三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

青草民人「梅の実の効用」

2014年07月18日 | 青草民人のコラム

梅雨の時期を迎え、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。むーっとした蒸し暑さと、じめじめ感はなんともやりきれません。私は汗っかきの暑がりなので、この時期が最も難儀です。クーラーのスイッチに手をかけつつも、消費電力の削減と原発再稼働のことを思うと、ハンカチで汗をぬぐい、うちわをフル稼働してがんばっています。

梅雨といえば、梅の実のなる時期に降る雨という意味ですが、青い梅の実には、アミグダリンという成分がふくまれており、これが体内に入りますと青酸という毒に変わり、腹痛を起こすことがあるそうです。


しかし、昔から梅の実を塩漬けし、天日で干し、梅酢に漬けて梅干しにすると、その成分はクエン酸という疲労回復や殺菌効果のある薬効成分に変わります。梅酒や梅ジュースにするのも同じですね。そのままの青梅では、毒となる梅の実も、塩にもまれ、陽にさらされ、酢に漬けられることで薬に変わるのです。


このことは、教育の世界にも通じます。子どもたちが親から受け継いだ遺伝による影響は、約30%だといわれています。あとの約70%は、その子どもたちを取り巻く環境の影響だといいます。


サッカーのワールドカップブラジル大会が、決勝トーナメントに入り、大詰めを迎えていますが、アルゼンチンのメッシのような一流のプレーヤーも、生まれながらにして一流だったわけではありません。彼を取り巻く環境にサッカーが身近にあったのでしょう。


たまに一部の先生や保護者の方の中に、「あの子がいるから、クラスがまとまらない」「あの子は何度言ってもいうことを聞かない」といった子どもにレッテルを貼るような発言を聞くことがあります。


確かに日々の生活の中で、友だちとうまく関われなかったり、集団に適応できなかったりするお子さんはいます。しかし、大人の側に受け止めてあげるキャパシティーがなければ、そこには排除の論理しか生まれません。梅の実のように、手塩にかけて育てれば、その子らしい個性豊かなこどもたちが育つのです。そう信じて、日々精進するのが教育です。


集団的自衛権に関する憲法解釈が閣議決定されました。憲法を無視した暴挙としかいいようがありません。自衛隊をお国のための人柱にするのです。自衛隊が他国の戦争に行くようになれば、志願するものは減り、やがては徴兵制への道を開くことになるでしょう。


「子どもたちを再び戦場に送るな」と教えられて教師を続けてきたものにとっては、憂慮すべき事態だと肌で感じます。国民の反対の声が今一つ大きくならないことは、もっと憂慮すべきことかもしれませんが。

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