Various Topics 2

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※旧Various Topics(OCN)

ベトナム向宇宙事業がODA対象!?

2011年01月03日 | 国際協力・プロジェクト

元旦の東京新聞の記事に以下のものがありました。

『宇宙事業もODA対象 政府、ベトナムに円借款へ』

政府が、政府開発援助(ODA)の対象に人工衛星導入など宇宙事業を加える方針を固めたことが三十一日、明らかになった。第一号案件として、衛星の打ち上げを計画しているベトナムに円借款を供与する見通し。近くベトナム政府にこうした方針を伝え、日本企業への発注を要請する。

 政府はこれまで、宇宙事業は途上国の貧困削減を主な目的とするODAにはふさわしくないとして対象に認めてこなかったが、欧州各国がODAで産業界を支援していることを踏まえ、方針転換した。宇宙事業で日本は欧米勢に水をあけられており、新興国の小型衛星需要を照準に官民一体で売り込みを加速する。

 ODAのうち円借款は途上国政府に低利、長期の資金を貸し付ける制度で、技術力のある日本企業の受注を優位にする。方針転換には当初、外務省が難色を示していたが、インフラ関連輸出に積極的な前原誠司外相の就任を機に修正したもようで、外務、財務、経済産業各省による調整が大筋で決着した。

ODA-Official Development Assistance(政府開発援助)とは、その名のとおり、途上国政府が開発する手助けを援助することです。なので、上記の記事を読んだときは、怒りさえ沸いてきました。

ODAには、無償援助(=贈与)、技術援助、そしてグラントエレメント(贈与率)25%以上の有償援助『円借款』があります。

今回の供与は『円借款』ということですが、(たぶんこの宇宙事業については日本の企業だけが入札できる『タイド援助』にすると思うので、)日本の大企業が大規模プロジェクトを受注するのを助けることになると同時に、低金利とはいえベトナムに借金を背負わせることでもあります。

もちろんこれだとJBICから借りるよりは金利は低いので、ベトナム政府としてはありがたくもあるでしょうが。(こうした前例を作ると、今後が怖いと思いますけどね。)

前回のブログ『英語ができない政治家達が国際化を叫ぶ』のなかに、「政治家は官僚の力を借りないと何もできない」と書きましたが、今の時代、「官僚達以上に政治家に影響を与えるのは、財界人」というのが正しいかもしれません。

(流石に、前原外相も今回はODA供与国以外も入札できる『アンタイド援助』は考えていないでしょうが、また“親分国”の圧力でもあれば早々に屈しそうです。「日本の政府が財界人より怖いのが、“親分国”」だと思います。)

ODAは、もちろん理想や綺麗ごとだけをうたっているわけではなくて、『試供品的役割』、『人的繋がりを作る』『インフラなどを開発して、次のプロジェクトを生みやすくする』『軍事協力の代わり』などという供与国側の計算もあります。

それ故、(日本からの)ODAは、本当に貧しいアフリカなどより、将来良いお客様やパートナーとなるアジアの国々に対する供与が多くなっていますし、そしてまた、相手国の国民達が本当に欲しいものよりも、借金を負わせながら、『お金になるプロジェクト』『住民達がありがた迷惑と思うプロジェクト』を進行させることもあります。

私は、ODA全体を非難するつもりは毛頭ありません。しかし、『宇宙事業に円借款』に関しては多いに疑問です。喜ぶのは利害関係者だけではないでしょうか。

昔、某国に観光用の橋を作るプロジェクトを担当していた知人が「住民は、あんな立派な橋より、井戸を作って欲しいのにな。」とつぶやいていましたが、こういう現実は半永久的に変わらないのでしょう。

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