日本の借金はGDP比で世界一だという。
2013年度の国債発行残高は750兆円で、地方行政の借金と合わせた公的債務残高は977兆円。
ところが、浜矩子『「アベノミクス」の真相』を見ると、日本は債権大国、すなわち世界一のカネの貸し手でもある。
2011年、日本が保有する海外の証券、金融派生商品、外貨準備などの海外資産は582兆円で、21年連続世界一。
329兆円の海外負債もあるが、差し引いた純資産は253兆円である。
それでもやっぱり大借金には違いなく、国債で収入を調達すると、借金を返済しなければいけないので、将来に負担を転嫁すると批判される。
ところが、神野直彦『税金 常識のウソ』によると、日本の国債はすべて内国債で、政府に対してお金を貸しているのは国民なので、政府が国民に借金を返すことになるという。
そうだとすると、国債の負担は将来世代には転嫁されないことになります。
日本の国債は家計のように外部から借り入れするわけではない。
ほんとかいなと思うが、『税金 常識のウソ』にはそのように書いてある。
もちろんこんなうまい話ばかりではないと、神野直彦氏は言う。
公債が増えると格差が大きくなるわけである。
ハンセン「公債は富の分配の不平等を強化する傾向をもっている」
また、「公債に抱かれた財政」では、民主主義が機能不全に陥ってしまいかねないと神野直彦氏は注意を促す。
というのも、公債を引き受けてもらう金融機関にとって望ましくない政策を打つと、公債消化が困難になるので、金融機関の意向に逆らえなくなってしまうから。
19世紀イギリスのグラッドストーン首相は国債を引き受けてもらっているロンドンの金融界の政策介入に悩み、郵便貯金を考え。
郵便貯金には二つの条件が設けられた。
1,郵便貯金は公債引き受けに限定される
2,預けることのできる郵便貯金の上限を決める
19世紀後半に大不況となり、金利の高い郵便貯金に貯蓄が集まると、金融界が郵便貯金の金利を引き下げるように要求した。
しかし、民主主義が発達し、労働者の政治的発言力が強かったイギリスでは、金融界の要求ははねつけられた。
日本ではどうかというと、1980年代になると郵便貯金への批判が高まり、民営化された。
しかし、民主主義をどうするのかという議論はまったく唱えられなかった。
日本銀行が政府のための金貸し業者と化したと、浜矩子氏は言う。
独裁国家においては中央銀行は政府の言いなりなんだそうだが、日本銀行はどうなのかと心配しています。