Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

2012年春に出会った歴史好き“変なオジサン”は今・・・

2023年01月22日 | 人物

先日、訪問リハビリに来てくださっているYさんと、「もういい加減にマスクを止めてほしい」という話をしていました。

「マスクも、唾を飛ばしながらしゃべる人がいる場合は、コロナでなくても意味はあるんだけど。」と私が昔の出来事を思い出しながら言って、昔の出来事を彼女に話しました。

これは「詐欺かどうか」、今もオジサンは活動しているのかどうか、昔の記事を貼り付けます。(アンダーラインは修正)

2012年春に出会った歴史好き"変なオジサン" - Various Topics 2 (goo.ne.jp)

2年前の春、ドイツのペンフレンドのトーマスさんと友人Rさん、そして息子の4人で根津・谷中を散策しました。

お昼を済ませたあと、次に向かったのが寛永寺。
満開の桜に囲まれたこのお寺、平日で人が少なかったこともあって、私たちはゆっくり、写真をとったり、おしゃべりをしながら楽しく過ごしていました。

この最中、Rさんと私が二人でお寺の説明が書かれた看板をみていると、背後から大きなため息をつく60代後半くらいの背広姿の男性、〝オジサン″が。
振り向いた私たちのところに彼は近づいてきて、「今日はとんでもない日だった」と東北訛りで嘆きました。

Rさんと私顔を見合わせ、一応「どうなさったのですか?」と尋ねると、彼は自分が元文部省の役人で、今日は『なんでも鑑定団』の石坂浩二に講義をするはずだったけど、ドタキャンされて今帰るところだと、悔しそうな顔。

「来年の大河ドラマは『新島八重』。私も監修するんですよ。」と言い、
「ご説明しましょうか?」と、寛永寺のこと、上野周辺のお寺のこと、徳川家のことなどを、「これは知っていますか?」「今は、学校でこういうことも教えない」という言葉をはさみながら、説明をしだしました。

そこへトーマスさんと息子が。
不審そうな顔をしている二人に事情を説明した私、オジサンに向き直り、 
「彼、ちょうどドイツから旅行にきているんです。彼にも是非説明をしてあげてください。」 

オジサン、とんでもない、と手を振りながら、
「いや、私はドイツ語はちょっと・・・」。
「いや、英語で大丈夫です。」と私。 
「いやー、昔はできたんですけど・・・今は英語ももう忘れてしまっています。」とオジサン。

ま、これで私たちはオジサンとお別れか・・と考えていたんですが、オジサン、再び講義(?)をはじめてしまいました。 
(「時間がかかりそう」と思ったのか、トーマスさんと息子、「また別のところで写真をとる」と言って、離れていってしまいました。)

オジサンの話、トータル30分くらいだったか。

彼の話はそれなりに興味深かったのですが、ただ彼はまくしたてるようにしゃべるので、唾液が飛んでくる。引っかからないように気を付けていたものの、ついには大きな唾液が私の顔にかかり・・・私が叫んだため、彼は話すのをやめ、謝りました。

「それでは、もうそろそろ」と顔を拭きながら言う私に、オジサンは、「徳川の家系図のコピーを国会図書館でとってきたのがあります。今日は、話を聞いてもらえて、良かった。気分がすっきりしました。差し上げましょう。」と、かかえていたカバンから資料を取り出しました。

しかし生憎Rさんも私も、別に資料をもらうほどの歴女でもないので断ると、「ああ、いいんですか。」と資料をしまい、 
「今日は本当にあなたたちに会えてよかった。ドタキャンで本当に嫌な気分だったけど、こうしてたくさん話ができて・・・ありがとう。」

こうして、私たちはオジサンと別れました。

このオジサンの説明は、一部分怪しいところがあったようですが(実は、このあと谷中霊園に4人ででかけ、谷中霊園を案内する年配のボランティアさんの説明も受けました。この説明のなかで、オジサンが言っていたことと違うところがあったので、ボランティアさんに確認しましたが、その説明内容から、ボランティアさんの方に分があるように思いました。)、それでも本当によく知り、日本や歴史を愛している様子でした。

帰宅してから、ネットで伺った名前を検索してみるも、わからなかったので、 
「あのオジサンは、いったいなんだったのだろう。」 
とわからぬまま2年。

そして昨夜ちょうど寛永寺のことを調べようとしていて、このオジサンのことを思い出しました。
それで、(失礼ながら)「寛永寺、変なオジサン」で検索。
-驚いたことに、この方のことをブログで書いている方がいらっしゃいました。 

そして、そのブログには、このオジサンが、Rさんと私にしたのと同じように、 
「石坂浩二にドタキャンされ」と言い、いろいろ説明をしてくれる話が書いてありました。

が、このブログ主さんの場合、説明のあと、博物館に行くための会員登録が必要と言って、1440円の支払いを求められたそうです。 
オジサンにサインをもらったり、写真もとらせてもらったので、サイン、顔写真とも公開。

そして、彼女のブログには、「私もそのおじさんに会った」というコメントが多数寄せられていて、その ほとんどが、国会図書館でコピーしてきたという資料を1500円くらいでオジサンから買ったものの、ネットで彼が嘘を言っていたことを知り、「詐欺だ!」と憤慨している人のコメント。

詐欺・・・

コメントを寄せている人の中には、オジサンを見つけ問い詰める場面をブログや動画にアップしている人もいるようですが、ブログ主さんのように会員登録費用をだまし取られた場合以外は、どうなるのでしょうか?
オジサンは、石坂浩二のドタキャン、文部省役人と、作り話をしてはいますが、歴史が好きな人にとっては貴重な情報をもらえた人もいたのではないでしょうか。

そして、国会図書館でコピーしてきたという資料、値段は実際コピー代より高いかもしれないけど、本物であれば手間賃を考えれば妥当なのではないか、と思います。
Rさんと私に対して、オジサンはコピーを無理に渡そうとも、売りつけようともしませんでしたので、いらなかったら断ればよかっただけだと思います。

もちろん、彼がやっていることは、非難されるべきことでしょう。
しかし、彼がこうしたことをしている第一の理由は「人に尊敬される歴史家気分を味わいたい」ということ、そして第二には、「歴史の話で盛り上がりたい」ということであって、「お金」自体はついでの様なものだったのではないか、という気がします。

コメントのなかには、「あんなに詳しいのだから、詐欺ではなくて、ガイドをすればよいのに」というものもありました。
が、彼がいくら歴史知識があろうと、ガイドに彼を雇ってくれるところがないのを、彼はわかっているのでしょう。ボランティアとしての活動、これは、やはり経済困窮者の場合難しい。

このオジサンのこと、荻原悦雄さんという方が書かれているものありましたが、私も彼と同意見です。

『侘助』(拙著)上野周辺散策 
http://okinaogi.gunmablog.net/e323706.html

オジサンは、今も上野周辺だけでなく、皇居や増上寺付近にも出没しているらしいです。

※このオジサン、もしかしたら、二人いるかもしれません。

 

先に、オジサンの活動が続いているかどうかと書きました。

実はこの2014年に書いた記事には、このオジサンと遭遇された方2名からコメントを頂いていて(2017年、2019年)、その後もこの記事にはごくたまに訪問者が訪れ、今日も又訪問者がいました。

コロナにも、寒さにも負けず、オジサンはマスクをしながら、注目を浴びるような大きなため息をついているのだろうと、思います。 

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