わなかったことを率直に認める。「初めはマト・グロッソでの経験を再現できると考えていました。そうこうするうちに2カ所の状況はとても異なっていて、ここでブラジルの開発モデルを実施するのは合わないと気づいたのです」。

横山氏は今日「小規模生産者の支援」の必要性に言及し、プロサバンナの核心だった大規模農業化の計画を白紙に戻し、「関連する農村共同体に意見を聞く仕組みを備えたマスタープランを作り直しているところです」と説明する。GVアグロはもはやこのプロセスに加わっていない。推進者たちは教訓を忘れないと断言し、振り出しに戻ることを提案している。 

(中略) 

車で数時間行ったナカラリのマンゴーの木の下で、「プロサバンナ」という言葉を口にするだけで、激しい怒りで人々の顔色が変わるのを目にする。「彼らが何度来ようとも、私たちは決して言いくるめられたりはしない」とモセルニア氏ははっきりと言う。その横で、ヴンジャーネ氏は「歴史的な勝利」を勝ち取ったことに満足しているが、「政府は発言を変えました。けれども私たちは警戒し続けています。なぜなら政府はまたこの計画に取り掛かるかもしれないからです」と慎重な姿勢を示してもいる。 

参考: 

モザンビーク開発を考える市民の会
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-202.html 

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